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カワゴケソウ

つぼみ

川内川は、熊本県の白髪岳を源流に宮崎県のえびの市を流れ鹿児島県の栗野、菱刈、湯之尾堰を経て、支流の羽月川等と合流し、曽木の滝から鶴田ダム、そして川内平野を下り、東シナ海へ注ぐ長さ137kmの河川です。

川内川は周囲を豊かな自然環境に恵まれています。この川に「カワゴケソウ」という珍しい植物が生息しています。これは、日本全国で7種類(注1)しかいない内の1種類で、環境省のレッドデーターブックの絶滅危惧1A類及び鹿児島県の「天然記念物」に指定されています。

「カワゴケソウ」は、流れる川の水の中で育ち、花が咲き種子で増える高等植物(注2)です。

夏に根から厚さ0.2~0.4mm、幅2~4mmの葉状体をヒノキの葉のような形で伸ばしていき、10月頃1~2mmの「つぼみ」を付け、10月~12月にかけて順々に花を咲かせ「実」になり「種子」ができてその種子は水に流され岩に着床し、子孫を増やす大変珍しい植物です。

種子が流れる頃、植物体は藻に覆われて枯れて流され根だけ残ります。花も一斉に咲かず順々に咲くのは、洪水等水位の大きな変化に対応して全滅しないようにカワゴケソウが工夫しているのだろうと考えられています。

また、生育環境は岩盤や転石等で流水の速さが秒速0.2~1.6m、水はきれいで酸素が多く含まれ、日光がよく届く深さ10~50cm位に生育します。

川が汚れたり流れが遅かったりするとすぐ死滅します。反対に条件のいい所には、いつの間にか生育します。川の健康度を知るための指標植物と言われています。

私は平成5年から調べていますが、その当時または、調査以前から育っていた所でも今は育っていない所もあります。今年は10月頃調査しましたが、河床の転石一面に繁茂している所もありました。こんな所が以前より多くなっています。

これは、工事関係者やそれぞれの立場で川をきれいにしようと気をつけてきた結果かもしれません。

川内川下流の東郷町付近では川内川の水を取水して川内市民の飲料水にしています。その人達のことや自然環境の保全のことも考え川の健全を保つために、工場、農業、畜産、家庭の排水、それぞれの所で一層気をつけて、清らかな川内川を未来に残していきたいものだと思います。

注1/7種類のうち6種類迄が鹿児島県にだけ生息しています。
注2/花が咲き種子で増える植物を高等植物という。

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