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東九州自動車道(蒲江~北浦)の工事が本格化
九州地方整備局 末岡彰
九州地方整備局 田中秀之進
九州地方整備局 中西宣仁
九州地方整備局 小串俊幸
はじめに

東九州自動車道は、福岡県北九州市を起点に大分県、宮崎県を経て鹿児島市に至る延長436㎞の高規格幹線道路である(図-1)。このうち大分県と宮崎県の県境をまたぐ「蒲江~北川間」約26㎞については、平成15年12月の第一回国土開発幹線自動車道建設会議において、国と地方の負担による新直轄事業方式での整備へ移行することとなり、大分県側を九州地方整備局佐伯河川国道事務所、宮崎県側を同じく延岡河川国道事務所が整備を進めている。
現在、このうちの「蒲江~北浦間」約14kmについて(図-2)、平成24年度の供用を目指し工事が本格化しているところであり、工事の状況などを報告する。


図-1 東九州自動車道位置図


図-2 東九州自動車道(蒲江~北浦)位置図

大分・宮崎県境の概況

大分県と宮崎県の県境は急峻な山岳地帯となっており、東九州自動車道(計画路線)に並行する現道の国道388号は、R=60m未満の線形不良箇所や防災点検要対策箇所が多数存在するなど整備が遅れており、安全・安心な道路環境が整っていない状況となっている(図-2、表-1、写真-1)。

表-1 国道388号蒲江~北浦間の現況


写真-1 国道388号の落石の状況


このような地形を通過する東九州自動車道蒲江~北浦間は構造物の比率が高く、トンネルが5本、橋梁が7橋あり、延長約14kmのうち、約64%に相当する約9㎞がトンネルと橋梁で占められている(表-2)。

表-2 蒲江~北浦間の構造物一覧

東九州自動車道蒲江~北浦間が完成すると、現道の国道388号に比べて蒲江~北浦間の所要時間は約30分短縮し、大分県南地域と宮崎県北地域の交流・連携がますます期待される。

蒲江~北浦間の用地取得の状況

用地取得は平成17年から鋭意進められており、平成20年10月末現在で用地取得率は関係人ベースで約9割まで進捗している。

蒲江~北浦間の工事の進捗状況

蒲江~北川間の全事業費は940億円であり、平成19年度末時点での事業費ベース進捗率は約15%である。

○ 橋梁

すべての橋梁で下部工工事を鋭意進めており、下部工が完成した橋梁から上部工工事に取りかかっている。大内川橋は平成20年度中に上部工まで完成の予定である。

写真-2 左;森崎川橋下部工、右;地下橋下部工

○ トンネル

トンネルは5本のうち3本がすでに着工しているほか、葛原トンネルについても平成20年度中に工事に着手する予定である。


・森崎トンネル
森崎トンネルは蒲江側坑口からの施工である。平成19年度に工事着手し、トンネル本体の掘削は平成20年8月より行っている。平成20年10月末現在の掘削長は約55mとなっており、進捗率約5%である。


写真-3 森崎トンネル


・浦之迫トンネル
浦之迫トンネルは蒲江側、北浦側の両坑口からの施工である。両工区とも平成19年度に工事着手し、トンネル本体の掘削は平成20年5月より行っている。平成20年10月末現在の掘削長は蒲江側が約185m、北浦側が約346mとなっており、進捗率はあわせて約32%である。


写真-4 浦之迫トンネル


・葛原トンネル
葛原トンネルも蒲江側、北浦側の両坑口からの施工の予定であり、蒲江側の工区は平成20年度中に工事着手の予定である。


・陣が峰トンネル
大分・宮崎県境に位置する陣が峰トンネルも両坑口からの施工であり、北浦側の工区のトンネル本体の掘削は平成20年8月より行っている。平成20年10月末現在の掘削長は約100mとなっており、進捗率約4%である。


写真-5 陣が峰トンネル(北浦側)

○ 土工部

その他の土工部についても、改良工事、市道・河川等の横断函渠工工事が鋭意進められている。


写真-6 函渠工工事

おわりに

東九州自動車道をはじめとする高規格幹線道路網等のネットワーク整備は、都市と都市、都市と地方の地域間交流を促進するための極めて重要な施策である。
福岡県北九州市を起点に、大分市、宮崎市等を結ぶ東九州軸の形成を図り、主要都市間の交流・連携を強化し、九州縦貫自動車道・九州横断自動車道と一体となった九州循環型高速ネットワークの形成が求められているところであり、今後とも、大分県・宮崎県県境地域の産業発展、活性化に向け社会基盤が一層充実するよう努力してまいりたい。

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