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九州技報 第16号 巻頭言

㈳九州・山口経済連合会
会 長
川 合 辰 雄

域内の高速道路網の整備状況をみてみると,九州の南北および東西の高速道路網の骨格をなす「九州縦貫自動車道」と「九州横断自動車道長崎大分線」の未供用の区間については後者の一部区間を除き,第11次道路整備五箇年計画(平成5~9年度)の供用を目途とてし,現在整備が進められている。これが完成すれば九州の高速自動車道路網の南北と東西の骨格が出来上がることになる。
一方,西九州沿岸地域を結ぶ「西九州自動車道」および東九州地域を南北に結ぶ「東九州自動車道」については,現在整備促進が図られているところであるが,いずれも整備完了は21世紀初頭になる見込みであり,西九州および東九州地域における高速道路網の整備が立ち遅れている状況である。
その他の幹線道路整備として,「島原・天草・長島架橋(3県架橋)と九州西海岸広域基幹ルート」,「中九州を横断する幹線道路」(熊本~大分),「有明海沿岸道路」等の構想があるが,これらの整備実現については今後に残された課題である。
このように域内の高速幹線道路網の骨格は出来上がりつつあるが,九州地域の一体的発展のためには,整備が遅れている西九州地域と東九州地域における高規格幹線道路網の整備促進とともに,比較的短距離間の高速道路網の整備および各地交通・流通拠点へのアクセスの改善・向上等が今後の整備課題であるといえる。
去る6月,四全総総合的点検調査部会の報告が出され,報告の「これからの国土政策の基本方向」の中では,多様な個性をもつ地域同士が県境等の枠を越え「新たな交流圏」を形成する必要があるとして,地域連携軸構想を打ち出している。
「新たな交流圏」を形成するには,丸に十字の形の高速・循環交通体系の整備が是非とも必要である。幸い,西九州側は高速自動車道,新幹線などの整備が進んでいるが,東九州側の整備が遅れている。整備の進捗状況からみると,まだ半円の状況である。
当地域の一体的な発展を図るうえで,東九州の交通軸の整備促進は喫緊の課題であり,東九州軸推進機構で高速交通体系の整備を中心とした社会基盤整備促進を図っているところであり,「東九州活性化プラン」などの地域開発戦略を具体化していくことが必要である。
また,インターブロック交流促進のため,太平洋新国土軸構想による豊予海峡ルート,関門海峡道路といった課題もある。
いずれにしろ,21世紀の九州・山口地域において,これら課題の早期実現を図らない限り展望は開けてこない。明確な開発ビジョンを策定し,九州が一丸となって取り組める方策を明らかにすることが重要である。

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