2019 with Dam ★ Night in Kyushu
開催報告
開催報告
ダム工学会九州地区連絡会
会長
会長
矢 野 真一郎
ダム工学会九州地区連絡会
wDN 実行委員会 委員長
wDN 実行委員会 委員長
太 田 達 雄
キーワード:ダム広報、一般者、ダムファン、ダム技術者、ダム研究者、交流
1.with Dam Night の目的と意義
「with Dam Night(ウィズダム・ナイト:略称wDN)」は、一般者・ダムファン(本文では、ダムマニア・ダム愛好家と同義)、ダム技術者・研究者との交流を通してダムに関する基礎知識や情報を社会に発信するとともに多くの方々がダム見学に出かけるための「ダムへの架け橋」になることを目指すものである。
wDN は、2010 年度、ダム工学会 20 周年記念事業として東京地区で四夜開催されたのが最初で、2011 年度から中部・近畿地区、2014 年度から九州地区で毎年開催しているほか、近年では、北海道、東北、中国・四国地区でも拡大開催されている。(ダム工学会 HP[イベント情報]にて、全国の wDN 開催内容が確認できる。)
[http://www.jsde.jp/kassei/WDN_ichiran.htm]
[http://www.jsde.jp/kassei/WDN_ichiran.htm]
ダム工学会がダム関係の技術者・研究者以外の人と積極的な交流を目指した場づくりを行うようになった背景に、ダムファンによる活発な動きによって一般者のダムへの興味と理解が相互に進展し、ダム技術者との交流を求めて始められたのが起点となっている。
2.ダムのドラマを語る夜☆
九州地区連絡会が開催する「wDN in Kyushu」は、サブタイトルを「ダムのドラマを語る夜☆」とし、シンポジウムを通じてダムの魅力を発見・発信する一夜だけの九州のダムにスポットを当てたイベントとして紹介している。
毎年発信する開催案内チラシは、基本構成を初年度から変更せず、翌年から始めた「九州ダムフォトコンテスト」の最優秀賞(1 作品)・優秀賞(2 作品)と日程、プログラムメニューを差し換えるという独自性・個性を優先したチラシ案内を継続している(図- 1・2)。
表- 1 にこれまでの開催日時、また巻末(表- 2) にこれまでの開催内容を示す。
3.2019 wDN in Kyushu の概要
これまで、ダムファン中心のインフラ施設であったダムが、「ダムカード」「ダムカレー」等で人気を呼び、近年、一般者にもその周辺地域環境と連携した観光資源(地域固有の財産)としての活用が行われてきている。
一方、「IoT × AI」が加速していく中でダム関連業界では、事業プロセス及び広報面でICT の導入による種々の推進が行われている。
今年度の wDN は、近年の上記のような取り巻く環境を鑑み、「観光資源と ICT」をキーワードとした講演プログラムを計画した(図- 2)。
今回の参加人数は、約 140 名程度と案内開始が少々遅延したこと等に起因してか、近年の参加人数を少々下回ったものの、会場はダムを楽しむ雰囲気で盛り上がっていた。
4.各講演内容等の紹介
総合司会は、FM 福岡の DJ &パーソナリティである Kaede さんにお願いしている。いつも変わらぬ新鮮なワクワク感に満ち溢れた司会によりイベントが開始された。
開会挨拶
九州地区連絡会会長である矢野真一郎から開会挨拶にくわえ、近年の豪雨災害に関連して地球温暖化の対応が重要であり、ハード対策としてのダムへの期待が高まっていると紹介があった。
講演- 1 昼のダムと夜のダムin さつま町
下土橋 潤一郎
奥さんが鶴田ダムでダムコンシェルジェを勤められるさつま町の下土橋さんから、鶴田ダムの取組みとさつま町のイベント等をご紹介いただいた。さつま町では、ご飯の型枠を統一し、13 店舗で鶴田ダムカレーが販売されるとともにスタンプラリーも行われているとのことである。鶴田ダムで開催されたTURUDA DAM NIGHT(デジタルマッピング)では、芸術性にあふれた空間アート照明が現地で提供されている。
講演- 2 ダムをVR/ARによって疑似体験してみよう
新山 悠紀
VR(仮想現実)や AR(拡張現実)を用いて、「ARによるダム堤体 3 Dモデル体験」「VRによるダム堤体探索体験」「VRによるダム・貯水池の飛行体験」「ダム放流動画体験」について、Web 上からダム見学を疑似体験する方法が紹介された。ダム工学会からは、フォトコンテスト審査投票者に限りハコスコ(VR ゴーグル)が提供され、早速休憩時間にダム疑似体験を行う参加者が多数見受けられた。この疑似体験は、Web 端末(携帯・タブレット・PC 等)から体験可能となっている。是非、多くの方にご体験いただきたい。
[https://ctigp.co.jp/vr/damnight/]
講演- 3 小石原川ダム次世代建設生産システム
