昭和61年度技術士試験をかえりみて
(建設部門出題傾向と解答例)
(建設部門出題傾向と解答例)
日本技術士会 九州地方技術士センター
研修委員会 専門委員
研修委員会 専門委員
昭和61年度技術士第2次試験の筆記試験は,昨年8月27および28日に福岡市ほか5箇所の試験場で実施され,筆記試験合格者に対する面接口頭試験は昨年12月4日から15日までの間に東京で実施された。技術士試験の指定試験機関である(社)日本技術士会の月刊会誌“技術士 ’87・3号”によれば,61年度の技術士第2次試験の受験申込者総数は10,271名で,技術士制度創設以来初めて一万名の大台に乗り,合格者総数も1,080名で初めて一千名の大台を超えたことを報じている。
建設部門の受験申込者総数は5,585名で,このうちの筆記試験受験者数は2,955名,最終合格者数は514名で,合格率は筆記試験受験者数に対して17.39%受験申込者総数に対して9.2%で,これまでどおり,受験合格は相当に厳しく狭き門であることを示している。
昭和61年度の筆記試験ならびに面接口頭試験の試験科目と設問傾向には殆んど変化はなく,具体例をあげてその概要を記述すると次のとおりである。
まず,筆記試験選択科目Ⅰ-1(午前9時~12時の3時間で解答記述)の問題は,受験者がこれまでに体験してきた技術士に相応しい業務をいくつか具体的に示させ,その業務における技術的問題点と,それに対して受験者が取った技術的解決策を具体的に記述させ,その業務の技術的特色を明らかにさせる仕組としている。このⅠ-1の問題は,建設部門の10種類の専門科目の全てにおいて,この10年,問題設問文章の文言に殆んど変化が見られず,次に示す一例(河川・砂防および海岸のⅠ-1問題全文)に見られるような設問形式を例年踏襲し続けている。
選択科目(9-4)河川砂防及び海岸 9時~12時
Ⅰ-1 次の問題について解答せよ。(答案用紙5枚以内にまとめよ)
あなたが受験申込書に記入した「専門とする事項」について,直接体験した業務のうち技術士としての業務に最もふさわしいと思われるもの1例を挙げて,下記3項目について述べよ。
(1) その業務の技術的概要
(2) あなたが果たした役割
(3) 技術的な評価及び今後の課題
次に,筆記試験選択科目Ⅰ-2(午後1時~5時の間にⅡ-1の問題と一緒に出題)の問題は,各選択専門科目ごとに,各専門技術分野における最近の技術動向をふまえ,専門的事項について解答論述させるもので,設問内容は,本稿末尾に,土質および基礎,鋼構造およびコンクリート,河川砂防および海岸,道路の4科目についてそれぞれ一例を示したように,比較的各技術分野の基礎的技術にかかわるものが主体となっている。
Ⅰ-2の問題と一緒に出題される筆記試験必須科目Ⅱ-1の問題は,建設部門全体に共通する事項で,例年2題出題しいずれか1題を解答させる方式で,昭和61年度の問題は次のとおりである。
必須科目(9)建設一般 1時~5時
Ⅱ 次の2問題のうち1問題を選んで建設部門全体の問題として解答せよ。 (茶色の答案用紙を使用し,解答問題番号を明記して4枚以内にまとめよ。)
Ⅱ-1 我が国の建設部門における技術開発の現状を述べ,将来の展望について,あなたの意見を述べよ。
Ⅱ-2 建設部門における我が国企業の海外進出並びに外国企業の国内参入の意向を背景として,我が国の建設あるいは建設コンサルタントのあり方について意見を述べよ。
以上のⅠ-1,Ⅰ-2,Ⅱ-1の3科目の問題のうち,Ⅰ-1は上述のとおり問題設問文章が事実上固定化されているので,予定答案をあらかじめ作成し,完全に丸暗記して試験にのぞむことが可能であり,3時間の解答時間で制限文字数一杯の解答を書くのが普通である。しかし,Ⅰ-2およびⅡ-1の午後からの科目問題に対しては,受験者自身の筆記速度を考慮し,各問題に対しバランスのとれた時間配分を行うことが必要で,本稿末尾の解答例に付記しているような留意が必要である。
筆記試験合格者に対して行われる面接口頭試験における試問事項にも,これまでと異なった傾向は殆んどみとめられず,61年度試験においても設問項目は次の3項目に分類要約できるようである。
