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一般国道57号熊本共同溝工事について

建設省 熊本工事事務所
 交通対策課長
大 川 忠 昭

1 はじめに
熊本共同溝工事は,一般国道57号熊本東バイパスにおいて,情報通信網,電力線等の都市ライン収容空間のネットワーク化を図る目的で,昭和60年度より一般国道57号熊本東バイパスにおいて「熊本共同溝」として事業に着手している。
熊本共同溝は,熊本市江津1丁目から同市近見町の4.6㎞区間で事業を進めており,平成8年度末までに約96%(L=4.4㎞)の進捗を図り,平成9年度は,残りの200m区間の早期完成に向け鋭意施工を進めているところである。

2 工法検討について
当初,鋼矢板土留工法(終点側よりL=4.0㎞)により計画していたが,残りの起点側600m区間についてはボーリング調査の結果,共同溝床付け面より約0.5~1.0m下方にN値50,透水係数K=2×10-1㎝/s程度の転石混じりの砂礫層が存在することが判明した。この土質条件のもとで山留工を施工するとなると多額の費用と期間を要する問題が生じた。
このため,工法を再検討した結果,転石層に触れず山留工も不要となり,また通行車両の安全性を確保しながら施工できる新オープンシールド工法が適当であると判断した。
従来工法である銅矢板土留工法と新工法である新オープンシールド工法について表ー1により比較する。

3 施工概要
(1)施工機械の特徴
新オープンシールド工法は,開削(オープンカット)工法とシールド工法の両方の長所を生かした土被りが比較的浅い地中に函体を敷設する新しい都市土木施工方法であり,下記の特徴がある。
1)地上の民家等の構造物に近接して施工が可能である。
2)振動,騒音が少なく周辺への影響が少ない。
3)掘削幅が少なく経済的である。
4)シールド機通過後は随時埋戻し,開放できる。
5)作業手順が簡単で安全に施工でき,工期の短縮が図れる。
6)地表から掘削状況が見えているため,地山変化への対応が比較的容易である。
(2)工法説明
共同溝の施工断面にマッチした新オープンシールド機を,あらかじめ地表面より約7m掘り下げた発進立坑にセットし,その後はシールドジャッキにより機械全体をプレキャストボックスの据え付け可能な作業スペースの確保(約1.5m)ができるまで推進させる工法である。
また,その推進にあたってはあらかじめ推進方向の前面にある土砂をバックホウにより除去しながら推進にかかる負荷をできるかぎり軽減するなど,前面掘削と推進の併用施工となった。この結果,施工速度は土質条件等により異なるが,おおむね1日あたり1.5~3.0mの進捗が図られた。
詳細な施工フローは図ー3に示すとおりであるが,本工法は,大きくは前面掘削→推進→プレキャストボックス据え付けの繰り返し工法である。

4 事業中の共同溝
前に述べた工法の説明は標準的な施工法であったが,当現場においては諸条件をかかえそれぞれの項目を解決しながら作業を進めたものでその施工実例を述べる。
(1)掘削施工について
掘削時の問題点としては
① 地下水位がGL-1.0m程度と高くGL-7.0mまでの深度掘削となる。
② GL-2.5mまでは粘性土であり,それ以深の掘削土は高含水比の土砂となり,そのままの自然状態では運搬および埋立に利用するのに管理基準が満足できないという問題が起きた。
このような問題に対処するため,様々な工法について比較検討を行った結果,
① 地下水位低下工法としてウェルポイント工法を採用した。
② 地下水位を短期間で効率よく下げるために,ウェルポイントは共同溝を挟むように両側施工とした。
③ この結果,地下水位を地表面から-1mを-4mまで下げることに成功した。

