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九州技報 第4号 巻頭言

(社)日本土木工業協会九州支部
支部長
内 野 武 彦

「土木」の文字を分解して,11月18日を「土木の日」と定め,それからの1週間を「くらしと土木の週間」として,この期間中に土木の世界を広く一般にPRする多彩な行事が,昨年より全国規模で展開されております。
昨年の青函トンネルのウォーキングは特に注目され,話題となり,また好評でした。本年もまた,各地での現場見学会,講演会,映画会などを通じて,国民の土木への関心を高め,正しい理解を得る良い機会の提供がなされたことと思います。土木は国民生活に最も定着した分野であり,国民の日常生活は勿論のこと,経済活動に至るまで,その基盤を土木が下支えをしているといってもよいくらいですが,日頃は身近過ぎるためか,一般の方の関心や理解は,残念ながらまだ遠いように思えます。
建設業は,今,内需拡大政策或いは好景気による企業の活発な設備投資等により,近年にない活況を呈しており,特に大都市圏においては,都市機能へのニーズが高まるなかで,旺盛な建設需要が続いています。また,地方においても,景気が上向き需要の回復が見込まれております。
一方,建設業においては,同時に,かつて経験したこともない「激動の時代」を迎えているともいえます。建設需要の将来の見通しの不透明さ,建設市場の国際化に伴う競争力の強化,労働力不足対策或いは魅力ある建設業への改善等解決していかなければならない問題が山積しております。産業構造の変化,ソフト化,国際化,情報化と社会潮流の急激な変化に対応した自助努力による自己変革が迫られていると言っても言い過ぎではないと感じる程です。
来るべき21世紀に向けた豊かでゆとりのある地域社会の建設のため,建設界には,総合的な企画力や技術力が要求されており,私共も新技術,新工法,新材料の研究開発に従来にも増した努力を傾注しなければならないと思っております。建設省では,官民合同の技術開発,建設技術の評価制度或いは技術活用パイロット事業制度の採用等建設技術の研究開発を進めておられますが,日本土木工業協会としましても積極的にこれに対応,協力することにしております。
本年は,3月の青函トンネルの開通,4月の本州四国連絡架橋の共用と,世紀の大土木事業が相次いで完成し,土木技術の歴史に新しい1ページを加えましたが,これらのプロジェクトも長い年月に亘り,多くの先人達が研究,開発してこられた諸技術の集大成の賜であります。都市再開発,ウォーターフロント開発等,新しい分野では土木技術もますます学際的な研究が必要になってきており,また,地域特有の開発テーマも残されております。
こういう状況のなかで,建設技術の最新情報誌としての貴誌に大いに期待するとともに,今後の当協会に対するご指導,ご支援をお願い申し上げます。

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