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テラ・ジェット工法(電磁誘導式非開削工法)について

建設省 遠賀川工事事務所
 飯塚出張所 技術係長
柏 木 弘 志

1 はじめに
これからの情報化社会の中で堰,排水樋管等の河川管理施設の操作状況を迅速にかつ正確に把握する必要がある。しかしながらその操作は,大規模な河川管理施設を除き,大半は未だ現地での人力作業に頼っているのが現状である。操作員は高齢化し,その数も減少しつつある現況を踏まえ遠賀川工事事務所管内に「河川情報通信用光ファイバーネットワーク整備」に基づき飯塚出張所管内約22kmのうち7kmの都市部に光ファイバーケーブルを敷設したものである。

2 工法の概要
遠賀川右岸高水敷に光ファイバーケーブル管路φ80mmおよびφ50mmの波付硬質合成樹脂管(FEP管)各2条づつ埋設した工事である。一部河川を横断し,河川管理施設である庄司川排水機場および菰田排水機場まで管路を敷設する必要があり,今回の工法をコスト縮減および環境負荷の低減を目的とし,この工法を採用した。

電磁誘導式非開削工法は,欧米諸国より輸入され首都圏を中心に採用された工法である。
引き込み管路としては,可とう性に富むポリエチレンパイプ(以下「PE管」という)を中心に電気通信用可とう性管路および溶接鋼管まで広がってきている。今回は,施工法よりφ50mmPE管(内面シリコン樹脂塗膜)を採用した。
適用土質としては,粘質土,砂質土,レキ質土である。

4 施工機械
今回施工した機械を以下に示す。
特徴としては,通常の開削工事と比較して次のことがあげられる。
(1)工期の短縮
(2)環境負荷の低減
(3)安全である
(4)工事コストの縮減(橋梁添架と比較した)

5 施工方法
テラ・ジェット工法は主に2段階の工程により施工されている。
(1)一次削孔(パイロットドリリング)
発進孔より外形55mmのドリルロッドを内蔵された発信器(ゾンデ)からの信号をロケーターにより探知しながら貫入し,ロッドの先端より特殊ポリマー(滑材および孔体の確保)を高圧で噴出し,ロケーターにより感知しながら方向修正(深度,方向,傾斜,温度)を行いつつ計画線上を到達孔まで推進する。

(2)二次削孔(バックリーミング)
到達孔で埋設する管外径に適合したバックリーマー・パイプ引き込み冶具を取付けバックリーマーを回転させ,特殊ポリマーを噴出し土砂を解きほぐしながら,ドリルロッドを引き込むと同時にPE管引き込みを埋設する。
以上,簡単に施工方法を記述した。

6 結果
従来の工法で橋梁添架した場合,交通,環境等に悪影響を与えてきたが,非開削工法で河川横断することにより,以下の効果があった。
(1)交通
 ① 規制による渋滞等
 ② 規制による事故等
(2)環境
 ① 騒音,振動,粉塵等の低減
 ② 建設発生土,産業廃棄物の抑制
(3)コスト縮減(表-5参照)

7 おわりに
今回施工した箇所の問題点,留意点は,現地の地質を事前に十分に調査する必要があり,地中に転石等またはN値20以上の地層がある場合には急激な推進方向の変更が難しいため,熟練したオペレーターが必要である。また,施工管理(基準高,変位)などが地中であり,ゾンデロケーターでの確認しかできないため施工管理手法の確立が急務だと思われる。
環境問題への対応,交通輻輳の軽減,工事費の低減等は,事業者を問わず昨今の重要課題であり非開削工法のニーズはますます高まると考えられる。

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