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九州における直轄高速事業への取り組み

国土交通省 九州地方整備局
道路部 道路調査官
岸  弘 之

1 はじめに
高速自動車国道の整備については,平成15年12月25日に開催された第1回国土開発幹線自動車道建設会議の議を経て,高速自動車国道の整備計画未供用区間のうち,全国27区間(699km)が新直轄方式の整備に切り替わりました。
また,平成18年2月7日には第2回国土開発幹線自動車道建設会議が開催され,残る未供用区間の整備主体が審議され,新たに全国で7区間(123km)が新直轄方式での整備に切り替わり,平成18年2月28日の整備計画の変更をもって,整備主体が正式に決定しました。
九州においては,九州横断自動車道延岡線及び東九州自動車道が,「新直轄方式による整備」と「西日本高速道路株式会社(以下「新会社」という。)による整備」に振り分けられ,九州の社会資本整備の課題であった高速道路の整備計画区間における整備主体が正式に決定しました。
「新直轄方式による整備」とは,必要な高速道路の建設において,新会社による整備・管理が難しいと見込まれる路線・区間を国と地方の負担で新たな直轄事業として行う整備手法です。
ここでは,九州地方整備局の新直轄方式による高速道路整備(以下「直轄高速」)についてご紹介していきます。

2 九州における高速道路整備の歩み
まずは,九州における高速道路整備の歩みについてご紹介します。九州の高速道路整備は,昭和46年6月の九州縦貫自動車道植木~熊本間(13.9km)の供用から始まりました。その後も順次整備が進められ,平成7年7月には,人吉~えびの間の暫定供用により九州縦貫自動車道が全線開通しました。
平成8年3月には大分自動車道玖珠~湯布院間が暫定供用し,九州7県の県庁所在地が高速道路で結ばれました。
平成16年3月の長崎自動車道長崎~長崎多良見間の供用で,九州横断自動車道長崎大分線が全線開通しました。
東九州自動車道の整備については,九州縦貫自動車道から遅れること28年後の平成11年11月に大分米良~大分宮河内間がはじめて開通し,その後も宮崎西~清武JCT間(平成12年3月),西都~宮崎西間(平成13年3月)等,順次整備が進められていますが,平成18年3月末現在で一般有料道路区間を含めて33%の整備率に留まっています。
また,九州横断自動車道延岡線については,一般国道の自動車専用道路の「北方延岡道路」の一部区間(舞野~延岡JCT間)が平成18年2月18日に供用しましたが,平成18年3月末現在の整備率は2%となっています。
九州横断自動車道延岡線と東九州自動車道の整備計画のうち,平成18年3月末現在の未供用延長は261kmであり,このうち145kmを直轄高速として整備していくことになります。

3 九州における直轄高速区間
九州の直轄高速区間を以下に示します。

ここで,九州管内における直轄高速の各区間の事業進捗を紹介することにします。

(1)九州横断自動車道延岡線(嘉島~矢部)
九州中央部を東西に横断する九州横断自動車道延岡線(約95km)のうち,九州縦貫自動車道嘉島JCTから矢部ICに至る延長約23kmの区間です。平成17年度は,嘉島JCT側12kmの設計協議を実施し,平成18年3月には,大平・河内トンネル工事に着手しました。平成18年度は,6月に残り11km区間の設計協議に着手し,今後は工事用道路の整備を進めていきます。

(2)東九州自動車道(佐伯~蒲江)
大分県佐伯市の佐伯ICを起点に同市蒲江ICに至る延長約20kmの区間です。第2回国幹会議の議を経て,新たに新直轄方式に移行した区間で,平成17年度に設計協議に着手しました。平成18年度は,引き続き設計協議と用地取得を進めていきます。

(3)東九州自動車道(蒲江~北川)
佐伯~蒲江間の延伸部にあたり,大分県佐伯市の蒲江ICを起点とし,宮崎県東臼杵郡北川町の北川ICに至る延長約26kmの区間です。大分県側では,平成17年度に設計協議に着手し,平成18年2月には区間内の全ての地区での設計協議が完了し,「設計協議確認書の調印式」を開催しました。3月には一部用地取得にも着手しております。平成18年度は,宮崎県側においても6月に設計協議に着手しています。

