一般社団法人

九州地方計画協会

  • 文字サイズ
  • 背景色

一般社団法人

九州地方計画協会

  •                                        
高千穂通り 道路空間再編に関する報告書
「通る」から「居場所」となる高千穂通りへ

宮崎県 県土整備部
宮崎土木事務所
道路課 道路建設担当 技師
長 瀬 大 輝

キーワード:高千穂通り、道路空間再編、デザイン検討会

1.はじめに
宮崎県宮崎市の高千穂通り(主要地方道宮崎停車場線)では、歩行者・自転車の安全性向上および道路空間の利活用による都市魅力の向上を目的とし、「居心地が良く歩きたくなる道路空間」への再編を進めている。本報告では、これまでの検討経緯、整備方針、現時点までの整備状況を総括する。

2. 背景と目的
高千穂通り周辺では、宮崎駅西口の民間開発、駅前広場再整備、「ぐるっぴー(グリーンスローモビリティ)」の運行など、中心市街地の活性化の機運が高まっていた。これに伴い、歩行者・自転車・公共交通等が安全・快適に共存できる道路空間の必要性が高まってきたことで、多様な主体による「高千穂通り周辺地区の道路空間利活用協議会」が設立された。

3.社会実験と県民意見

図1

これらの声を反映し、以下に掲げるコンセプトを基本として、道路空間再編事業(ハード)の検討を行うとともに、歩道上に利便増進誘導区域を設ける「ほこみち制度」(ソフト)の導入についても検討した。

図2

図3

4.デザイン検討と手法
令和6年度は5回のデザイン検討会と8回のワーキングを実施した結果、局所的なデザインを残し、全体としてのデザインの検討を終えることが出来た。議論をより深く、かつ、スムーズに進めるため、手探りであらゆる手法を駆使したが、特に3Dによるデザイン設計は、議論も活発に進行し、関係者への説明においても大変分かりやすいと好評であった。

4-1 主な検討項目と内容
■道路空間再編(基本事項)
・歩道に隣接する自転車通行帯を車道横に「自転車道」として物理的に分離する。
・最大6.5m の大空間が生まれ、歩道必要幅3.5m以外の空間を有効活用する。

図4

■歩道
幅員3.5m を確保/大きな平板ブロック(300 ×450mm)による風格/緑陰が映える明るい色/透水性素材採用による暑熱対策

■自転車道
幅2.0m 以上/脱色アスファルトで視覚的に誘導/歩行者と物理的に分離(植栽、駐輪スペース等)

■バス停
テラス型/近傍にあずまやを設置/ 23m 以上の停車スペースを確保/ぐるっぴー共用

■植栽
クスノキと一体設計/花壇はレイズドベッド方式/通気性・保水性に優れた土壌対策/グリ-ンインフラによる暑熱対策

■ベンチ・スツール
再利用材活用/夜間照明演出/スケボー対策/高さのバリエーション

■照明
10lx 以上確保/点字ブロック周辺を重点照明/灯具高4.0m

■サイン
既存サインの整理と移設/占用物件との調和/自転車誘導の新設サイン導入

■駐輪対策
シェアサイクルポートを沿道4 か所に再配置/放置自転車禁止区域指定/短時間駐輪スペースを検討

■居場所創出
憩い・活動スペース/キッチンカーも配置可能なフリースペース/暑熱対策

4-2 検討手段・合意形成

■デザインシート
利点:内容ごとに丁寧に整理し進めることができる

図5

■報告書
利点:大切な事実は報告書でおさえる、ぶれずに進めることができる
§ 楠木の根状況調査  § 駐輪状況調査 
§ 自転車道先進地視察 § 屋外ワーキング

■模型
利点:参加者みんなで集中して確認しながら進めることができる

図6

■3D
利点:配置や色、明るさを自由に変えながら、選択しながら進めることができる

図7

■体験・実験
利点:体験が一番の近道「実感(ジッカン)は現場で起きている

図8

図9

■リーフレット
利点:名刺代わりに配り、たくさんの人を巻き込みながら進めることができる

図10

5.現在の状況と今後の展望
現在の整備状況として、民間開発が行われた区画については部分的に供用開始し、ほこみち制度も一部活用しており、多くの方に利活用していただいている状況にある。人の流れが大きく変わりつつあることを実感できる。

写真 ほこみちの様子

今後の展望としては、整備済み区域の利活用アイデアを踏まえつつ、段階的に拡大し、毎年更新するリーフレットやイベントを通じて県民への情報発信を強化したい。また、令和7年4月に発足した民間主導の「高千穂通ほこみち推進協議会」による利活用の推進には大変期待しているところである。
今後も、多様な主体(企業・住民・自治体等)との協働により、賑わいと居心地の両立を目指すとともに、宮崎県の魅力の核となりうる通りとしてのプライドを持ち、高千穂通りのブランド化と持続的発展を図りたい。

6.おわりに
今回の高千穂通りの道路空間再編は、まだ始まったばかりであり、宮崎県にとって、都市の新しい価値を創出する先駆的な取組である。今後も県民・関係者の意見を柔軟に取り入れつつ、ハード・ソフト対策を駆使し、安全で魅力的な「居場所」としての街路形成を進めたい。

図12

上の記事には似た記事があります

すべて表示

カテゴリ一覧