山脇 健治
ICT施工については、同じフィルダム型式である大分川ダム建設時の施工対応を 2 年前に紹介いただいている。この時の講演内容と比較して、建設機械の自動化また建設現場の工場化が格段に進歩していることを確認することができた。さらに、AI を活用したデータ解析による生産革命が行われていることも知ることができた。熟練技術者の技術を代行できるまでにもなっている次世代建設生産システムの更なる発展を期待したい。
講演- 4 長崎・佐世保の歴史的ダム
星野 夕陽
石積み堰堤(メイソンリーダム)及び再開発が行われた長崎・佐世保の歴史的ダムの紹介である。長崎県のダムの特徴、ダム建設時の背景、特徴的な洪水吐、バルブ室に設けられるステンドグラス等 120 枚ものスライドを使って、楽しい講演が披露された。
星野さんの講演を目当てに参加された方も多かったようで、閉会時に回収したアンケートにも「長崎・佐世保」に行きたくなったと言うコメントを多数いただいた。
来賓挨拶
ダム工学会 会長 門松 武
来場が遅れた門松ダム工学会会長より、来賓の挨拶があった。今年度のダム工学会の方針として、 1)ダム技術の継承へ向けた対応強化 2)ダム堆砂問題への取組提案 3)ダム技術の国際貢献 を取り上げ、説明された。
5.イベント等
2019 九州ダムフォトコンテスト審査発表
wDN 実行委員会 酒井 匠
「九州ダムフォトコンテスト」は、より多くの方にダムに親しんでいただき、ダムの役割や自然との調和について知っていただくことを目的として実施しているものである。
今年度の応募作品は、19 作品である。当日の参加者による投票により、以下の作品が受賞された。
【最優秀賞】春のにぎわい 村上幸司さま
[コメント]ダム直下の桜並木では、花見客で賑わっており、雄大なロックフィルダムが優しく見守っているようでした(寺内ダム)。
【優秀賞】新ゲートの活躍 Kazu_ma さま
[コメント]台風 5 号の影響での大雨で防災操作を行う鶴田ダム。再開発事業により増設した放流設備からの迫力ある放流を撮影しました。
【優秀賞】椎葉ブルー 匿名希望
[コメント]土木建設業に従事する者として、先人の英知の結晶であり戦後復興の礎となったであろうこの日本最古のアーチダムに感銘を受けます(上椎葉ダム)。
受賞者には、会場にて表彰盾の目録を授与し、盾・賞品は後日お届けしている。
今後の開催に向けて、ダムの魅力が伝わるような写真を撮影いただき、沢山の方々に応募いただくことを期待している。
2019wDN in Kyushu「ダム jacpot」
総合司会 Kaede
wDN 実行委員会 山田 徹
wDN 実行委員会 山田 徹
「ダム jacpot」とは、ダムに関連するビンゴゲームを行うイベントである。ダムの写真と数字を組合わせたルーレットを回しながらのゲームで、数字の発表とともに歓声が上がり、大盛況のゲーム大会となった。今年は、「重機ミニチュア」「ペーパークラフト」「トートバック」「ノート」「ボールペン」等、多くの参加者に商品が配布できるような内容とした。参加者に大変喜んでいただけるイベント提供になっているようである。
閉会挨拶
wDN 実行委員会 委員長 太田 達雄
本日のご講演を総括するとともに、今後とも継続して内容を充実させ、皆様にダムの魅力をお伝えしていくことを案内した。
参加者・講演者・関係機関、さらに実行委員会各位のご支援をいただき盛況に終演できたことに御礼申し上げ、盛大な拍手により閉会を迎えた。
6.懇親会
懇親会は、一般の方をはじめ、ダム事業関係者、ダム愛好家や学生さんなど多くの方に参加いただき、語らい・交流の場として提供している。
高橋実行委員の司会より開会宣言が行われ、元永水資源機構筑後川局長による開会挨拶をいただいた。この中では、近況のダム報道とダムの広報についての課題が提起された。
懇親会の中では、参加者の多くに登壇いただき、ダムへの思いやダムに対する取組み等をそれぞれの立場でご紹介され、盛況な中での交流会となっている。
最後に元九州地区連絡会会長であられた大塚九大名誉教授より閉会挨拶をいただき、元永局長(+ 九州地方整備局若手技術者)による「ダム式バンザイ」により閉会を迎えた。
7.さいごに
wDN は、一般の方々を始め学生さんに向けて、ダムについてより親しみやすくまた分かりやすく理解していただきたいという趣旨で開催をしてきたが、まだまだ専門・技術用語が多く登場し、更なる工夫が必要な気がしている。
とは言っても、一般参加者が回数を増やすとともに増加していることを感じるとともに、女性やご家族さらにダム愛好家の参加、また今年は外国人の参加も確認できた。
今後とも、益々盛況なイベントとして継続開催できるよう、一層の工夫を図っていきたい。
謝辞
wDN の運営にあたり、( 一社 ) 九州地方計画協会には、公益支援事業に採択し共催いただいている。ここに謝意を記し、厚く御礼申し上げる。