1 樋門・樋管の基礎杭に関する試験施工について
九州地方建設局河川部河川工事課
現在,樋門,樋管の基礎杭は,「河川砂防技術基準(案)」設計編に則り支持杭方式で設計されている。そのため,ゆるい砂層の続く地盤や軟弱地盤では樋門,樋管周辺地盤の圧密沈下に伴う抜け上がりや空洞化等の悪影響が生じている。
河川部としては,これら一連の問題に対処するため,沈下の許容量を限定した摩擦杭方式の導入を考慮した試験施工を,管内の数事務所で行っているので,その一例を紹介する。
本施工箇所は図ー1に示すとおりシラス地盤であり従来の設計手法(支持杭方式)であれば杭長ℓ=17.0m程度が必要であるが,今回は摩擦杭方式としてℓ=7.0mで施工した。なお,本施工に当っては,図ー2に示すとおり種々の計器を埋設する事とした。
観測結果は,表ー1に示すとおりであるが,観測結果から判断すると,樋管本体内部の応力度が施工工程毎に種々の変化を示しているため,今後計算値と実測値の比較・解析を行うとともに,試験例を積み重ねて新設計法の確立を図りたい。
2 国道222号新村12号橋の施工(紹介)
建設省 宮崎工事事務所
一般国道222号は,日南市油津を起点とし都城市仲町までの延長59.9kmで県知事の管理となっている。しかし,そのうち日南市深瀕より都城市早鈴町までの急峻な山間部24.1kmを建設大臣の権限代行区間として国が直接一次改築事業を行っており,宮崎工事事務所で担当している。
この区間は,山岳地帯を通るため,橋梁,トンネル等の構造物が多く,昭和42年度に着手したが,昭和60年度までに,日南市側5.4km,都城市側5.8kmの計約11.2kmを供用開始している。
ここで紹介する新村12号橋は,宮崎県日南市大字酒谷字新村にあり,昭和58年度より22億円をかけて実施するもので,標高250~350mの尾根線を結ぶ深い谷を渡る橋梁であり,起点側の平面線形は半径100mの円曲線で,橋梁の線形としては非常に曲率半径の小さなものとなっている。
このため上部工は捩り剛性が大きいため,経済性に優れた鋼箱桁形式を採用した。下部工の橋脚は深い谷部を渡るため,桁下高が非常に大きく,特にP4橋脚は躯体部の高さが76mとなり,基礎を含めると81mとなる。完成すれば桁下高の規模では国内有数の橋梁と言える。また橋脚の形式は壁式橋脚,基礎地盤は複雑な地層で形成され特性等が異なりP3,P4橋脚の直接基礎を除き,山岳橋梁の基礎として使用実績の多い深礎杭(杭径3m杭長16~25m)を採用した。
工事は58年4月から橋脚5基の中で一番高いP4橋脚に着手し,現在P1橋脚~A2橋台までを完成させ,今後,P1橋脚及びA1橋台を完成させ,上部工の施工へ移る計画である。
上部工 橋長320m 幅員8.0m
鋼3径間連続箱桁橋 2連
下部工 橋台 逆T式橋台(深礎杭基礎)2基
橋脚 壁式橋脚(直接基礎) 2基
橋脚 深礎杭基礎 3基
注)本稿・新村12号橋はグラビア(e)「国内有数の桁下高(81.0m)を誇る一般国道222号・新村12号橋」を参照