Ⅰ.受験者の技術的体験を主眼とする経歴の内容と応用能力を問う。
Ⅱ.必須科目および選択科目に関する,技術士として必要な専門知識と見識を問う。
Ⅲ.技術士としての適格性および一般的知識を問う。
以上が,昭和61年度技術士試験の概要と出題傾向であるが,以下に,昭和61年筆記試験選択科目の4問題を選定し,当研修委員会の技術士に解答の執筆をもとめ,模範解答例として参考のために例示する。
当技術士センター研修委員会は,例年,技術士試験受験者のための綜合研修講座を継続的に実施し,九州地域受験者の受験対策に役立ってきており,技術士資格取碍を目ざす技術者は気軽に当センターに相談されるようお奨めする。
土質および基礎 昭和61年(C)Ⅰ-2-10
問題
『下図ー1に示す軟弱地盤に深さ7m,底面30m×80mの掘削を行う計画がある。以下の設問について答えよ。
(1) この地盤を掘削する場合に予想される問題点を述べよ。
(2) この掘削を下記の2工法で行うときの設計,施工上の留意点及び利害得失を述べよ。
(a) ノリ付オープンカット工法
(b) 土留壁工法』
(800字詰2枚以内)
(800字詰2枚以内)
1. 図ー1に示す基礎地盤を掘削する場合に予想される問題点を列挙すると次のとおりである。
(1) EL-4~-10mのシルト層(N=1~2)は比較的難透水性であると考えられ,さらに掘削基面が,シルト層内にあることから,シルト層に被圧地下水圧が作用して掘削基面にヒービングもしくはボイリングが生じる可能性がある。このため掘削の施工計画にあたっては,不透水層の詳細な調査ならびに被圧地下水圧低下のための補助工法等を検討する必要がある。
(2) 地下水位がEL-1mで比較的高いことから,基礎地盤の掘削に際しては地盤の安定化,施工性確保等を目的とする排水工を実施する必要がある。しかし排水工の実施によって周辺地域の井戸水の減水・涸渇,地盤沈下等を招来する可能性があることから,周辺地域に存在する構造物の調査ならびに構造物の重要度に応じた防護を実施する必要がある。
(3) 掘削に伴う排水は多量の浮遊土砂を含んでいるため,そのまま周辺地域の水路に排出すれば,水質汚濁等の建設公害を発生させる可能性があることから,沈澱池もしくは沈澱槽等の排水処理施設を考慮する必要がある。
(4) 本掘削で生じる掘削土の大部分は高含水比シルト及びシルト混り砂であり,近年用地不足から近接した場所に土捨場を確保することが非常に困難となっていることから,掘削残土の処理にあたっては,化学的安定処理工法等を利用することによって,積極的に盛土材として活用することが極めて重要である。
2. ノリ付オープンカット工法・土留壁工法の設計・施工上の留意点及び利害得失について列挙すると次のとおりである。
(1) ノリ付オープンカット工法とは,図ー2に示すように,安定なノリ面勾配を保ちながら所定の深さまで掘削する工法であり,周辺用地に余裕がありかつ比較的浅い掘削の場合,重機土工による経済的な掘削が可能であるが,掘削深度が深い場合掘削土量が増大し不経済となる場合がある。
本掘削では,地下水位が高くかつノリ面が高含水比シルト及びシルト混り砂であることから,ノリ面勾配を2割以上とる必要がある。したがって掘削底面幅より14m以上の敷地周囲の余裕を考慮する必要がある。また被圧地下水によるヒービングが考えられることから,深井戸工法等の被圧地下水圧低下のための補助工法を険討する必要がある。
(2) 土留壁工法とは,土留壁を基礎地盤に鉛直に打込み,これを自立させるかもしくは支保工やアースアンカー等によって支持することにより根切掘削を行う工法である。土留壁工法は比較的深い掘削にも適用が可能であり,敷地余裕が少なくてすむことから近年広く採用される傾向にある。土留壁としては,鋼矢板・鋼管矢板・柱列杭・地下連続壁等が用いられている。
本掘削における土留壁としては鋼矢板が最も適当と考えられるが,周辺地域の地下水位の低下やこれに伴う地盤沈下ならびに土留壁のタワミによる地盤変位等が許されない場合,止水性・高剛性の点から柱列杭・連続壁を土留壁として適用することも考慮すべきである。本掘削では掘削底面幅が30m×80mと比較的広いため,腹起・切梁等の支保工では不経済となることからアースアンカー等の採用も検討すべきである。
