福岡国道工事事務所の事業紹介
建設省 福岡国道工事事務所
所長
所長
森 将 彦
1 はじめに
福岡国道工事事務所は,九州の中枢都市圏として成長を続ける福岡都市圏と久留米,大牟田,柳川,大川,八女,浮羽などの筑後地域における直轄国道行政を担当しており,国道3号,201号,202号,208号,209号,210号の6路線,約260kmの区間の管理,改築と西九州自動車道(国道497号)の新設,国道442号大分県境の竹原峠での権限代行一次改築,および都市域における共同溝などの事業を実施している。また,本年は「九州・沖縄サミット」が7月に開催され,福岡においては7月8日に「蔵相会議」が開催されることから,これらにむけた環境整備やセキュリティー対策にも取り組んでいる。
2 主要事業の概要
(1)高規格幹線道路
高規格幹線道路としては西九州自動車道(497号)の一環である今宿道路と関連事業としての福岡外環状道路を重点事業として促進している。
① 今宿道路
今宿道路は福岡市西区から糸島郡二丈町に至る23.3kmの道路で起点の西区で福岡都市高速1号線および福岡外環状道路と接続するものである。
これまでに全体区間の内,12.3kmの自専区間を福岡県道路公社との合併事業などにより供用し他の区間は一般道路部を供用している。現在は起点側に残る約2km区間の自専部の工事を来年秋の都市高速1号線との一体供用を目途に促進中である。
また,本年度は課題として残されている前原ICから二丈ICまでの区間の自専道としての都市計画変更を推進していくこととしている。
② 福岡外環状道路
福岡外環状道路は福岡市博多区から西区への福岡市西南部地域を貫く16.2kmの環状道路で起点の博多区で国道3号福岡南バイパスおよび都市高速2号線に接続し,終点で前述の西九州自動車道と都市高速1号線に接続するもので,当道路は都市高速5号線との合併事業として促進している。
土地利用の密集した市街地を通過することから膨大な件数の用地取得が大きな課題であったが,福岡市の力強い取組などとも相まって概ね9割の取得率に到達した段階である。
また,用地取得が進んだ部分においては地域利用にむけこれまでに平面部分の暫定供用を城南区と早良区~西区で4.7kmを供用している。現在は残用地の取得に関係機関連携して取組むと共に都市高速の工事推進や後述の共同溝工事との調整を図りつつ可能な部分から工事を促進している。
(2)地域高規格道路「有明海沿岸道路」
地域高規格道路としては永年の県南地域の課題であった有明海沿岸道路は,一般道路として事業着手していた区間を含め,福岡県区間27.5km区間全線を平成11年春に自専道に都市計画変更し,11年度には全線事業区間(一部着工準備)に組み入れられた。当道路は,西側は佐賀南部を通過し佐賀県鹿島市までの区間が調査区間として,また南側は熊本市までの区間が候補路線として調査中であり,有明海沿岸の3県の諸都市を連ねる地域高規格道路である。
当事務所の担当する福岡県区間は,「大牟田高田道路」「高田大和バイパス」「大川バイパス」の3つの事業で構成している。昨年度は全線区間において路線測量や設計,用地測量,設計協議,用地買収の促進を図り,本年度も引き続き用地の促進に全力をあげつつ工事にも着手していくこととしている。
当地域は有明海沿岸特有の軟弱地盤地域であり専用道路としての高盛土や高架,また筑後川や矢部川などの大規模橋梁など土木技術を結集した取組を要する技術課題も山積しており,これらにも積極的に取り組んでいくこととしている。
(3)一次改築
一次改築として国道442号大分県境に位置する竹原峠改築(大分県中津江村~福岡県矢部村)を権限代行として平成11年度より事業着手し,用地取得を促進してきている。
線形,幅員が極端に悪い現況6.1kmの峠区間を標高を下げ1.4kmのトンネルを含め3.5km(福岡2.5km,大分1.0km)でバイパスする計画で冬季の凍結問題の軽減をも図ることとしている。
