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九州高規格道路管理センターの紹介

国土交通省 九州地方整備局 道路部
九州高規格道路管理センター
高規格道路管制官
中 島 洋 一

キーワード:道路管理センター、#9910、道の相談室

1.はじめに
道路は、高規格幹線道路から生活道路に至るまで様々な種類の道路で構成され、経済活動を物流で支え住民の暮らしを守り、更には災害時の救助や救援を行うための重要な役割を担っている。
九州地方整備局では、高速自動車国道や一般国道自動車専用道路、地域高規格道路(以下「高規格幹線道路等」という)及び「一般国道」を合わせた延長約2,300㎞の道路(以下「直轄管理道路」という)を12 の国道事務所、33 の出張所等で管理を行っている(平成31 年4 月1 日時点)。
各道路管理者においては、道路を常に良好な状態に保ち、また一般交通に支障を及ぼさないよう、日常のパトロールや定期的な点検等を行い、通行の安全確保に尽力しているが、落下物や動物の死骸、倒竹木、交通事故など、道路の通行に支障を及ぼす事象(以下「道路異状事象」という)は、予期せぬ場所で、また昼夜を問わず突然発生している。
また、道路の利用者が、九州内の直轄管理道路のみならず、各県・政令市、市町村の管理する道路(以下「自治体管理道路」という)で、道路異状事象を発見した場合に、24 時間いつでもワンストップで通報を受け付ける「# 9910 道路緊急ダイヤル(以下「# 9910」という)」は、平成17 年に導入され、「急ハンドルとなるので、危ないと思って電話しました。」と、昼夜を問わず九州一円から多くの善意の通報を頂いている。
本稿では、九州地方整備局道路部に設置され、24 時間365 日運用している「九州高規格道路管理センター(以下「センター」という)」について紹介する。

2.センターの概要
1)運用開始
・平成25 年6 月に設置・運用開始
2)設置場所
・福岡市東区水谷(福岡国道事務所 福岡維持出張所3 階)
3)運用体制
・24 時間365 日
4)運用要員
・高規格道路管制官(職員)1 名
・高規格道路管制員(職員)1 ~ 2 名(※)
・情報管理員(委託)5 ~ 6 名(※)
※「高規格道路管制員」及び「情報管理員」は、2 交替制で勤務。
5)対象範囲
・九州内の直轄管理道路の全線。(総延長 約2,300㎞)
・# 9910 及び九州地方整備局 道の相談室(以下「道相」という)」は、九州内の直轄管理道路及び自治体管理道路の全線。(※)(総延長 約16 万㎞)
※NEXCO 西日本及び福岡北九州高速道路公社の管理する道路は含まない。

3.センターの業務内容
1)主な業務内容
①「直轄管理道路」及び「自治体管理道路」の管理に関する情報の収集、処理及び提供(# 9910 及び道相を含む)
②「直轄管理道路」の「高規格幹線道路等」の一部路線(以下「管制路線」という)において、上記①に加え道路異状事象の発生時の初動対応。

2)道路管理情報の「収集」の概要
①道路管理用カメラでの監視
・直轄管理道路には、落石・斜面崩壊・積雪による交通障害・波浪時の越波・アンダーパス部や河川沿いの冠水の恐れのある箇所、トンネル等に道路管理用カメラが約1,500 台設置されている。
・このカメラ画像を大型モニターで路線毎にスクロールしながら、道路異状事象の監視を24 時間体制で行っている。

②非常電話の受電(管制路線)
・直轄管理道路には、トンネルや自動車専用道路に、車両故障や交通事故等を警察や消防、道路管理者へ通報するための非常電話が路側等に設置されている。
・管制路線で道路管理者への通報があった場合は、24 時間体制で受電を行っている。

③警察からの受電(管制路線)
・管制路線において、警察が「落下物や動物の死骸、車両故障や交通事故、逆走車両」などの道路異状事象の情報を、各県高速道路交通警察隊の管轄区間は九州管区警察局高速道路管理室を経由して、所轄警察署の管轄区間は直接、24 時間体制で受電している。