鋼構造およびコンクリート 昭和61年(D)Ⅰ-2-14
問題
『鉄筋とコンクリートの付着の重要性について述べよ。』
(800字詰2枚以内)
(800字詰2枚以内)
鉄筋コンクリートにおける鉄筋とコンクリートの付着は,鉄筋とコンクリートが一体となって変形するための必須要件で,鉄筋コンクリート部材の耐力を左右する基本的要件である。
鉄筋コンクリートは,元来,コンクリートの引張強度の不足を,部材引張縁に鉄筋を配置することによって鉄筋の引張強度で補足し,同時に,鉄筋を,アルカリ性を呈するコンクリート組織で被覆防錆した耐久的な構造材料である。鉄筋コンクリート部材の耐力は,鉄筋とコンクリートが一体となって変形し,両者のひずみが同一であることによって所期の水準に保たれるもので,鉄筋とコンクリートの応力分担割合は,両者が完全に一体で両者のひずみが同一であってはじめて,両者のヤング係数の比にしたがうものである。鉄筋のヤング係数はコンクリートのヤング係数の10倍近くであり,ヤング係数の比にしたがって引張応力を分担することにより,鉄筋コンクリート部材は所期の耐力を保有するものである。
鉄筋が分担する応力の合力相当の付着力が鉄筋とコンクリートの間になければ,部材に作用した引張力を鉄筋に分担させることは不可能で,部材に引張力が作用した場合部材引張縁のコンクリートだけが伸長し,鉄筋はその中で伸長しないままで残留して,鉄筋を配置した力学的効果は事実上失われる。
こうした状態になるのをさけるため,コンクリートの標準示方書では,構造細目において鉄筋の定着に関して細かな規定を設け,鉄筋とコンクリートの付着を充分に確保するよう義務づけている。鉄筋の定着方法としては,所要な付着力が確保できる定着長を算定し,鉄筋端部をこの定着長相当長さだけ部材圧縮部に延長して配置定着するのを原則としている。この所要定着長算定式として,示方書には次式が示されている。
プレストレストコンクリートにおいては,ポストテンション方式やボンドコントロール工法,或いはアンボンド工法等に見られるように,鋼材とコンクリートの付着が不完全なものや,付着をコントロール或いは絶縁したものがある。これらの工法においては,部材の変形と鋼材の変形を一体化するための方法として,鋼材端部を部材端面に機械的に定着する方法がとられている。通常の使用状態においては,これらの機械的定着が完全であれば鋼材に所期のとおりの応力を分担させることは可能である。しかし,こうした,付着が不完全な鋼材は部材の終局曲げ耐力の向上には寄与しない。
このため,ポストテンション方式では,グラウティング等によりあとで付着を確保する方法をとり,ボンドレス工法等においては,付着のある鉄筋を引張縁に別個に配置し,破壊耐力の向上と破壊機構の改善をはかる方法をとっている。
以上を総合すると,鉄筋とコンクリートの付着は,鉄筋コンクリート部材においてはその耐力を基本的に左右する重要な要件であり,プレストレストコンクリート部材においても,その終局耐力を左右する重要な要件であるということができる。
河川砂防および海岸 昭和61年(A)Ⅰ-2-1
問題
『我が国の自然的,社会的条件の特性を踏まえて,治水計画の課題について論ぜよ。』
(800字詰め2枚以内)
(800字詰め2枚以内)
1. 国土保全上の自然的条件と社会的条件
我が国は地形・地質等の自然的条件から災害をうけ易い環境にあるうえ,河川の氾濫域である堆積平野に経済・社会活動の枢要を占めるという社会的条件が重なり,諸外国と比べ水害のダメージポテンシャルが大きな国土となっている。
国土保全上の観点から,我が国の自然的・社会的条件を列記すると,おおむね次の通りである。
(1)自然的条件
① 国土の約70%が山地および傾斜地であり平地のほとんどが河川の氾濫原である沖積平野であること。
② 気象としては,年間の降雨・降雨量が多く,毎年のように,集中豪雨や台風による水害,あるいは豪雪による雪害を被っていること。
