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高校普通科のマンガ部生徒による「ドボク応援プロジェクト」
~若者と日本の代表的な文化「マンガ」のチカラで土木広報~

国土交通省 九州地方整備局
宮崎河川国道事務所 技術副所長
(前任:九州地方整備局企画部建設専門官)
田 脇 康 信

キーワード:土木広報、土木の魅力、出前講座

1.はじめに
建設業の働き方改革は待ったなしの課題です。
若者が希望を持って入職し、そして働ける建設業界にしていくためにも、様々な方法で建設業の魅力を広く発信することが重要となっています。
この課題への一助として、福岡県立城南高等学校の漫画研究部、福岡県立福岡中央高等学校の漫画研究部・有志の生徒の皆様が建設業や九州地方整備局の仕事の魅力を日本の代表的な文化「マンガ」で描き、若者にも親しみを持ってもらおうと「ドボク応援プロジェクト」を計画頂きました。
制作頂いた作品は、様々な広報の場で活用しています。
ここでは、この取り組みに至った経緯、作品、広報での活用例について紹介します。

2.経緯
日本のマンガ・アニメは、「ワンピース」や「鬼滅の刃」など海外でも人気で、今や世界を魅了する日本の文化となっており、近年はアニメ仕立てのテレビCM やマンガを使用した広告などを見かけることも増えています。
そこで、目立ちやすく、目に留まりやすい「マンガ」を活用した新たな土木広報について着想し、九州地方整備局が位置する福岡市内の高等学校の数校には文科系部活動として漫画研究部が存在することを確認したことから、土木及び整備局の広報への協力の可能性について当方から学校側に相談することとしました。試行的な取り組みとなることから、まずは九州地方整備局と学校とのアクセス性を考慮して、福岡県立福岡中央高等学校(以下「福岡中央高校」という。)と福岡県立城南高等学校(以下「城南高校」という。)の2 校にアプローチしました。

3.制作の過程
令和5年5月に両校へ依頼した。福岡中央高校の顧問の先生からは「生徒たちは、コロナ禍もあり、学校外の大人との交流する機会が減っており、キャリア教育の機会としてもありがたい。漫画研究部以外の生徒にも声をかけてトライしてみたい」との返事を頂くとともに両校の漫画研究部の部長からも同意頂き、実行することとなった。

写真-福岡中央高校での九州地方整備局の業務説明

両校とも普通科の高等学校であり、考査の期間、学校行事で部活動に集中できる期間は少なく、主に夏休みの期間に制作頂くこととなった。各部員の制作にあたって、マンガを見る人に伝えたいことをキャッチフレーズとして例示し、図案検討の参考としてもらった。
また、図案検討に必要な情報収集は、各部員がインターネット、九州地方整備局ホームページから自ら取得した。令和5年10月には完成した作品の引き渡しを受けるとともにコンセプトの説明などを受けた。
なお、作品の使用の権利は整備局に譲渡頂くとともにほとんどはアプリで制作されており、データで提供を受けた。

写真-城南高校での九州地方整備局の業務説明

4.作品(一部)
福岡中央高校普通科の1・2年生漫画研究部8名、有志4名の11作品、城南高校普通科の1・2年生漫画研究部7名の7作品の計18作品となった。

図-12-03 生徒に例示したイラストのイメージの一例

図-12-04

図-12-09

5.広報でのマンガ活用
完成した作品の一部は様々な広報の場面で活用した。特に中・高校生など、若者の目に触れる場面では、親しみやすさを与え、集客の看板として大いに活用できた。作品をデータで提供頂いており、汎用性が高かった。
以下に活用例の一部を示す。

【整備局ブースでの活用】
令和5年11月21日(火)~ 22日(水)、防災や減災に関する先進技術や製品などを紹介する九州地区最大級(先進建設・防災・減災技術フェア in 熊本2023)の建設・防災展示会の整備局ブース。
来場者総数:約6,900人、県内中学・高校・大学の学生が450名超の多数参加が参加。来場した学生が作品を使用したポスターと記念撮影する姿も見られた。

写真-12-10

令和5年10月11日(水)~12日(木)福岡国際会議場で開催された「九州建設技術フォーラム2023」の整備局広報のブースでも活用。来場者の興味を引く看板となった。

写真-12-11

【リクルートでの活用】
令和5年12月1日(金)宮崎大学工学部土木環境工学学生向け業務説明会で整備局のポスターとして活用。

写真-12-12

2024 九州地方整備局採用案内のパンフレットにイラストを活用。

図-2024九州地方整備局採用案内パンフ

【展示会】
令和5年12月4日(月)~ 22日(金)整備局が入庁する第二合同庁舎1F ロビーで展示を行い、多くの来庁者に見学頂いた。期間中には、制作した生徒さんに来場頂き、整備局内の職場見学も行った。

写真-城南高校の生徒さん<

6.おわりに
マンガの活用は、若い世代に土木への親しみやすさを与え、土木広報の武器として利用価値が高いことがわかった。
また、高校の漫画研究部に在籍する生徒さんは、文系の女子の割合が多く、一般的な土木のイメージからすると遠い存在であり、そのような方々に今回の取り組みを通じて土木や九州地方整備局の業務を知って頂いたことは広報の広がりを考えると意義深いと感じる。
マンガ制作の図案検討の情報収集においては、「九地整の業務について調べるためにHP を見たが、情報が多すぎてわかりづらかった。」「HPには専門用語が多く、写真も少ないため、理解するのが難しかった。」「実際に働いている職員についての情報が少なかったため、イメージするのが難しかった。」「女性職員がおしゃれに仕事していることに驚いた」などの率直な意見も頂き、リクルートなど若者への情報発信のあり方の参考になった。
取り組みを経て、生徒さんからは「参加してよかった」「来年度も機会あれば協力したい。今年よりうまくできるだろう」と多くの前向きな意見を頂き、整備局・学校・生徒の三方良し取り組みになったのではないかと考える。人口減少社会では様々な分野との協働は重要であり、継続的な取り組みにしたい。
結びに、改めて本取り組みにご協力頂いた福岡県立城南高等学校の漫画研究部、福岡県立福岡中央高等学校の漫画研究部・有志の生徒の皆様並びに学校関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

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