④「#9910」の受電
・道路利用者が、道路の穴ぼこや落下物などの道路の異状等を発見した場合の緊急通報を24 時間体制で受け付けている。
・九州内で、「# 9910」をダイヤルするとガイダンスが流れ、
  【1】福岡北九州都市高速道路
  【2】その他の高速道路(NEXCO 西日本)
  【3】その他の道路(無料高速と一般道)の中から該当する道路をダイヤルで選択。
・「【3】その他の道路」は、当センターで受電している。

・対象は、九州内の直轄管理道路及び自治体管理道路の全線。

⑤「道相」の受信
・道路利用者から、道路に関する様々なご意見やご要望の受付を行っている。
・受付は、平日の午前9 時30 分から午後5 時までは電話またはFAX、九州地方整備局ホームページ専用フォームからのメールは、24 時間受信を行っている。

⑥「#9910」及び「道相」の受付状況
・年度別の受付件数は、大きな伸びを示している。
・H30 年度の時間帯別の受付件数は、午前8時台~ 11 時台にピークがある。
・深夜は少ないものの受付は継続している。

3)道路管理情報の「処理及び提供」の概要
①道路管理者への連絡
・収集した道路異状事象の内容は、夜間や休日を問わず、各道路管理者の国道事務所や各自治体の窓口へ連絡している。
・収集した道路異状事象が直轄管理道路の場合で、道路管理用カメラで確認できる際は、その状況画像を添付し、担当する国道事務所や出張所へ携帯メールで周知している。
・「道の相談室」の相談案件で急を要さない各道路管理者の個別案件については、休日夜間の受付分は翌平日に、平日昼間の受付分は速やかに、道路管理者へ連絡している。

②現場対応の指示(直轄管理道路)
・直轄管理道路において、当センターの「高規格道路管制員」は、各国道事務所が年間契約している全ての道路維持補修工事の監督員に任命されている。
・通報内容の多い「落下物」や「動物の死骸」などの軽微な事象については、国道事務所の勤務時間外(以下「閉庁時」という)には、出張所職員に代わり当センターより道路維持補修工事へ直接「回収の指示」を出している。

③地震発生時の状況確認(直轄管理道路)
・直轄管理道路の地域で震度4 以上を観測した場合、各国道事務所では道路巡回を行って、通行の安全を確認している。
・当センターでは、地震発生・震度情報を受信した場合、道路管理用カメラで被災の有無、交通流の異状を確認し、# 9910 の通報状況を踏まえ、各国道事務所へ携帯メールで情報共有を図っている。

④管制路線での道路異状事象時の対応
・各国道事務所への事象内容の連絡
・「道路情報板」での注意喚起の表示
・「警察(九州管区警察局または各県警本部通信指令室等)」との共有・調整(※)
・消防、NEXCO 西日本、日本道路交通情報センター等への情報共有
・「道路維持補修工事」へ「回収」や「通行規制」等の指示(※)
 ※主に「閉庁時」の対応

4)直轄管理道路の道路異状の内訳(※)
 ※対象:平成30 年度の取扱い事象(約7 千件)
・落下物と動物の死骸で約6 割。
・全面通行止めや片側通行規制を伴う重大事象(交通事故や故障車、倒木・冠水・逆走等)の割合は約5%。

4.おわりに
当センターには、道路異状事象について、道路利用者や地域の住民の皆様方から、昼夜を問わず数多くの通報を頂いている。また、その情報等を基に、道路維持補修工事の建設会社の方々が、年中無休で出動し回収等を行っている。多くの皆さまのご支援ご尽力により、道路の管理がなされていることに、改めて感謝申し上げる次第である。
当センターは、24 時間対応の特性を生かし、これからも直轄管理道路のみならず、九州内の道路管理者の一助となるべく取り組んで参ります。
なお、当センターは公開していませんが、道路管理の行政担当者等の視察は可能ですので、希望される場合は事前にご連絡をお願いする。

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