③ 地質としては,日本列島には多くの火山脈がはしり,花崗岩や片磨岩のような風化しやすい火成岩地帯が多く,これらの地帯では山地崩壊や浸食作用が著しいため,地すべりや土石流の被害を受けやすいこと。
(2)社会的条件
① 都市化の進行が著しく,平地に乏しいという自然的条件とも重なり,河川の洪水氾濫区域に人口・資産が集中していること。
② 河川流域の開発により,流域のもつべき保水・遊水機能が低下していること。
③ 高度な土地利用による地価の高騰などから,河川改修事業の進捗が停帯していること。
④ 都市化の進展に伴ない,水需要が増大していること。
⑤ 水質汚濁や廃棄物の投棄などにより,河川環境が悪化していること。
2. 治水計画の課題
前述のような自然的・社会的条件から,流域の保水・遊水機能の低下,洪水のピーク流量の増大,洪水氾濫区域への資産の集中など,洪水時のダメージポテンシャルが拡大してきており,このような状況に対処するためには,より一層の治水施設の整備を図る必要があるが,地価の高騰や河川周辺での民家の密集などの社会的条件から,河川改修の進捗が停帯し,治水対策が流域の開発に追随できない現状にある。
したがって,今後,治水計画を策定するにあたっては,次のような施策を講じて,治水対策を総合的に推進する必要がある。
① 水害に対して安全な土地利用方式や建築方式を設定する必要があること。
② 河川流域のもつべき保水・遊水機能を設定し,その機能を保持するための諸施策を講ずる必要があること。
③ 災害に対応できる都市構造とするために,水防体制・水防活動の強化,および避難体制の整備など都市防災システムの確立を図る必要があること。
④ 洪水時の諸情報を速やかに伝達するために防災情報ネットワークを確立する必要があること。
⑤ 都市公園の少ない我が国にあっては,河川空間を有効に活用するため,河川環境整備を推進すると同時に,防災空間として活用していく必要があること。
道路 昭和61年(必須)Ⅰ-2-1
問題
『道路空間の有効利用について論ぜよ』
(800字詰3枚以内)
(800字詰3枚以内)
1. 概括および道路管理システム
道路は人と車輌の交通,物質の輸送のための交通施設として重要なトラフィック及びアクセスの役割を担い,また道路を根幹として生活圏が形成されることから都市基盤・生活基盤の形成,コミュニティ,うるおいのある街区の外郭形成への誘導を果たし,電気,電話,ガス,上下水道等市民生活に欠くことのできない公益施設あるいは地下鉄,モノレール等の公共交通機関を収容する空間として,さらには道路沿道の私的経済活動等に伴って必要となる諸々な物件の設置場所としても利用されている。近年,人口,産業が集中した都市においては,特に道路の果たしている収容空間としての役割がますます重要なものとなってきている。貴重な空間でもある。
さらに公益施設の種類も技術の進歩と国民のニーズの多様化に伴い増加する傾向にあり,共同溝,キャブシステム,石油パイプライン導管,LNG天然ガス導管等熱供給管路や都市廃棄物処理管路といった新しい公益施設もそのほとんどが道路に埋設されているところであり,道路を占用する公益施設等は年々多様化大量化の一途をたどっている。
したがって,道路占用においては,電線の地中化,路上放置物件の排除等路上空間の整備を行い歩道全幅の確保,消防活動の円滑化,災害時の安全,避難路の確保等都市防災に益するほか良好な都市景観の形成に資するとともに,大量の占用物件に関する管理については,道路台帳・占使用台帳のみでは不充分で,大量な各種情報を総合的に管理する図面処理を基礎としたコンピュータ・マッピング・システム(道路管理システム)を開発・導入して地下埋設物等の管理の適正と効率化・迅速化を図るなどにより,道路本来の機能である交通機能の確保と,道路がもつ収容空間機能が効果的に発揮されるよう道路管理の高度化及び合理化を進める必要がある。
2. 都市部及び地方部道路の道路空間利用
