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帰りたくなる島(シマ)

鹿児島県 環境林務部 
自然保護課 自然公園係
技術主査
平 山 孝 子

「島、好きだよね」周りから、よくかけられる言葉に、私はいつも「はい」と答えている。
鹿児島県には、26の有人離島があり、南北600㎞の中にある島々はそれぞれ特徴がある。北にある島と南にある島では、気候が違い、文化が違い、自然景観も違う。共通しているのは、飛行機や船を利用しなければ行くことが出来ないというところ。鹿児島の本土に比べ、ゆっくりとした時間が流れていて、海に囲まれているというところ。
まだ、すべての離島に足を運べてはいないが、離島の中でも南にある奄美群島のシマを、私は気に入っている。鹿児島でも海を見ることは出来るけど、私は南のシマの白い砂浜と青く美しい海を見に、今もシマに足を運んでいる。
周りから言われるほど「シマ好き」になれたのは、観光で行く3 日程度の旅行だけでなく、シマの住人になって、過ごした3年があるからだと思っている。3 日では知り尽くすことのできないシマの良い面や大変な面を3年かけて知ることで、私はシマを気に入ったのだと思う。県職員となり、離島勤務という環境があったからこそ見つけられた私にとって大切なシマだと。
シマの魅力は、海などの自然景観だけでなく、伝統文化や地域で行われる行事など、いろいろなところで感じることができる。
シマの住人となり、地域にとけ込み、過ごすことで、気づくことや知ることが多い。私は3 つのシマで住人となった。
1つ目のシマは奄美大島。南の島特有の木々で織りなす森や、奄美大島と徳之島にしか生息していないアマミノクロウサギを見て感動した。夏に行われる舟こぎ大会や八月踊りが好きで、八月踊りは、今も私の恒例行事となっている。私はこの島で、最初で最後となる大物を釣り上げた。この魚拓は貴重な宝物である。

写真 奄美大島:全長113cm 重さ13. 2kg のヒレナガカンパチ

2つ目のシマは徳之島。飛行機から見えたシマは、何だか南の島というより鹿児島に似ていると感じた。奄美大島より南にあるのに不思議な感覚だった。このシマには約400年前から続く闘牛文化がある。年に3回、全島一を決める大会が開催されている。闘牛大会なんてと初めは思っていたものの、間近で闘牛を眺め、闘牛に接するシマの人達を知ると見方が変わっていった。今も闘牛情報を教えてくれる知人がいて、闘牛大会に足を運ぶことがある。

徳之島:闘牛大会

3つ目のシマは沖永良部島。えらぶゆりなどの花の島として知られるこのシマは、自転車で島一周をしてみようかと思うほど、山のないなだらかなシマに見えた。実際、レンタサイクルで一周すると、車では通り過ぎてしまう起伏や、いろんな景色に気づく発見があった。
隆起サンゴ礁でできたこのシマは、数多くの鍾乳洞があり、一般公開されている昇竜洞もあるが、ここでは専属のガイドが案内してくれるケイビング(洞窟体験)ができる。真っ暗な洞窟の中をヘッドライトの光を頼りに、悪路を乗り越えながら目的地を目指す探検は、非日常を体験できる貴重な機会となった。初心者コースから上級者コースまで4 つのコースがあったが、無事に制覇することができた。

写真 ケイビング:初心者コースにて<

シマにはおいしいランチのお店があり、そこで過ごす時間に癒やされた。また食べに行きたいと思う。
3つ目のシマでは、管内に鹿児島県の最南端である与論島が含まれていて、仕事以外のプライベートでもよく足を運んだ。このシマには、大潮の干潮時に姿を現す幻の砂浜 百合ヶ浜がある。エメラルドグリーンの海と真っ白な砂浜は本当に美しい。南のシマの海は、どこもきれいなのだが、その中でも与論島の海を特に気に入っている。このシマでは3月にマラソン大会が開催され、全国からランナーが集まる。シマを2 周するとフルマラソンのコースができる大会は、地域の方の心温まる応援がランナーの心をとらえ、リピーターも多い。
シマの散策と称し、ランナーとは言えない速度でハーフに参加する私もリピーターの1 人だ。
どのシマにも青く美しい海の他にそれぞれ帰りたくなる理由がある。それぞれのシマで出会ったシマの友人たちは、そんな私を笑って迎えてくれる。私にとって、シマの魅力は尽きない。
みなさんも自分のお気に入りを見つけてみてください。

写真 与論島の海

写真 沖永良部島にてダイビング

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