働き方改革に向けた九州地整独自の取り組み
「業務の適正執行のための勘所」策定
~働き方改革シリーズVol. 3~
「業務の適正執行のための勘所」策定
~働き方改革シリーズVol. 3~
国土交通省 九州地方整備局
企画部 技術管理課 課長補佐
企画部 技術管理課 課長補佐
樋 口 正 隆
キーワード:働き方改革、3運用基準(通称・3(スリー)ポイント)、勘所
1.はじめに
これまで働き方改革に向けた九州地整独自の取り組みを2度紹介させていただいた。
まず、働き方改革シリーズVol.1「5(ファイブ)ルールの理解を促す「勘所」や「支援の手引き」の作成」(九州技報No.74)では、生産性向上(≒時間外労働削減)を実感するための運用基準の再構築と運用基準の中で特に重要な事項や現場での留意点・配慮事項等を抽出した「工事の適正執行のための勘所」について紹介した。
続く働き方改革シリーズVol.2「人手不足に対応した工事施工の今昔」(九州技報No.76)では、全国の建設業就業者数の減少を鑑み、人手不足に対応した新たな取り組み(プレキャスト製品の活用、技術者交代の要件追加、工程管理と適切な変更等)について紹介した。
今回の働き方改革シリーズVol.3 では、業務の働き方改革に向けて、3運用基準(通称:3(スリー)ポイント)とその適正運用を促すために取りまとめた「業務の適正執行のための勘所」(通称:業務の勘所)について紹介する。
2.品確法 運用指針の改正
将来にわたる公共工事等の品質確保、その担い手の中長期的な確保・育成を図るため、令和元年6月に「公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律」が公布・施行された。
また、令和2年1月に改正品確法を踏まえた「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」の改正を行い、都道府県や市区町村を含む全ての公共工事等の発注者が適切に発注関係事務を運用し品確法に定められた発注者としての責務を果たしていくこととなった。
運用指針に定められた「発注者の責務」について、再度認識するためにも、以下に必ず実施すべき事項について示した。
①予定価格の適正な設定
②低入札価格調査基準価格の設定・活用の徹底等
③履行期間の平準化
④適正な履行期間の設定
⑤適切な契約変更
⑥受発注者間の連携体制の構築
3.業務における新たな取り組みについて
(1)業務の効率化に向けた運用基準の策定
建設コンサルタントや地質調査など業務の効率化に向けて、3運用基準(通称:3(スリー)ポイント)(図- 1)をパッケージ化し運用することとした。
①土木設計業務等変更ガイドライン(今回策定)
契約関係における責任の所在の明確化及び契約内容の透明性を向上させ、受発注者が相互に正しいルールを理解し、設計変更の円滑化及び適正化を図ることを目的に設計変更の事例を記載。
②業務履行条件明示の手引き(今回策定)
これまでも「発注時」、「業務進捗時」、「設計変更時」の各段階で条件明示に努めているが、実態との乖離が見受けられ、受発注者等から条件明示の徹底に対する強い要望が寄せられたことから発注時における条件明示の留意事項を記載。
③いきいき現場づくり
働き方改革に資するため、受発注者間の連携やコミュニケーションの強化を図り、品質の向上及び労働環境の改善を推進するための施策を記載。

(2)業務の適正執行のための勘所の策定
業務(特に検討や計画業務)は、発注者の指示により作業内容やそれに伴う労力が大きく変わるとともに、成果品の品質にも大きく影響する。そのため、発注者の設計思想やスケジュール感等の明確化と共有(コミュニケーション)が極めて重要となる。
そこで、九州地方整備局管内の各事務所や各業界団体などの意見を参考に、前述に示した「3 ポイント」の運用上、特に重要な事項や現場での留意・配慮事項などを「発注段階」、「実施段階」、業務完了時」といった各段階でのポイントを「業務の適正執行のための勘所」(図- 2、3)に集約した。


また、業務遂行上の留意点として、現場において、特に困っていることについて5つの項目について具体化し、各事務所に留意するように周知徹底した(図- 4)。

■受注者との初回打合せで、業務の意図や設計思想及び成果イメージ等を受発注者間で共有(見える化)する
■業務内容の大幅増に伴う契約変更においては、当初業務内容との一体不可分の整理とともに、業務量に応じた適切な費用と履行期間を確保する
■契約数量に変更が無い場合(一式契約含む)であっても、受注者に責の無い事象であれば契約変更が可能である
■災害時においては、受注者による他地域への広域支援もあり得ることから、受発注者の執行体制、業務への影響や意向等を充分に聞き取り、必要により業務の一時中止や業務スケジュール管理表の相互確認により履行期限の延期など、柔軟に対応する
■やむを得ない事情等により交代が認められる場合は、管理技術者は交代してよい
4.適正運用の徹底のための説明会
発注者向けにweb による説明会を行うとともに、その内容については九州地方整備局のホームページに公表することで、「業務の勘所」適正運用の周知徹底を図った。
5.おわりに
今回の取り組みは現場で課題になっている内容を見える化し、業務の適正執行、働き方改革に資する「指針」になるものと考えている。この取り組みで受発注者間にある課題が一気に解決できる訳ではないが、勘所に記載した内容が「当たり前」になるよう一人ひとりの意識改革に繋げていきたい。
なお、本稿に掲載した内容の詳細及び「業務の勘所」については九州地方整備局ホームページに掲載しているので参照願いたい。
http://www.qsr.mlit.go.jp/for_company/hatarakikatakaikaku.html