現時点で福岡県側で約6割の用地取得状況であり,本年度にはトンネルヘの工事用道路などの工事に着手していくこととしている。
(4)一般二次改築
一般二次改築としては,国道3号で博多バイパス「福岡市」,東櫛原拡幅「久留米市」を,209号で津福バイパス「久留米市」,船小屋中ノ島橋改築「筑後市,瀬高町」,山門跨線橋「瀬高町」を,210号で浮羽バイパス「浮羽郡」をそれぞれ促進している。
3号博多バイパスでは,福岡市東区での香椎副都心区画整理での鉄道高架化や新駅整備事業などと調和を図りつつ事業を推進している。
3号東櫛原拡幅は筑後川渡河地点から久留米中心部にいたる約1kmの渋滞区間の拡幅事業で現在は久留米市と連携を図り土地利用の多い市街地の用地取得を促進している状況である。
209号津福バイパスは久留米中心部の南側に位置するJRと西鉄大牟田線の二つの踏切が存在する渋滞区間を2.5kmでバイパスするもので現在,市中心部側500mは暫定供用している。
用地は95%程度完了しており,現在は先行して共同溝を施工中である。
209号船小屋中ノ島橋は矢部川に架かる狭隘な橋梁の架け替えで来年度の完成を目途に上部工事の促進中である。
210号浮羽バイパスは浮羽郡田主丸,吉井,浮羽の3町にまたがる14kmのバイパスで,これまでに4.7km程度の暫定供用を図ってきており,本年4月には新たに浮羽町で1.6kmの供用を図ったところである。
また,当バイパス終点部において浮羽町と共同で整備を進めてきた道の駅「うきは」は本年4月にオープンし,多くの方々に利用され地域の活性化にも大きく貢献しつつある現状である。
(5)共同溝
福岡を中心とする都市域において上下水道,電力,通信などのライフラインを共同で収納する共同溝事業を推進している。
これまでに福岡地域において約8kmの完成を図っており,現在は約16kmにおよぶ福岡外環状共同溝と久留米市での津福共同溝2.5kmについて整備を促進している。
また,都市内歩道空間での電線類を地中化するための電線共同溝はこれまでに福岡,久留米,大牟田において推進してきており,本年度は202号福岡市の堅粕,六本松および別府において推進していくこととしている。
なお,情報通信基盤としての情報ボックス整備も積極的に推進してきている。
(6)交通対策
当事務所は,福岡市をはじめ多くの都市域をかかえることから交通事故防止をはじめボトルネック対策,バリアフリー対策などの交通対策事業ならびに交通需要マネジメント(TDM)を積極的に展開してきている。
国道3号博多区~東区においては県警との連携のもとセンターポール整備を行い,事故防止や円滑走行に大きな成果を発揮している。
また,3号東区から新宮,古賀方面においては,情報ボックス整備と舗装修繕の機会をとらえ連続する交差点の車線運用を改良中であり大きな渋滞緩和の成果を生みつつある。
また,バリアフリーについても自工事や他者工事などのあらゆる機会をとらえ改善していくなどの取組強化を図りつつある。
TDMとしては福岡都市圏においてパークアンドライドを積極的に推進しており,特に本年はサミット「蔵相会議」開催にむけた交通総量抑制支援をも兼ね,西鉄大牟田線沿線の大野城市における大規模小売店駐車場の活用や太宰府市における国道3号高架下空間活用などを図ってきている。
(7)維持修繕
交通量の多い路線を多く有することから最近は騒音,振動などの環境問題も増大してきており,防音壁や低騒音舗装などを積極的に活用しつつ対応しているが,ハードな対応のみでは困難な事案も増えつつある。
当事務所は,危険斜面やトンネルなどは比較的少ないが橋梁などの構造物や標識,照明などの付属施設は多く,昨今の構造,品質劣化などによる事故抑止にむけた点検整備も積極的に推進している。