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九州防災エキスパート会について

九州防災エキスパート会
 会長代行
帆 足 建 八

1 初めてのボランティア活動
この話を関係者から伺がったのは,平成8年の1月中旬のことだったと思います。3月中に,皆様の合意形成を図りたいと云うことで大急ぎでことにあたることになりました。OB仲間では初めての本格的ボランティア活動であり,多少の戸惑いもありましたが,OB会である温古会の副会長である立場と防災行政経験が比較的永かったこともあり,この九州防災エキスパート会の設立にかかわることになりました。
ボランティアとは我が国では自主的な奉仕活動と理解されていますが,語源をたどりますと「自由な」と云う意味もあった様です。阪神・淡路大震災の初期情報の遅れが初期の救助活動等の遅れにもつながり,被害が増大したのではないかと云う反省もありました。こうした背景に基づき,建設省OBの過去の経験を生かし,早期に被害情報等を入手する一方法として,このエキスパート会を設けようとなった次第です。冒頭に述べた様に,このボランティア活動は自主的かつ自由に活動し易い制度にしたいと考え,協議の結果,次の様な原則,取組みを行なうことにしました。

2 基本的な取組み
(1) 出来得る限り自主的に活動する。
(2) アンケート調査により,当活動に参加するか否かを確認する。
(3) 活動範囲は一応建設省管理区域とする。
(4) 災害時,確実に実行出来るように事務所単位にグループを作る。
(5) OBは過去の経験に基づき,得意な分野を担当する。
(6) リーダーは災害時のハードな仕事であるのでOBの中でも若い方にする。
(7) リーダーの不在時にも円滑な活動をし得る様にサブリーダーを置く。
(8) 活動は極力自費をもって行なう。
(9) 平成7年度中に結成し,その時点で直ちに活動出来る体制とする。
以上の様な基本的な取組みを纏めて,平成8年5月28日に九州防災エキスパート会の基本的活動方針を定め,会員共通の認識として行動することとした。(表ー1)

3 組織と役割分担について
既に述べた様に,17地区に支部を設け,それぞれの事務所単位で,活動することを原則とするが,大災害の場合は必要に応じて,本部が支部を支援する体制とした。また,本局への支援は本部で行なうこととし,その組織と役割分担は表ー2の通りである。
会の連営については,九州防災エキスパート会会則および九州防災エキスパート活動要領を定めこれに基づいて,行なうこととする。
災害時の体制は別紙ー2の組織に基づき活動することとしたが,平常時の色々な案件を全て事務局である弘済会で行うことは難しいという事で,新たに事務連絡会を設け,リーダー会議に上申する素案作り等を行うこととした。この事務連絡会は本部の各グループのリーダーと若干名の部員で構成している。現在会員総数724人で本部73人,地区651人で,九州管内在住者,満70才以下の方々が加入している。

4 現在までに行った主な活動
◦平成8年5月27日(月),当会と九州地方建設局との事例研究会の開催
昭和57年7月の長崎水害,平成2年7月の武雄水害,平成5年7月の鹿児島水害の事例についてそれぞれ当時の所長,副所長より概要説明を受けて,当会の今後の活動の参考とした。
◦平成8年5月28日(火),九州防災エキスパート会の発足式,基本的活動方針,会則の審議決定,NHK,論説委員 藤吉洋一郎氏「災害とボランティア活動について」の講演
◦平成8年7月30日(火),本省防災課入江補佐および九州地建幹部と本省および地建の防災計画とその取り組みについて,討論会を開催
◦災害経験に関するアンケート(今回対象者,元事務所長,技術副所長,出張所長)を実施し,現在経験者リストを作成中
◦各地区において,事務所単位に防災計画等を中心に当会グループと打合せ会を実施

5 今後の課題
この様なボランティア活動がうまく作動するに、は日常の緊密な連携が必須と云われている。今後如何にして,その連携を保ち続けるか,それぞれのサイドで更なる努力が必要である。
当会の場合,発足当時は初めてのボランティア活動でもあり,互に抱くイメージが異なり,可成の紆余曲折があった。そこで,基本的活動方針として一応の意志統一を図ったつもりであるが,実際の活動段階では諸々の間題が惹起すると思われるが,その都度,解決することになろう。
今後は各地建での防災エキスパート会の活動実績を互に参考にして,当会の充実を図るとともに県,市町村管理区域でも同様のボランティア活動がなされることを望むものである。最後に九州地建OB,地建の幹部および関係者の積極的な御協力に心から感謝申し上げ,筆を置くことにします。

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