南九州に分布するしらす土壌の土木工学的地盤特性
一主として鹿児島道路(市来IC~鹿児島西IC間)の原位置試験一
一主として鹿児島道路(市来IC~鹿児島西IC間)の原位置試験一
建設省鹿児島国道工事事務所
建設専門官
建設専門官
前 田 求
1 まえがき
構造物の基礎設計のためには,原位置の地盤を構成する各層毎の物理的性質,力学的性質の把握が必要となる。
本資料は鹿児島道路の道路構造物の設計に必要な地盤定数を得るために実施した原位置試験結果のうち,シラスに関する地盤定数の検証結果をまとめたものである。
標準貫入試験値(N値)と,粘着力(C),内部摩擦角(φ),湿潤密度(γs),孔内水平載荷試験による変形係数(Eb)の4項目について相関を分析検討した。
試験方法は,地盤工学会規準によっている。
2 資料の検討結果
(1)N値~粘着力とヒストグラム
(2)N値~内部摩擦角とヒストグラム
(3)N値~湿潤密度とヒストグラム
(4)N値~変形係数相関
(5)N値のヒストグラムの一例
3 考 察
調査区域のしらすの,C,φ,γsとN値との相関性は認められなかった。
したがって,地盤定数の採用にあたっては次のように設定することが妥当と思われる。
しらすのEbと,N値との相関は,道路橋示方書の7Nとほぼ同じ結果となり,95%信頼限界線内に入っている。したがって,下記が妥当と判断する。
Eb≒7N(ただし,4≦N<50に適用)
しらすのN値の分布例については,図ー5にみられるように軽石礫等の混在するしらす層では,みかけ上,N>50を示す場合があるが,層の厚さ,分布の範囲の特定が,重要となる。
標準貫入試験N値から,Ebないしは,Eoを推定する場合,N値の採用値の決め方により異なった値となる。
N値の採用値の決め方について述べる。
4 あとがき
考察については,データの集成如何によって,異なる結果も考えられるので留意されたい。今回の資料は,鹿児島道路延長20km余のうち,市来ICから鹿児島西ICの間の,道路予定幅の25m程度のライン状の範囲のものを対象としたが,地域によって同じしらすと呼ばれるものでも,その成因,噴出源,時代等により性質は異なるから代表性のある測点の選定が重要になってくる。
資料の分析にあたっては,日本工営㈱,応用地質㈱の協力を頂いたことに感謝の意を呈する。