(4)東九州自動車道(清武~北郷)
九州縦貫自動車道清武JCTを起点に,宮崎県南那珂郡北郷町の北郷ICに至る延長約19kmの区間です。平成17年度に設計協議に着手し,平成18年3月には,丸目トンネル・水無川橋下部工工事に着手しました。平成18年度も引き続き用地取得と工事を推進していきます。

(5)東九州自動車道(北郷~日南)
清武~北郷間の延伸部にあたり,宮崎県北郷町の北郷ICを起点とし,日南市の日南ICに至る延長約9kmの区間です。平成17年11月に日南市において「中心杭設置式」を開催し,測量及び設計を進めてきました。平成18年6月には設計協議に着手しています。

(6)東九州自動車道(志布志~末吉財部)
鹿児島県志布志市の志布志ICを起点とし,大崎町,鹿屋市を経由し曽於市の末吉財部ICに至る延長約48kmの区間です。
このうち大隅から末吉財部間(11.1km)については,平成21年度内の開通を目標に工事促進を図っています。

鹿屋串良から大隅間約18kmは,平成17年度に設計協議に着手し,一部用地取得を行いました。平成18年度も引き続き,用地取得を進めていきます。
志布志から鹿屋串良間約19kmについては,コス卜縮減の検討を進めており,平成18年度には,設計協議用図面の作成を行い,設計協議に着手する予定です。

4 プロジェクトチームの設立
九州地方整備局は,直轄高速事業を強力に進める為,地元関係機関の協力を得て,区間ごとに5つのプロジェクトチームを設立しました。

直轄高速事業を強力に進めるには,地元の協力が必要不可欠です。また,直面する課題に対しても共通認識を持ち,一丸となって対応する事が,事業進捗の大きな力となります。
プロジェクトチームは,平成18年2月から3月にかけて各地で発足しました。
プロジェクトチームの構成は,以下のとおりプロジェクトチーム(PT)とタスクフォース(TF)から構成されます。
①新直轄事業推進PT
直轄事務所長,県の土木関係部局長と地元市町村の首長で構成し,各区間における事業推進の核となります。
②新直轄事業推進TF
関係市町村単位で,事業の進捗状況に合わせた国,県,市町村,新会社の実務担当者で構成し,設計協議,用地取得工事等を強力かつ円滑に推進する為の実働部隊となります。

大隅河川国道事務所では,平成18年4月3日に曽於市内に「東九州自動車道プロジェクト推進室(曽於建設監督官詰所,鹿児島県土地開発公社)」を開設し,新直轄事業を強力に進めています。

また,佐伯河川国道事務所においても,事務所内に「東九州自動車道事業推進室」を設置して,関係機関との情報の共有化を図り,事業推進の拠点とするなど,直轄高速事業推進に向けた動きは,確実に広がっています。

5 「ちゃくちゃくプロジェクト」
九州地整では,平成15年度から,道路整備のマネジメント方法として5年以内の供用目標と年度毎の進捗目標を設定し公表する仕組みを「ちゃくちゃくプロジェクト」(以下「ちゃくプロ」という。)として導入しています。
直轄高速事業についても,平成17年度に公表した「ちゃくプロ2005」において,東九州自動車道(志布志~末吉財部)のうち,大隅IC~末吉財部IC間(L=11.1km)を平成21年度に供用することを目標に掲げ,整備を行う事を公表しました。今後は,各年度毎に設定した進捗目標についての達成状況を公表し,進捗管理を行っていきます。
また,他区間においても,要件が整い次第順次,公表していく予定としています。

6 おわりに
高速道路は,九州の発展の為に必要な社会資本であるとともに,地元にとっては待ちに待った悲願の道路であります。事業に携わる我々は,この思いを肝に銘じて,一日も早い供用開始を目指し,関係機関と連携を図って事業を進める次第です。

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