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九州技報 第25号 巻頭言

長崎大学工学部長
﨑 山  毅

平成11年4月15日,2001年1月1日からの中央省庁再編に伴う新省庁名が政府決定された。1府21省庁が1府12省庁に統合再編され,縦割行政の弊害を超えて国民本位で的確かつ効率的に対応できる,21世紀にふさわしい柔軟性のある国の組織体制の再構築が図られることになった。
建設省,運輸省,国土庁と北海道開発庁は国土交通省に,文部省と科学技術庁は文部科学省に統合再編され,大蔵省が財務省に変わることになった。そのニュースを伝える,ある新聞のその日のコラムは大蔵省の名の由来にふれ,律令時代から1300年の由緒ある歴史を持つことを伝えていた。その名が消えることを惜しむ声も多かったということであるが,変革の姿勢を貫くためにも,敢えて改名が断行されることになったとのことであった。
21世紀の始まりを数年後に控えた昨今,あらゆる分野において,社会環境の著しい変化に対応するための変革が求められ,新世紀にふさわしい体制の再構築が要求されている。建設業界についても,多くの会社が身を切る経営再建計画を打ち出し,さらに,「建設産業再生戦略研究会」が建設業界の構造改革プランを策定するという建設省の方針などが報道されている。建設系学科で教鞭を取る者として,卒業生の大部分が身を置く建設業界の動向には,当然のことながら早期再生を願って,熱い視線を注いでいる。
ところで,社会環境の著しい変化に対応するための変革は,実は,大学にもまた求められている。高学歴社会,少子高齢社会,産業構造・雇用形態の変化,価値観の多様化,高度情報化時代,規制緩和,競争化社会,国際化社会などの社会状況の大きな変化は,大学等の高等教育機関にこそ早期の改革を促し,「知」の再構築を強く求めている。
今後,高等教育のなお一層の普及が予想される。大学では,履修歴,学力などに関して多様性を持つ学生達を受け入れることになるため,教育機能の強化と厳格な成績評価の実施などにより学生の質を確保するための方策の検討が行われている。また,科学技術の発展を支え,高度専門的職業人を養成する機関として,修士課程の規摸の拡大と教育研究体制の充実が図られてきている。
さらに,大学では,社会の期待に応じていくために,積極的・機動的に要請に対応できる教育研究体制の柔構造化が始められている。4年未満在学での卒業,秋期入学,互換単位および入学前取得単位の認定の拡大,修士課程の1年制コースおよび長期在学コースの制度化,企業と大学との共同による教育プログラムの開発,大学院と企業等の研究所との連携大学院方式の推進などの実施体制の整備などである。その他,学長を中心とする組織運営体制の整備,教育研究の不断の改善を促す自己点検・評価および第三者評価の実施などが図られている。
今まさに,産官学ともに,競争的環境の21世紀初頭を自己責任において,個性的に生きるにふさわしい体制の再構築に鋭意努力中である。改革に積極的に取り組んでいるお互いの健闘を称え合って,エールの交換を願う次第である。

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