国道219号等災害復旧事業 鎌瀬 橋における
上部工架設について
上部工架設について
国土交通省 九州地方整備局
八代復興事務所
工務第二課長
八代復興事務所
工務第二課長
重草 通
キーワード:令和2年7月豪雨,球磨川,災害復旧,鎌瀬橋,上部工
1.はじめに
2020年7月3日未明、長期間停滞した梅雨前線が活発化した影響で、熊本県南部の球磨川流域を中心に線状降水帯が発生した。球磨川本川では堤防が2箇所で決壊し、11箇所で越水・溢水が生じるなど、流域の市町村では低地の浸水などが広範囲にわたり発生した。また、道路では球磨川を渡河する橋梁10橋の流失や国道219号とその対岸道路の崩壊など、豪雨による被害は甚大なものとなった(写真- 1、2)。


2.災害復旧の権限代行
被災した熊本県からの要請で国による権限代行により災害復旧を行うことが決定したことを受け、甚大な被害を受けた河川、道路の災害復旧工事を迅速かつ一体的に進めるため、2021年4月に八代復興事務所が設置された。道路事業は、球磨川を渡河していた10橋を含む球磨川両岸道路約100kmと2022年9月の台風14号で被災した球磨大橋の復旧事業を担当している(図- 1)。現在、国道219号と対岸道路は、全線にわたって緊急車両等の通行を確保するとともに2021年7月には国道219号の一部区間(大野大橋~人吉市間)において、一般車両の交通開放を行っている。
橋梁においては、人吉市の西瀬橋が2023年2月に、球磨村の沖鶴橋が2025年3月に完成し、これまで2橋の供用を行っている。

3.工事概要
鎌瀬橋は熊本県八代市坂本町に位置する一級河川球磨川を渡河する橋長113.2m、有効幅員5.9mの橋梁であったが、令和2年7月豪雨災害により流失した。国による権限代行により現橋位置の直近下流側に新たな鎌瀬橋の架け替えを行ったものである(図- 2)。
新たな鎌瀬橋は、橋長200m、幅員9.7m の鋼単純ニールセンローゼ橋で、アーチライズは33mの中央部で絞るバスケットハンドル型を採用した(図- 3)。
架設方法は、A1橋台側はグラウンドアンカーを設置、A2橋台側は重力式コンクリートブロックの設置を行った、ケーブルエレクション斜吊り工法を採用した。
供用下で安全に施工を行う為に、A1・A2橋台側共に、道路上に鋼製防護柵を設けて作業を行った。


4.ケーブルクレーン架設工法における検討事項
(1)狭隘なヤードにおけるケーブルクレーン架設についての懸念事項
通常ケーブルクレーン架設において、部材搬入・荷取りヤード側にウィンチ及び操作室を設置し、ケーブルクレーンの操作者が直接目で見て施工を行うが、右岸・左岸側両ヤードとも狭隘でこれを満たすヤードの確保が困難であると判断した。
そこで、荷取りヤードとウインチヤードを分割する検討を行った。特殊車両の運搬ルートが上流側からに限定されていたため、荷取りヤードをA2側右岸ヤードに設け、ウインチ及び操作室の設置ヤードをA1 側左岸ヤードとした。操作者が目視できない問題は、荷取りヤードにWEBカメラを設置し、操作者がモニターにて視認する事と無線合図による対策にて解消することとした(写真- 3、4、5、6)。




(2)国道219号を供用しながらの施工
鎌瀬橋の施工位置が国道219号に隣接しており、国道219号を供用しながらの施工の検討が必要となった。通行車両への飛来落下等の万一に備え、道路防護工を設置し、片側交互通行となるものの、通行止めを行わないで施工する計画とした(写真- 7)。

5.ケーブルクレーンによる架設
ケーブルクレーン斜吊り工法によるアーチ部材の架設を行った。
A1、A2 側より順次架設を行い、中央部材にて閉合を行った(図- 4)。

(1)架設手順
まず起点側となるA1橋台上の桁部材及び横支材を架設した後、アーチ部材の架設を開始した。仮受けは、斜吊り索を設置しアーチを転倒しないように仮吊りした。終点側も同様にA2橋台の桁部材及び横支材を架設した後、アーチの架設を進めた。アーチ架設と斜吊り索の盛替えを繰り返し行い、中央部材にてアーチの閉合を行った(写真- 8、9、10)。



(2)出来形管理
アーチ閉合時の施工性を考慮し、部材長を20mm短く製作することで両ジョイントに10mmのワーキングスペースを設けた。高さ方向は斜吊り索にて調整し、部材間寸法については、A1、A2両支点部に調整用ジャッキ(5000kN 各4台)を用いて、継ぎ手の隙間を設計値± 5mm以下に調整した(写真- 11)。

6.安全対策
グラウンドアンカーについて、施工箇所のジャストポイントにて引き抜き試験を行い、引き抜き耐力の確認を行った。
球磨川の出水対策として、ワイヤーブリッジ足場をHWL より高くなるように、直吊り索にて吊り上げ、河川の氾濫時に備えた(写真- 12、13)。


7.おわりに
鎌瀬橋は早期復旧に向けて、国道219号を供用しながらの施工が条件下の元、狭隘な土地でケーブルエレクション斜吊り工法を行った。
架設計画を入念に計画し、現場に合わせた資機材の見直し等の安全管理を徹底し架設を行っている。
最後に、本工事に際しご協力いただいている地域の皆様をはじめ熊本県並びに流域市町村、設計・施工業者等の関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。令和2年7月豪雨災害からの一日も早い復旧・復興を目指して引き続き事業の加速化を進めて参ります。
八代復興事務所のホームページにて橋梁の架設状況動画を掲載しています。詳しくはこちらから➡
