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一般国道10号加治木バイパスの全線開通について

国土交通省 鹿児島国道事務所
 工務課長
横 山 陽 一

はじめに
一般国道10号は,北九州市を起点として,大分市,宮崎市等を経て鹿児島市に至る東九州東岸地域の社会生活,経済,観光等を支える延長約450kmの主要幹線道路です。今回,一般国道10号加治木バイパスのうち鹿児島県始良郡加治木町~同町木田間1.3kmが平成14年4月19日に開通しました。これにより,同バイパスは全線開通する運びとなったため,その事業の概要と効果について報告します。

1 路線の概要
当該地域は,鹿児島県のほぼ中央に位置し,古くから薩摩半島と大隅半島を繋ぐ交通の要衝として栄えてきた地域です。また,現代においても県内人口の約30%が集中し,行政,経済,教育,文化等の都市機能が集積する鹿児島市と先端技術産業や研究開発機能等の集積が進みつつある国分・隼人地域との一体化を図る地域として,また,九州縦貫自動車道と東九州自動車道を連絡する加治木ジャンクション,鹿児島空港へのアクセスと県内の交通の要衝としてその重要性はますます高まっています。
当該地域を東西に横断する一般国道10号加治木バイパスは,鹿児島県始良郡加治木町反土を起点とし同郡始良町十日町に至る延長4.2kmの主要幹線道路であり,第3種1級,設計速度80km/hで一部4車線拡幅区間を含む4車線のバイパスです。昭和53年度に事業化を図り,昭和56年度より工事着手し,同年度より順次供用を図ってきたところですが,今回の開通により全線開通することとなりました。

2 事業の特徴
加治木バイパスの整備を進めるにあたっては,地域の人々に愛される道づくりを目指して,以下のような取り組みを実施しました。
1)住民参加による緑化推進
当該道路の整備にあたっては,自然環境にやさしく景観を向上させること,歩道部分の快適性を高めることなどを目的として,合わせて緑化計画にも取り組んでいます。緑化計画は学識経験者,地元住民の方々,マスコミ関係者,行政関係者及び道路管理者で構成する「加治木バイパス緑化計画委員会」を設置し,バイパス沿線に植栽する樹木の選定等を実施しました。

2)ボランティアサポート
当該バイパスでは,加治木小学校に隣接する道路の一部区間において,ボランティアサポートプログラムとして小学校5,6年生の皆さんに植栽帯の花壇の管理を実施して頂いています。

3)中学生が名付け親
今回開通区間の橋梁名は,加治木中学校の生徒さんに名称を応募していただき,「加治木バイパス橋名選考委員会(加治木町長外7名)」により決定しました。この結果,「太鼓踊り橋」「くも合戦橋」という地域の皆様に愛着をもって呼ばれる橋梁名をつけることができました。

3 「加治木バイパス」の整備効果
今回の開通により,現国道10号から加治木バイパスヘの交通の転換の促進が図られ,現国道の交通混雑の緩和や,沿道環境の改善,沿線住民の安全性や快適性の向上が期待されます。
更に,鹿児島市,鹿児島空港及び東九州を連絡する広域的な物流の効率化が図られ,地域振興に大きく寄与することが期待されます。
例えば,始良バイパスや隼人道路及び東九州自動車道と連結することにより,スムーズな走行性が確保でき,国分方面から鹿児島市街地までの所要時間が約15分短縮(約105分→約90分)することが期待されます。

4 おわりに
現在,鹿児島国道事務所では,加治木バイパスから始良バイパス等を経て繋がる鹿児島北バイパスにおいて,地域住民の方々の参加を得たPI(パブリックインボルブメント)方式を活用した道路計画の検討を実施しています。これからも,地域の方々の期待に一日でも早く応えることができるよう,全力で取り組んで参りたいと思います。

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