伊良原ダム定礎式及び進捗状況について
福澤賢作
キーワード:伊良原ダム、RCD、定礎式
1 はじめに
伊良原ダムは、祓川水系祓川 の福岡県京都郡みやこ町犀川 下伊良原に福岡県が建設を進めている堤高81.3m、堤頂長295.0m、総貯水容量28,700,000m3の多目的ダムです。伊良原ダムの位置関係を示した流域概要図を図- 1.1 に、完成予想図を図- 1.2 に、ダム及び貯水池諸元を表-1.1 に示します。
祓川は、その源を福岡県京都郡みやこ町と田川郡添田町との境界にある鷹ノ巣山に発し、山間部を北流し、支川を合わせて周防灘に注ぐ流域面積約66.4km2、流路延長約31.5㎞の二級河川です。その流域は福岡県行橋市、みやこ町の1市1町にまたがっています。
祓川流域はたびたび洪水被害が発生しており、台風や大雨による河川の増水により、氾濫や浸水等の被害が懸念されています。平成24年における祓川流域の河川洪水状況を写真-1.1 に示します。
一方で、祓川流域では渇水被害も発生しており、農業用水の安定的な確保が困難とされるだけでなく、流域内の動植物の生態系をも脅かす事態に陥っています。平成25年に発生した祓川流域の河川渇水状況を写真-1.2 に示します。
このように、祓川流域では度重なる洪水被害と渇水被害が生じており、当ダムの早期完成が強く望まれています。
そのため、当ダムは洪水調節、流水の正常な機能の維持、更には水道用水供給を目的としています。
伊良原ダムはRCD工法及びELCM 工法(高標高部)を採用しており、平成28年度内の打設を完了し、その後、天端橋梁等の付帯施設を完成させて、平成29年度の試験湛水を実施し、年度内の完成を目指しています。RCD施工状況を写真-1.3に示します。
2.伊良原ダム事業の経緯
伊良原ダム事業のこれまでの主な経緯を表-2.1に示します。
3.進捗状況
ダム建設工事につきましては、平成27年7月からコンクリート打設を開始しており、平成28年5月末時点で約15万m3、全体の約35%を打設しています。付替道路工事や管理設備工事、周辺整備工事などにおいても平成29年度中の事業完成に向け順調に進捗しているところです。平成28年5月末の打設状況及び原石山の状況、付替国道広瀬橋の施工状況、並びに付替町道龍山橋の施工状況を写真-3.1 ~ 3.5に示します。
4.伊良原ダム定礎式
伊良原ダム定礎式は、福岡県の主催により、ダム堤体上に設置された式典会場において、国土交通省をはじめ国会議員、県議会議員、地元地権者など関係者約180名の参列をいただき、工事の安全とダムの永久堅固を祈念しました。
始めに、主催者である福岡県知事が式辞を述べ、来賓の方々から御祝辞をいただいた後、伊良原ダム建設事務所長が、ダム事業の概要説明を行いました。その後、地元みやこ町の上伊良原神楽保存会により、伊良原ダム建設事業関係者の安全・安泰を祈願する「折居神楽(おりいかぐら)」が披露され、式典参列者も艶やかな神楽を観覧しました。
続いて、福岡県及び施工業者である大成建設・フジタ・岡本土木特定建設工事共同企業体職員により礎石が搬入され、来賓の方々によって鎮定(ちんてい)の儀、斎饅(いみごて)の儀、斎槌(いみつち)の儀、埋納の儀が行われました。
埋納の儀では、ケーブルクレーンで吊ったバケットによるコンクリート運搬・放荷が行われ、式典出席者から拍手喝采をいただきました。くす玉開披後、最後に地元みやこ町長の力強い発生と共に出席者全員で万歳三唱を行い、伊良原ダムの定礎を祝しました。
定礎式の各種状況写真を写真-4.1 ~ 4.4に示します。
5.おわりに
祓川流域は、地域住民の憩いの場としての側面を持ち合わせており、夏には地域の子供たちが河川内の生き物と触れ合う場が度々設けられています(写真-5.1)。
こうした人々と自然との暮らしをより良いものとするため、また地域の発展に貢献するダムとなるように、平成29年度の完成に向け、引き続き職員一同、ダム建設事業に取り組んでいきます。