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九州技報 第33号 巻頭言

国土交通省 九州地方整備局
営繕部長
野 村  修

事務局からの依頼を受けて、思いもかけずに巻頭言に原稿を載せていただくこととなりました。技術開発に関連したことを書ければと思案の結果、人材教育について日頃感じていることにしました。
土木技術と少し違って、建築技術は民間工事主体に発展しています。したがって、先端の技術開発のフィールドは直轄工事の建築物にあるよりも、民間の建築物にあると言ってよいと思います。旧聞に属する話ですが一例として、「超高層のあけぼの」という映画での主題にもなった東京の虎ノ門にある霞ヶ関ビル(日本の超高層ビル第1号)を考えてみれば、お判りになると思います。国の建築物においては、民間の先端技術の中から如何に良質で、低廉で、機能的で、耐久性に優れた技術を導入して整備していくかが間われているわけです。
このような状況の中で、発注者側の建築技術者には、総合的にバランスの良いものを見分けて、現実的な解として実現していく知恵や能力や使命感が必要とされます。
また、昨今の行政改革の一環として、業務効率を高め、業務体制を改革するために不可欠である、個々の建築技術者の技術力の向上について考えてみる機会が、最近特に多くなっています。しかしながら私共での現在の間題点としては、建築組織として技術力をどのように向上させるかといった前向きな話よりも、技術力をいかに維持し、ダウンさせないかの方策の検討に置かざるをえない点にあります。入省時の社会人としてのマナーを付けるための研修に始まり、係長になるまでに受ける中堅技術者のための研修、係長以降の専門技術研修など、付属研修所を使用しての各種の教育が行われています。その他のこととして上司によるOJTも業務遂行に伴って実施しています。
しかしながら、私の僅かな経験からすると人に教えてもらったことは、学生時代の授業と入省してからの研修も含めて、教えてくれた先生方に大変無礼な話で恐縮ですが、本人の自己努力なしでそのまま身に付いたと実感したことがほとんどありませんでした。逆に、身に付いたと思ったのは、自身が講師となった時に、事前に懸命に勉強したり、各種の資料を基にしてテキスト作りをした時です。独断ですが、自分のマインドが本気にならないと駄目のようです。このように、本気にさせるきっかけを作る研修や教育が必要で、よく言われるように知識を一方通行で教えるのは受け手にとって有効でないと思われます。やる気を起こさせる研修や教育とは何かを探り、私共の建築技術者に応用したいと思っています。
最後に、特に団塊の世代以前の方のご参考に「ゴルフから学んだ誇りある生き方」(ゲーリー・プレーヤー著)を一読されることをお勧めします。私はゴルフをしませんが、多くの示唆に富む内容が書いてありました。新書判ですので購入されても、公立の図書館で借りられてもよろしいかと思います。研修や教育に生かせることが多々あるのではと思います。

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