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九州地方整備局管内における新技術の活用について
平松英樹
キーワード:新技術活用、建設技術、新技術効果

1 はじめに

新技術活用システムは、民間等により開発された新技術を公共事業において積極的に導入し、普及・活用を図るためのシステムである。
本システムは、平成10年度より運用を開始したもので、NETIS(新技術情報提供システム)を中核とする新技術情報の収集と共有化、直轄工事等での適用及び効果の検証・評価などで構成される。その、一連の流れを体系化したものを図-1に示す。

本稿は、九州地方整備局がこれまでに行った新技術の登録・活用・評価及び九州技術事務所における技術活用支援の内容について紹介する。

2 NETISの登録状況

近年のNETIS登録状況を表-1に示す。
NETIS登録の受付は、技術事務所等の申請窓口が行い、新技術の技術開発者に対し、新規性・効果及び適用範囲等を確認し、NETISへの登録を行っている。
登録は、毎年度40件前後を行っており、延べ300~400回のヒアリングを実施している。
登録に要する期間は、第1回ヒアリングから概ね3ヶ月から4ヶ月の期間を要している。
NETIS登録は、全国の地方整備局で行っているが、最近では、九州管内以外の開発会社からの登録相談及び申請が増えてきている。

3 新技術活用支援
3-1 歩掛支援・工法支援

新技術の歩掛は、基準化されたものは少なく、歩掛構成が複雑なもの、特殊なものに対し、九州技術事務所で歩掛作成の支援を行っている。また、現場に適合する工法選定の支援を行っており、平成21年度は、300件の支援を行った(表-2参照)。

3-2 運用歩掛の整備

新技術の歩掛は、これまで、現場条件毎に1現場1歩掛の作成を行っていたが、平成21年度から見積業者の承諾を得て、適用条件の範囲を定めることによって、一定の条件下のもとで、複数の工事に適用できる運用歩掛の整備を開始した。
通常の歩掛作成には1ヶ月~1ヶ月半を要するが、運用歩掛を定めたことにより、現場条件を整理し適用範囲を確認(適用の可否の判断)することで、1週間程度の短期間で対応することが出来る。
平成21年度は、105件の運用歩掛を作成し、82件の歩掛支援に対応した。
また、平成22年は11月10日現在、87件の運用歩掛を作成し、歩掛依頼223件中67件に対応している。

4 新技術活用状況

九州地方整備局管内での近年の新技術活用状況を図-2に示す。
新技術の活用は、年々増加しており、平成21年度は、全国で延べ10,381件が使われ、九州では延べ1,516件の新技術が活用された。

4-1 活用目的

新技術の活用目的は、経済性、工程、品質・出来形、安全性、施工性、環境の6つに分類され、図-3に示すとおり、1つの技術で複数の効果を求めて活用されている。
集計結果から見ると、経済性が一番高い比率であるが、各々30%から50%程度の比率を持ち、幅広い新技術の活用が伺える。

4-2 工種別活用状況

平成21年度の工種別活用状況は、近年、問題視されているコンクリートのひび割れ等の品質確保に繋がる技術が多く使われ、法面工・擁壁工・地盤改良などの共通工の多くの技術も使われている。
また、構造物の延命化及び地域環境に繋がる防草技術など維持補修の管理面の技術にも幅広く活用されている(図-4参照)。

4-3 コスト縮減効果

平成15年度からのコスト縮減額は、毎年度20億円から30億円を推移しており、平成21年度は暫定値であるが34億円と過去最高となる見込みである。
また、表-3に示すとおり、活用件数に比べコスト縮減効果の伸びは小さいが、コスト比較を行い、少額でもコスト縮減効果に期待する取り組みが伺える。

5 新技術活用実施報告書

新技術活用実施報告書(以下「報告書」という)は、新技術を活用した現場毎に従来技術に対しての優位性の確認を行うもので、その情報はNETISに登録され新技術活用評価会議(以下「評価会議」という)の事後評価のための基礎資料として全地整で共有する大変重要なものである。

5-1 新技術活用等計画書

新技術の活用に際し、工事等の着手前に提出される新技術活用等計画書(以下「計画書」という)は、各工事の新技術活用の事後評価において、適正に評価・確認するための比較技術(従来技術)の設定が重要である。
九州技術事務所では、平成21年度820件の計画書の入念な審査をした。

5-2 報告書の提出

報告書は、活用効果調査表を元に各工事等で活用する新技術について、工程、品質・出来形、安全性、施工性・環境等の技術的事項及び経済性の事項について従来技術と比較を行い、新技術の優位性を確認する重要な資料である。
年々増加する新技術の活用(図-2参照)に対し、より効果的かつ的確に作成する必要性があり、報告書の正確性と早期の提出が大きな課題となっている。
なお、九州技術事務所では、計画書及び報告書の記載に関し、説明会等を開催しているので、活用していただきたい。

6 九州地方整備局新技術活用評価会議

技術活用評価会議は、公共工事等への有用な新技術の活用促進を図るため、新技術の事前審査、新技術ニーズの募集・選定、事後評価、活用促進技術等の選定を目的としている。
(活用促進技術等は最終ページの参考資料参照)
平成21年度は4回開催、平成22度は現時点で2回開催している。
以下に、審議技術件数の一覧を表-4、表-5に示す。
また、全国における新技術情報を表-6に示す。

7 おわりに

民間等で開発された新技術は、各地整等で日々登録されており、事後評価を受けた有用な新技術を始め、現場のニーズに適した新技術等の評価情報も登録されている。設計で困った時、現場で困った時は、是非、「NETIS」情報をご覧下さい。
また、九州技術事務所では、工法抽出や歩掛・計画書・報告書作成等の支援を行っていますので、ご相談下さい。
※計画書・報告書は直轄工事が対象となります。

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