大分県における今後の社会資本整備のあり方
大分県 土木建築部長 梅崎健次郎
平成23年3月11日に発生した東日本大震災による未曾有の災害を目の当たりにし、改めて自然の脅威を思い知らされたところです。同時に、人命救助や支援物資の搬送のための交通ネットワークとなる道路・港湾、あるいは河川の氾濫から県民の生命・財産を守る堤防、土砂災害を防ぐ砂防施設など、社会資本整備の重要性を再認識したところです。
社会資本は、生活の利便性、あるいは地域の活力を高め、県民の安全・安心を守るために大切な基盤となるものです。大分県としても、これまで積極的に社会資本の整備に努めてきました。しかし、大分県の「活力」・「発展」を支え、地域産業の基盤となる東九州自動車道をはじめ、中津日田道路等の高規格道路網や、「安心」を支える玉来ダムなど、重要な社会資本がいまだ十分に整備されているとは言えません。これらの整備を、引き続き着実に進めていく必要があると考えています。
特に東九州自動車道の整備では、平成26年度までの完成を目指し、ミッシングリンクの解消を急いでいるところです。
社会資本整備に関する予算を見ますと、ご案内のように、国の公共事業関係費はこの数年非常に厳しい状況です。平成23年度は、震災対応の留保分5%の減額を含めて、全体では10%を超える削減となる中、県予算では、国の事業を積極的に受け入れ、6.5%の減にとどめました。
これに加え、県単独の投資事業を昨年度比14.1%増、中でも道路改良等の土木建築部関連予算は17.4%増とし、これにより緊急輸送道路における橋梁の耐震化や、のり面の崩壊防止対策、急傾斜地崩壊対策等の地震防災対策を前倒して進めています。
また、小規模な道路改良を行う暮らしの道再生事業や、河川の堆積土砂を取り除く緊急河床掘削事業など、きめ細かな事業にも取り組み、県民視線の土木建築行政を進めるとともに、景気・雇用の下支えにも配慮していきたいと考えています。
一方、これまでに整備された社会資本は、「県民の大切な財産」であり、これらの維持管理のあり方も大きな課題となっています。これまでに整備された社会資本について、できるだけ長く機能を持続させる取組みが重要であります。そのため、老朽化していく多くの社会資本の点検、補修を定期的に行い、安全を確保しながら、長寿命化を図っていかなければなりません。
平成22年度に公表した大分県橋梁長寿命化計画では、今後50年間、補修を行わずに架け替えた場合に対して、適切な維持管理を行った場合には、約4割のコスト縮減が見込まれると試算しています。
そこで、橋梁に限らず、老朽化していく多くの社会資本の点検、補修を定期的に行い、県民が安心して利用できるよう、平成24年度から点検履歴付台帳の整備をはじめアセットマネジメントの取組みを一層拡大していきます。
将来の大分県の発展に向け、社会資本の整備は大変重要な布石であり、今後とも、九州各県との連携を図りながら、社会資本整備を積極的に推進していかなければならないと考えています。