~建設技術フェア2000を終えて~
(前)国土交通省 九州技術事務所
副所長
副所長
西 原 廣 壽
国土交通省 福岡国道工事事務所
工務課長
(前)国土交通省 九州技術事務所
技術課長
工務課長
(前)国土交通省 九州技術事務所
技術課長
末 岡 彰
1 はじめに
建設技術フェアは,昭和32年「建設機械展示会」の名称で社団法人日本建設機械化協会九州支部の主催で実施されたのが始まりです。
その後,平成3年から建設省九州技術事務所主催「新技術・新工法・新材料」の展示会として「建設技術展」の名称で毎年事務所構内にて開催し,平成12年度で10回目を迎えました。
2 建設技術フェア2000
平成12年度は,「未来の社会を支える人と技術」をキャッチフレーズに生活・暮らしのなかの施設整備,技術の役割に焦点をあて,対象者も従来からの建設事業関係者の情報交換だけでなく,未来を背負う小中学生をふくめ広く一般の方々に理解を深めていただくことを目的として計画しました。
3 コンセプト
出展技術は,これまで培われた建設技術に加え,技術創造立国を目指す政府のミレニアム・プロジェクトで重点課題として取り上げられている「情報」,「安らぎ」,「環境」をキーワードとしてテーマゾーンを中心に出展者の募集を行いました。
4 配置構成
福岡ドーム会場を大きく環境,安らぎ,情報の3ゾーンに括り,回遊性および滞留性の高いゾーニングに心がけました。
(1)行政コーナー「テーマゾーン」
社会資本整備の過去および新技術の取り組みを含めた未来の方向性を以下の5つのコーナーで設けました。
① 国土交通省コーナー 九州の国土づくりを担って
② 交通コーナー 進化する道
③ 水コーナー 個性を活かした川づくり
④ 暮らしコーナー 人にやさしい街づくり
⑤ 海と空コーナー 社会を支える港湾空港づくり
(2)民間新技術展示ゾーン
フェアのキーワード「情報」,「安らぎ」,「環境」の新技術に応募した152企業から,約400技術の情報発信があり色々な意見交換がなされました。
① 情報
建設業界にもはや欠かせないものとなったGIS関係技術が数多く展示され,測量を目的としたGIS技術にとどまらず,災害防止や各種情報提供など幅広い高度な技術が紹介され,改めて建設事業の情報化の進展が認識されました。
② 安らぎ
お年寄りが安心して生活することのできる社会づくりを目的とし,音声や光等を用いて地理情報を高齢者に提供するシステムや,歩道のバリヤフリー化を推進するための技術などが展示され,多くの注目を集めていました。
③ 環境
建設現場における廃棄物などのリサイクル技術,護岸,法面緑化工法などのビオトープ技術や土壌・地下水の汚染浄化システム等,様々な自然との共生を柱にした技術が数多く出展され,事業の取り組みを含め高い関心を集めていました。
(3)ふれあいゾーン
人と自然そして技術の関わりを,降雨体験や高齢者を対象とした模擬実験などを通して,実際に体験し共に考える参加型の「ふれあいゾーン」には家族づれや学生等多くの方々の歓声が聞かれ楽しさを醸し出していました。
5 実施結果
開催両日とも晴天に恵まれ13,000人の入場者を迎え福岡ドーム13,000m2が終日活気に溢れ,熱心にメモを取る方や家族連れで楽しむ方の姿が見受けられ,一般の方々に建設技術の意義や重要性をお伝えすることができたと考えています。
また,建設事業関係の方々からも,「新しい技術の動向やこれからの開発の方向性に触れることができた」という声や,家族に「自分の仕事を知ってもらうよい機会となった」という声が聞かれました。
6 現場見学会
21世紀初頭に完成する,外環状道路福重ジャンクション工事現場,地下鉄3号線薬院西駅舎工事現場,アジアの玄関口として着々と整備が進められている香椎パークポートなどの工事現場の最前線見学と,航路浚渫と油回収ができる「海翔丸」の乗船見学会等をフェアと同時に行ない1,520人の参加がありました。
参加者からは構造や環境問題に対する対策など異なった観点から多くの質問があり,専門家を自負している技術者も立場を変えた見方で勉強する必要があるのではと改めて考えさせられる一面もありました。
7 おわりに
建設技術は,利用する「つかう側」の視点にたち関係各界連携協力のもと研究開発の推進と併せて,現場において開発された技術を積極的に活用し評価を行ない,技術の向上を図ることが極めて重要であります。このため,関係各位のなお一層の取り組みへのご協力の程を宜しくお願い致します。
最後に,フェアに対して多大なご支援,ご協力を賜りました出展者,関係者のみなさまに,本紙をお借りして心より厚くお礼を申し上げます。