④ 地下水位が下がることによる周辺に与える影響について観察をしているが,現在まではその影響はほとんどみられない(予想沈下量:車道部4cm,歩道部2cm)。
また,ウェルポイント工法により地下水位を下げたために,
① 地表面から-4mまでの掘削土については,産業廃棄物としての処理が不要となり,通常の発生土として捨土が行えた。
② -4m以深の高含水比の掘削土については,セメント処理を行い現楊の埋め戻し材料として再利用を図った。
以上のようなことから,本工法についても相当のコスト縮減にもつながったものと思われる。

(2)交差点部の推進について
交差点部は交通量が多いことから,最小限期間全面通行止めを行い施工した。交差点付近は,過去に路床入換を行っていたため砂質系の路床となっており,掘削にあたっては地山崩壊の恐れが懸念されたため,仮設簡易矢板を両側に施工し推進した。
また,従来工法の場合は工期が長くなるため覆工板施工で,概ね昼間は交通を開放し夜間作業で対応せざるをえなかった。したがって工期の短縮およびコスト縮減にもつながったと思われる。

(3)2階建て部の構築について
新オープンシールド工法では,標準部を設置した後の頂版上に材料投入口や分岐部を構築する2階建て構造が必要となるが,標準部を構築した後に安全性の観点からすぐに頂版上の埋め戻しを行うため,2階建て部の施工にあたっては共同溝を挟むような形で縦断方向の両側に鋼矢板の土留めを行い床掘終了後,プレキャスト製品(2階建て部)を設置し完成させた。

(4)マシーン通過時の横断支障物の対策について
横断支障物の中には,マシーン通過時に直接支障となる横断函(管)渠等の地下埋設物や前面掘削時とPCボックスのクレーンによる吊り込み作業時に支障となる横断歩道橋があった。
地下埋設物については,支障となる箇所を撤去しマシーンの通過後に原形復旧を行えばあまり問題とはならなかったものの,横断歩道橋の場合については前面の掘削作業が大型機械では旋回等が困難となり,小型掘削機械2台の組み合わせによる2段掘りを実施せざるを得なかった。
また,PCボックスの吊り込み作業はさらに困難を要し,あらかじめ歩道橋の床版の一部を撤去し,桁と桁との間からクレーン2台の相吊りによりPCボックスの設置を行った。

(5)今後の実施予定
今後は,特殊断面部の立坑内に仮設置をしていた標準部のPCボックスを他工区へ流用するために移設作業を行っている。
また,埋め戻し部は前述したように高含水比の汚泥をセメント処理しているため,原形復旧については掘削費用もかさみ,捨土するにしても産業廃棄物の取扱いとなるのでさらに費用がかさむことが考えられる。
以上のようなことから,埋め戻し部は車道面と同じ高さでそのまま残し,分離帯の両端に盛土を行い植栽を施工する予定である。

5 おわりに
共同溝工事は平成9年度完成目標に施工中であるが,課題となっているのが継手構造の問題である。特殊断面部は現場打コンクリートであるためPCボックス製品との接続となり,継手部は変形等を吸収する構造であるため漏水が起りやすく,防水対策は十分考慮が必要である。また軟弱な地盤,構造変化部には原則として,可とう性継手を用いるのが望ましく,本工事区間の継手間隔は特殊断面部がL=100~120m間隔となり,このような構造変化部については,それぞれ可とう性継手を用いる計画である。
熊本共同溝の工事区間L=4.6㎞のうち,残りL=600mについて工法変更を行い新オープンシールド工法で施工してきたが,地下水対策が予想以上に困難であった。当工事区間は熊本独特の地下水(伏流水)を飲料水としている地域であり,濁水処理対策も十分に対応してきたところであるが,地下水に対する施工は貴重な経験であった。
新オープンシールド工法と従来工法と考えている鋼矢板土留工法についてコスト縮減の面から比較してみると,総合評価では概ね25%の縮減になると思われる。なお,下水道,雨水函(管)渠等として使用した実績は数多くあるが,共同溝工事として使用した実績がほとんどない。従って今回の工法が共同溝工事の先駆けになれば幸いである。

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