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佐賀県に10番目の道の駅が誕生!
~道の駅「うれしの まるく」の紹介~

国土交通省 九州地方整備局 
佐賀国道事務所 建設専門官
長 坂 正太郎

国土交通省 九州地方整備局 
佐賀国道事務所 管理第二課長
矢羽田 成 巧

キーワード:道の駅、防災、観光・交流拠点

1.はじめに
「道の駅」は、道路利用者への安全で快適な道路交通環境の提供と地域の振興や安全の確保に寄与する目的として整備され、全国で1,100箇所を超える道路施設となっています。
佐賀県においても、平成6年に道の駅鹿島、厳木が整備されて以降、これまでに9箇所が整備され、地域の方々や道路利用者に利用されています(図- 1)。

図1 佐賀県内「道の駅」位置図

2.「うれしの まるく」の整備に向けて
(1)嬉野市の現状と課題
嬉野市は佐賀県の南西部に位置し、日本三大美肌の湯のひとつとされる嬉野温泉や製茶により全国にその名が知られ、観光業を主軸とした発展がなされてきた街です(図- 2、3)。

図2 位置図

図3 位置図(詳細)

近年では人口減少に加えコロナの影響により観光産業の落ち込みが、地域産業の低迷、若者の地域離れを招き、人口減少となることが懸念されています。

(2)整備目標
嬉野市では、西九州新幹線嬉野温泉駅開業を契機とした道の駅整備により、新たな玄関口としての観光・交流拠点の形成を目指す計画です(図- 4)。

図4 整備目標イメージ

(3)基本方針
前述の整備目標達成のため嬉野市が掲げた道の駅の基本方針は以下のとおりです。
■交流人口増加へ導く快適なサービスの提供
・すべての利用者が憩い集える機能の提供
・市の情報の提供及び市内観光地等への誘導
・インバウンド旅行者への配慮
・子育て世代への配慮
・ユニバーサルデザインへの配慮
■市民が安心して快適に暮らすことのできるサービスの提供
・市民の交流の場の提供
・安心安全の拠点となる防災機能の強化
■官民が一体となった整備
・まちづくり協定を締結し、周辺民間施設と一体となった運営
・商工会、旅館組合、大学等との連携
・施設運営への市民の参画

写真1 道の駅全体写真

3.施設の紹介
基本方針により整備された具体的な施設を紹介します。
(1)観光交流施設(写真-2)
観光案内所(写真-3)は、デジタルサイネージ等の映像設備を活用し、観光情報を発信するとともに、外国人旅行者に対応できるよう多言語(日本語・英語・中国語・韓国語)の観光案内パンフレットや無線Wi-Fi 等を設置しています。
又、農産品や工芸品等の展示会、市内各種団体の展覧会やチャレンジショップ等のイベントに利用できる多目的スペース(写真-4)を備え、地域交流の場として活用する計画としています。

写真2 観光交流施設(外観)

写真3 観光交流施設(観光案内所)

写真4 観光交流施設(多目的スペース)

(2)防災機能
災害時には、防災拠点や一時避難所としての防災機能が発揮できるよう電気や水等のライフラインの停止を想定し、72時間対応の非常電源を備えた発電設備(写真-5)や3日間のトイレ利用水等を確保した貯水施設(写真-6)を整備しています。
又、過去の災害の教訓から、備蓄倉庫(写真-7)を整備し、資機材をはじめ、災害用備品(飲料水・ブルーシート等)を保管する計画としています。

写真5 発電設備

写真6 貯水槽

写真7 備蓄倉庫

(3)子育て応援施設
子育て世代を応援するため、24時間利用可能な授乳やオムツ交換スペースを備えたベビーコーナー(写真-8)、オムツ自動販売機(写真-9)、妊産婦の方が利用しやすいよう「妊産婦」を示すピクトグラムを表示した屋根付き優先駐車場(写真-10)、子供用トイレ(写真-11)などの整備を行っています。

写真8 ベビーコーナー

写真9 オムツ自動販売機

写真10 妊婦向け優先駐車スペース

写真11 子供用トイレ

4.おわりに
道の駅「うれしのまるくは」令和4年9月20日に開駅しました。「まるく(markt)」には、丸くとドイツ語で市場という意味があり、市場の機能も兼ね備えた癒しの玄関口として、ここから大きな“ 輪” となり、新しい街が誕生する期待が込められています。
また、現在嬉野市では、観光客へ向けた交通サービスの提供として自動運転車両の検討も進めているところです。
駅名に込められた想いが実現するよう今後の取り組みについても支援していきたいと考えています。

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