■利用案内 | |
開館時間 | 10時~18時(入館は17時45分まで)。年中無休 |
入館料 | 大人(中学生以上)300円 子供(小学生以下)200円、3歳以下は無料 15名以上は団体割引あり(各50円引き) |
〒876-0112 大分県南海部郡弥生町大字上小倉898-1 |
TEL0972-46-5922 FAX0972-46-0129 |
川に住むすばしこい魚たちの様子を自然に近い状態で見ることができる全国でも珍しい淡水魚専門の水族館「番匠おさかな館」。九州でも屈指の清流を誇る大分県南の一級河川・番匠川のほとりにあります。一歩館内に入ると、そこはもう川の中。番匠川の上流から下流まで、水中環境をリアルに再現した屋外生態水槽では、魚たちが元気に泳ぐ姿を眼前に見ることができます。川の底まで夏の光がいっぱいに差し込む「番匠おさかな館」を訪ねました。
清流・番匠川と「番匠おさかな館」
大分県のほぼ南端を流れる番匠川は、本匠村樫峰を源流に、弥生町、佐伯市を流れて佐伯湾に注ぐ、全長38キロの一級河川です。上流は石灰岩山地。山あいから染み出す水は清らかで、九州屈指の清流を誇っています。春はシロウオ、夏はアユ、ウナギやカニ、エノハなどが捕れ、6月にはホタルの乱舞が見られるなど、水辺の生き物にとっても豊かな自然を持つ番匠川。流域に住むこれらの淡水魚を、川の中で泳ぐ姿そのままに観察できるのが「番匠おさかな館」です。
JR佐伯駅から車で約10分。「番匠おさかな館」は国道10号沿いに平成13年4月にオープンした「道の駅やよい」の一画にあります。水族館のすぐ北側には番匠川(支流・井崎川)が流れ、エントランスの流水池でも野ゴイやクチボソ、アメンボが泳ぐ、自然豊かなロケーション。館内には美しい水中世界が広がっていました。
●「道の駅やよい」 大分県内では10番目の「道の駅」。地元の農産物や加工品を販売、レストランもある「弥生ぴかいち」、淡水魚水族館「番匠おさかな館」、「やよいの湯」、親水広場や子どもも広場、天気のいい日は外で食事ができるテラスなどの施設を備え、県内外から多くの方々が訪れる。
屋外生態水槽
■上・中流域
川底に横たわる大きな流木。滝から流れ落ちる清流が水中で泡立ち、奥行きの深い水槽の向こうには樹木や水辺の植物が茂っています。番匠川上・中流の水中を断面で見る大きな屋外生態水槽。自然の中から川を切り取って、はめこんだよう。
太陽の光がキラキラ差し込む水中には、番匠川の上・中流に住むヤマメ、アマゴ、川ムツ、アユなどの魚が泳いでいます。坊主ハゼ、大ヨシノボリ(ハゼの一種)が岩にはりつき、川底の小石の中には川ニナや手長エビも。アユが群れ泳ぐ姿や岩の苔を口ですくい取る様子も観察できます。
水槽のガラスの向こうは自然そのまま。雨や雪の日でも、自然の状態で観察できるのが特徴。ライトアップされることもあるとか。運がよければ睡眠中の魚に会えるかも。
■下流域
下流域の屋外生態水槽は、地元で「わんど」と呼ぶ、川の流れが淀んだ静かな水中が再現されています。
悠然と泳ぐ巨大なコイ。外来魚のブラックバスやブルギル、大口バスも泳いでいます。また、ひげをうごめかすナマズや岩陰にひそむウナギを観察できるのも生態水槽ならではの楽しみ。
■河口域
佐伯湾に注ぐ番匠川河口の汽水域を、水中に横たわった古タイヤまでリアルに再現した水槽。クロダイ、スズキ、マハゼ、ボラが泳いでいます。
■小水槽
メダカやドジョウが泳ぐ田園の小川を再現した水槽。「すばしっこいメダカとクチボソ、良く似ていますが違いが分かるかな」と飼育員の立川淳也さん。「ここに展示されているのはどこにでもいる魚たちばかりです。身近な自然の大切さを感じとってほしい」と語ってくれました。
温室コーナー
「番匠おさかな館」のもう一つの楽しみは、熱帯魚が泳ぐ「温室コーナー」が併設されていること。ここには東南アジア、南米、アフリカ、アフリカの湖、大型魚と地域別に生態が再現された大小5つの水槽があります。大型魚水槽に巨大ナマズのようなレッドテールキャットやシルバーアロワナがゆったりと泳ぐ様子は圧巻。
また、西アフリカの湖にすみ、口の中で子育てをするアロマノクロミス・トーマシー、子育て中は仲間といえども威嚇して寄せ付けないランプロログス・ブリチャージなどの珍しい子育ての様子を見ることができます。お見逃しなく!
特設コーナーと情報資料コーナー
季節に合わせた企画展が行われるのが特設コーナー。取材時は「流域の帰化動物展」を開催中で、アメリカザリガニ、ウシガエル、タイリクバラタナゴ、ミシシッピアカウミガメなどが展示されていました。
隣接した情報資料コーナーには3台のコンピュータが並び、番匠川の様子を音声と画像で学ぶことができます。またこのコーナーには淡水魚の専門雑誌や自然に関する書籍、ゲームなどもそろっています。
「番匠おさかな館」は、今年4月に結成された流域1市1町2村、31団体で構成する「番匠川流域ネットワーク」の事務局の役目も果たしています。8月には本匠村笠掛の水辺の楽校を会場に、ネットワークあげての一大イベント「番匠川・川あそび」が開催されましたが、同館もミニ水族館を出展。子どもたちの人気を集めました。
また事務局主催のイベントも年間を通じて開催。カヌー体験やアユのチョンガケ漁など川遊びのことならどんな相談にも応じ、遊びの手伝いをしてくれます。事務局(「番匠おさかな館」)まで問い合わせてみてください。
番匠川流域ネットワーク主催で 8月5日に開催された「自然の中で川の生物をつかまえよう!」の様子。流域の子どもたちが参加、清流に元気な笑い声が響いた。