写真で伝える土木のミリョク
宮崎県 県土整備部
北部港湾事務所 所長
北部港湾事務所 所長
岡 部 章
入職者が減少し、高齢化が進む建設業及び建設関連業は、担い手不足から技術や技能の伝承が危ぶまれている。
こうした現状を変えようと、10年ほど前から、全国各地で土木に関する情報発信サイトが作られた。
私自身、土木広報に取組み始めた当初は、仲間を募って、公民連携の土木広報チームを作り、工事現場を中心とした情報発信に注力してきた。

しかしながら、官公庁に限らず、年齢を重ねれば、仕事の内容も変わり、工事現場にいく機会や広報活動に関わる機会が減る人も少なくない。
そこで、工事現場や組織内での広報活動から遠ざかった土木技術者でも、持続的に土木広報を続けていけるよう、平成26年に自らが発起人となって「土木写真部」という公民連携の土木広報チームを立ち上げた。
創部当初は、私を含め、部員はわずか2名だったが、その活動内容が注目され、地方紙や土木系のWeb サイトなどに取り上げられたことも有り、現在では、南は宮崎から、北は青森まで、59名が在籍するまでになった。
部員には、国土交通省や県職員などの公務員、建設会社や建設コンサルタントの社員やこれらのOB、灯台や橋、ダムやマンホールといった特定の構造物を愛してやまないマニア、さらには焼き鳥屋の店主まで、職業や年齢も様々である。

土木写真部では、土木構造物を「同じものはこの世に2 つとないオーダーメイドの作品」と捉え、その魅力や役割をSNS や「NO DOBOKU, NOLIFE.」と題した写真展を通じて情報発信しているほか、九州地方整備局などとの共催によるフォトコンテストも実施している。

情報発信をする際、部員の皆さんには、被写体となった土木構造物の歴史的価値や技術的なコメントをできる限り盛り込んでいただくようお願いしている。
そこには、土木に対する理解と関心を高めていただくとともに、土木をこよなく愛する者達が書いたちょっとマニアックな記事を目にすることで、様々なインフラを創り、守ってきた土木技術者にも想いを巡らしてほしいという願いが込められている。
創部当初、宮崎のみで開催していた写真展も、徐々に開催地を増やし、創部10年目となった昨年には、宮崎、福岡、東京、新潟で開催するまでになった。


写真展では、展示写真に加え、出展者のプロフィールも展示するほか、部員が展示作品を解説する「ギャラリートーク」も積極的に行ってきた。
そこには、働く場所としての「土木」の仕事を、より現実味のあるものして捉えていただくとともに、「土木で働く人」=「おっかないオジさん」というイメージを変えていく狙いもある。

また、昨年は創部10 周年記念の特別企画として、能登半島地震の被災写真を展示し、土木という仕事の価値や使命を改めて認識していただけるような活動も行った。

この10年間で情報発信を取り巻く状況は大きく変わり、私達の情報発信も、Facebook ページ中心から、各個人が「# 土木写真部」を付けてInstagramなどを使って情報発信するスタイルに変わった。(活動の原点であるFacebook ページは閉鎖せず、不定期での情報発信は続けている。)
一方で、建設業及び建設関連業の人材不足は、依然として深刻な状況が続いている。
私達の活動が広く認知されてきたことで、工事現場での撮影もしやすい環境が整いつつある。
今後は、原点回帰し、「現場のありのままの姿」を発信する活動にも注力していきたい。