九州地方整備局において、平成13年(暦年)における九州地方一級河川(20水系)の水質現況を河川の水質汚濁の代表指標であるBOD(生物化学的酸素要求量※1により把握しました。図-1は、水質汚濁の代表指標であるBOD75%値※2のランク別割合の経年的な変化を示したものです。平成13年においてはすべての調査地点でBOD75%値が5.0mg/lとなったことは特筆すべき事項です。
九州の主要河川におけるBOD75%値と河川流量の関係(図-2)を見ると、各年のBOD75%値は流量に応じて増減する傾向が見て取れます。すなわち、流量が多いときは水質が良く、流量が少ないときは悪くなる傾向にあるようです。また、九州全体の河川水質は近年、改善傾向にあるようです。
これは、地域住民の生活排水対策、河川の流域内で実施されている排水規制・下水道の整備などの発生源対策、河川水の汚濁負荷の直接除去などによる水質改善の取り組みの成果が少しずつ現れ始めているためと考えられます。しかしながら、更なる水環境改善のためには、平成13年度より始まった『清流ルネッサンス2※3』などによる緊急的・重点的な対策のみならず、今までに実施してきた生活排水対策をはじめとする各種施策の着実な推進と継続が重要であることは間違いありません。
※1 BOD(生物化学的酸素要求量)
水中の有機物を微生物等が分解する際に使う酸素の量を表す。この量が多いほど、水中の有機物が多いということになり、有機性の汚濁を表す指標としてよく用いられる。
※2 BOD75%値
BOD(生物化学的酸素要求量)のN個の測定結果を値の小さい方から順番に並べた時の、N×0.75番目の測定値のこと。たとえば、12個の測定値を順番に並べた時、水質の良い方から9番目(12×0.75)の値が75%値となる。75%値は、環境基準の達成状況を評価する際に用いる。
※3 清流ルネッサンス2
清流ルネッサンス2(第二期水環境改善緊急行動計画)は、水質の悪化等が著しい河川等において、合併処理浄化槽の整備や啓発活動等の流域の取り組みと一体となって、河川浄化事業や下水道事業を推進することにより、緊急的かつ重点的に水環境の改善を図ることを目的としている。九州地方では、平成13年度に大淀川上流(宮崎県)、平成14年度に遠賀川(福岡県)、肝属川(鹿児島県)、嘉瀬川水系多布施川(佐賀県)を選定している。