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i-Construction の取り組みについて

国土交通省 九州地方整備局
企画部 技術管理課 検査係長
鶴 田 健太郎

キーワード:i-Construction、ICT 土工、アンケート

1.はじめに
我が国の建設分野において、生産性向上は避けられない課題であり、国土交通省は2016 年からi-Construction を推進し、今年度は「貫徹」の年と位置づけている。i-Construction には、3 つ柱があり、① 「ICT の全面的な活用(ICT 施工)」、② 「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)」、③ 「施工時期の平準化」である。一般にi-Construction イコールICT 施工と思われがちであるが、「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)」及び「施工時期の平準化等」もi-Construction に関連する柱である。
本稿は、i-Construction の九州地方整備局としての取り組み及び最近の動向についてまとめたものである。

2.九州地方整備局としての取組
九州地方整備局では、局長を会長とした「九州地方整備局i-Construction 推進会議」を設置している。この会議の目的は、i-Construction の行動方針の策定及びフォローアップを行い、建設現場における生産性向上の取り組みについて強力に推進を図ることである。昨年度(平成30 年度)は以下の①から④の行動方針に基づきi-Construction の推進に取り組んでいる。
① 3 次元測量、ICT 施工など最新技術を学べる場を作ります。
 ~講習会、実機体験会の開催~
②技術活用のアイディアを互いに磨く場を造ります。
 ~意見交換会の開催~
③新しいやり方を試せる現場で建設業の魅力を発信します。
 ~積極的な広報と持続的な改革のための「カイゼン」の実施~
④建設産業の働きやすさと安全・安心を向上します。
 ~施工時期の平準化の実施と現場の安全性向上~

3.取り組みから見えた課題
平成30 年度の取り組みの中で、施工業者にアンケート調査を実施しており、その結果について紹介する。なお、アンケートはICT 実施・未実施者を対象に60 社に対して行い、有効回答数は52 社となっている。
図- 1 は、建設業界に対する危機感のアンケート結果で、施工業者の建設業界に対する危機感は総じて高い。

図- 2 はi-Construction の意義・目的の理解度に関するアンケート結果で、i-Construction の意義・目的は概ね理解されている。

また、起工測量から工事完成までICT 施工を行うことにより作業時間が平均3 割から4 割程度の削減がされたというアンケート結果がある一方で、九州地方整備局が平成30 年度に発注したICT 土工工事において、施工業者のICT 活用率は約4 割となっている。
図- 3 はアンケート結果から抽出したICT 未実施の主要要因である。その対策がi-Construction推進会議にて、平成31 年(令和元年)の行動方針に反映されている。

4.最近の動向
i-Construction に関連する最近の動向について紹介する。

(1)土木工事積算基準等改定
更なるi-Construction 推進のため、土木工事積算基準の主な改定は3 項目あり、①中小企業がICT 施工を実施し易い環境を構築するため小規模土工の施工区分の新設、②新技術導入等に要する現場経費の増加を踏まえた現場管理費率の改訂、③ 「ICT 地盤改良工(浅層、中層混合処理)」の歩掛の新設である。

(2)取り組みをリードする事務所を決定
平成31 年3 月にi-Construction の取り組みを先導する「i-Construction モデル事務所」、ICTFull活用工事の実施や地域の取組のサポートを行う「i-Construction サポート事務所」を決定している。九州では、モデル事務所が立野ダム工事事務所、サポート事務所が7 事務所で、福岡国道事務所、佐賀国道事務所、長崎河川国道事務所、熊本河川国道事務所、大分河川国道事務所、宮崎河川国道事務所、大隅河川国道事務所である。

(3)九州・沖縄ブロックの目標を設定
九州・沖縄ブロックにおける国、県及び政令市で構成される会議にて、「ICT 活用工事(土工)」の普及・拡大を推進させる上で、平成31 年度(令和元年度)における目標を表- 1 のとおり定め、実現に向けて各機関が鋭意努力している。

5.おわりに
生産性の向上を図るためには、建設生産システムのあらゆる段階においてICT の活用を行う必要がある。そのため、調査、設計段階から3 次元モデルを導入し、3 次元モデルで工事発注を行いICT で施工を実施する、さらには設計・施工の情報を3 次元モデルに連携させ、維持管理の各段階で活用することが必要である。これにより事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産システムの効率化・高度化を図ることが可能となる。引き続きi-Construction の推進に努めるとともに、関連する方々の積極的な取り組みをお願いしたい。

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