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建設産業の抱える課題の解消のために
—技術開発へ積極的な取り組みを—

1 はじめに
“今なぜ技術開発か”“技術開発の諸制度”“九州地建で取り組んでいる技術開発”等については,本誌No.11,No.12により紹介したところです。
一方,技術開発の抱える大きな問題点として技術開発の成果が外部(技術開発担当者以外・一般国民等)に見えない(何をやっているのか分からない)といった現状があります。
また,技術開発の周辺環境として,今までのトレンドだけでは対応出来ない時期にきており,技術開発の形も色々な意味で変革を迫られています。
この様な状況のなかで,建設技術協議会(技監召集)では本省,地建,研究機関のお互いの連携体制を強化し,今後の技術開発の取り組むべき方針について議論が進められてきました。その結果
① 労働力の減少等に対応するための施工現場の無人化・省人化技術
② 今後確実に増大が見込まれる維持管理・更新費に対応するための施設の維持管理・更新技術(メンテナンスフリー化技術,ライフサイクルコスト低減技術等)
③ 環境負荷の軽減技術(リサイクルを含む省エネルギー化技術等)
の3つのテーマを最重点目標に,具体的な技術開発の達成を図ることとしています。
勿論,従来から実施している技術活用パイロット事業,特定技術活用パイロット事業等の制度につきましても,より一層の活用および積極的な取り組み等を展開していきます。そして一刻も早く技術の検証を行い,確立されたものにしたいと考えています。
なお,今回は昨年度技術開発関連で九州地建として取り組んできた主な事業について紹介してみたいと思います。

2 九州建設技術開発会議で新技術開発だよりを発行
九州地方建設局では,産・官(学)から構成される「九州建設技術開発会議」を平成4年2月に発足いたしております。これは行政側と産業側との連携を強化することにより,それぞれの立場からの問題意識や技術開発へのニーズ,具体技術の開発普及に向けた役割等について意見交換や協議を行い,より適切な技術開発に向けた意識,姿勢を構築していくものです。
その活動の一貫としまして,広く一般より新技術・新工法の申請を直轄事務所に設けています技術開発推進室(窓口)で受付け,九州技術事務所におきまして「技術情報資料集」として当会議の構成機関へ配布しています。また,これら技術情報の広範な提供を図るため「新技術開発だより」を当会議の情報ニュースとして発刊しています。

また,これら情報提供を受けました直轄事務所において詳細な技術説明の希望がある場合は,説明会を開催し,技術活用パイロット事業等での検証等,その活用促進を図ることとしています。
ここに,特に事務所希望の多かった中九州ブロックにおいて第1回目の説明会を開催しましたのでご紹介します。

3 中九州ブロック新技術・新工法等説明会
3-1 開催の主旨
「新技術・新工法等説明会」は,前述の技術情報資料集より活用または詳細説明希望のあった直轄事務所に対し,技術の原理,施工・設計手法や施工実績等を各企業の開発・研究スタッフにより説明をいただき,意見交換を行うことにより,多種多様な条件を持つ個々の現場に即した技術の活用促進を図るとともに,新技術の的確な施工積算を促すものです。
また,今回の中九州ブロックにつきましては,九州技術事務所並びに開催県代表事務所として熊本工事事務所の協力の基に開催,運営されました。
3-2 新技術等の内容
説明対象技術は,中九州ブロック(熊本)内各直轄事務所において技術情報資料集より説明要望のあった技術のうち上8技術を選定し,1技術30分の持ち時間でOHP,ビデオ等を用いて行われました。
今回は第1回ということで,対象者を地建並びに県職員と限らせていただき実施しましたが,年度末にも拘わらず,約150名の技術者に参加いただき,熱心な公聴と活発な質問・意見等が出され,あらためて技術開発の重要性と必要性を実感いたしました。

対象技術名とその技術概要を表ー2に示しますが,今回の対象技術につきましては,現在建設業界が抱えております諸問題を如実に表したものとなっています。特に今後急速に進むと思われる若手技術者不足と高齢化に対処するための省人化技術・安全作業および作業環境向上技術が目立つとともに,今後公共事業に望まれる高品質な社会資本整備に対応する技術も挙げられます。

3-3 アンケート結果
本説明会におきましては,今後の説明会の運営に寄与するためと,現在配布しております「技術情報資料集」の現場末端までの周知状況を把握するため数項目のアンケートを実施しましたのでご紹介します。

 問1 あなたの年齢は?
 問2 あなたの主な業務は?
 問3 説明課題について
 問4 説明時間について
 問5 説明内容について
 問6 「技術情報資料集」を知っていますか?
 問7 「技術開発だより]を知っていますか?

問5
〇早急に歩掛の整備を行って欲しい。
〇ビデオやOHPを使用しての説明であり非常に分かり易かった。
〇具体的にどのような所(構造物)に適するかという説明が欲しかった。
〇使用するに当たってのデメリット等についての説明が欲しかった。
〇各事務所単位で説明会を開催できないか。
〇説明会の開催時期を考慮して欲しい(1月中旬または年度当初など)。

また,講師(説明企業)の方々からも様々な立場からの貴重な意見を頂戴しており,今後の運営に生かして参りたいと考えています。
3-4 今後の予定
技術情報資料への新技術・新工法の申請登録を随時受け付けるとともに,引き続き新技術開発だよりを配布し,現場が望まれている技術の収集・集積・提供を進めるとともに,必要に応じ県または事務所単位できめ細かな説明会を開催することにより,官民を含め今後必ず問題視されるであろう建設業界全体の抱える問題に対応し得る基礎を構築したいと考えています。

4 最後に
民間と行政で構成する「九州建設技術開発会議」では,冒頭に述べましたように建設業界の抱え持つ課題の解決を目処めどにした技術開発に向けて積極的な活動を展開中です。
その一つが今回紹介しました「新技術開発だより」の配布や説明会の開催です。
今後は,さらにこれら事業を積極的に展開しPRを行う一方,技術開発にかかる皆様からのニーズに合った新技術・新工法等の開発に取り組んで参りたいと思っていますので,御協力方宜しくお願いいたします。

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