都市部においては,地下に収容できぬ交通施設・情報施設等はモノレール,高架道路及び付属施設として立体的な空間利用を図る。他方緑を提供し,通風,採光等良好な景観と,環境空間を提供する役割がある。また面的に道路と市街地を一体的に捉え私的空間をもとり入れた空間を創造する必要がある。これにより時代のニーズに対応した高齢者のモビリティ確保のためのゆとりが生れ,高度情報センター,インテリジェント・ビル,国際会議場等ソフトインフラとして道路空間の活用を図る。また道路に布設した地下鉄の連続地中壁を利用した地下貯留ダム,ビル等の地下の雨水貯留施設(アーバン・オアシス構想)等渇水に悩む都市では雨水の有効利用構想もある。地方部においても多極分散型国土形成が指向され,相当なテンポで都市化が進むと予想され,これまた交通と情報のネットワーク化が必要で先行的な整備とともに,歴史的・自然的特性を充分に生かす必要がある。
3. 道路空間利用の行政施策
高速道路から住宅地の細街路までドア・ツー・ドアとしては,全国に張り巡らされた道路網は唯一完全なネットワークで道路を利用することが最適と考えられる。
ロードスペース懇談会(大臣私的懇談会)による今後の道路空間の適正な利用について(中間検討意見)では,共同溝整備関係で2項目,電線の地中化につき4項目,高速道等利用の新情報システム(情報ハイウェイの推進)ほか1項目,民間活力活用方策検討の推進がある。
建設省による道路空間を利用した多様な施策のうち導入が開始された道路管理システムについては,1.に私見を加えて述べた。以下新情報システムについて述べる。
情報ハイウェイ構想の推進,情報ハイウェイ構想は高速道路等の幹線道路網に光ファイバーを敷設することにより新しい情報システムを構築し,道路機能の多面的展開を図ろうというもので,これにより通信回線の容量は飛躍的に増大するため,既設の通信回線(非常用通信,指令通信,業務用通信等)以外により高い道路管理,高密度な交通情報,道路利用者に安全・快適・便利な情報を提供でき,さらに道路情報以外の電話,データ通信サービス等電気通信事業の用に供し国民の情報ニーズに対応することが可能となるとしている。現在日本高速通信(株)が認可を受け,既に東名・名神高速道路上に敷設された光ファイバーケーブル等を利用して,昭和61年11月から専用線サービスを開始した。また,昭和62年秋を目途に電話交換サービス開始予定,将来は全国展開,移動体通信など道路利用者へのサービス提供を考えている。
道路利用者情報サービスは,ナビゲーション,双方向データ通信等を可能とする路車間情報システムの整備を図り,道路交通情報システム・駐車場案内システム等高速道路乗り入れ前にも情報提供できる充実が望まれる。
4. これからの道路空間利用計画のあるべき姿
高度情報基盤整備,国際化,余暇空間,美しい景観(生活空間)等空間利用は国民のニーズと国の指向する産業・国土・地域構造の高度変化に対応して,マリン・マルチ・ゾーン等々港湾,漁港等他の行政庁施策に一斉に盛られている。建設省所管でも緑のマスタープラン,河川環境整備事業,カンバックアクトビヤ構想(下水)等々各局様々のマスタープランがある。既に述べたがこれ等は道路網とのアクセスにより活性化するといっても過言ではない。道路空間について前記懇談会は,道路管理者等の積極的関与,事業者・学識経験者等による研究会を求めた。道路空間利用への行政計画的アプローチの積極的導入とともに,他の行政政策も配慮し,地域社会や産・学に対し積極的に情報提供を行うとともに参加させ,21世紀を目途とした長期的空間利用の統合化に努めるべきである。
今後の我が国経済活動の発展の成否を決する鍵である。
参考文献
1)第34回道路講習会講義要旨:(昭和61年度) (社)日本道路協会,道路空間の利用を考える,建設省道路局路政課 小鷲茂(加工)
2)国土建設の長期構想:(株)ぎょうせい発行 建設大臣官房政策課監修
〔注〕
道路科目 2問解答(3枚2,400字×2問)
必須科目 1問解答(4枚3,200字)
全問解答を要し合格字数は80%でこの問題では2,400×0.8=1,920字,満点をとるには2枚半以上2,000字以上です.
自己の筆記スピードと時間配分を考え自己の意見を加えることもお忘れなく。