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九州技報 第17号 巻頭言

建設省九州地方建設局
 局 長
縣  保 佑

我が国は,地震・水害等の災害が発生しやすい厳しい条件下にあり,自然災害に強い,より安全な国土の形成が強く求められています。
また,国民の価値観やライフスタイルの変化等を背景として,経済発展に見合ったゆとりある豊かな生活の実現が要請されており,このため魅力的で活力ある地域社会の構築,健全で,恵み豊かな環境の保全,人と自然のふれあいが保たれた美しい環境の創造,高齢者や障害者を含む全ての人々が,健康で心豊かな質の高い生活を享受できる福祉社会の構築,情報通信関連技術の飛躍的進歩に対応した戦略的な国土基盤・生活空間づくり,建設技術における国際化への対応など,建設技術が国民ニーズに応えて取り組むべき課題は多岐にわたっています。
これらの国民ニーズに対応し,質の高い安全で豊かな国民生活を実現していくことが,住宅・社会資本整備の基本目標と言えましょう。
しかし,このような課題の解決のために費やしうる時間も資金も潤沢と言うわけには行きません。高齢化社会の進展に伴う労働生産人口の減少,社会福祉関連の費用の増大により,相対的な住宅・社会資本整備への投資余力の鈍化が懸念される一方,社会資本ストックの増大に伴うメンテナンス費用の増大も見込まれ,今後の住宅・社会資本整備をめぐる財政環境には厳しいものがあります。
このため,建設事業の効率化・多目的化,建設産業の生産性向上,建設コスト縮減が,国民ニーズに応える住宅・社会資本整備を実現していくうえでの前提として,建設技術の開発が緊急の課題となっており,建設省では,今後取り組むべき研究開発課題とその推進方策として,河川,道路等の13分野にわたる事業別の技術五箇年計画を平成6年度に策定しました。現在はまた,建設省全体として重点的・計画的に推進する建設技術の研究開発の具体的テーマと,それらの研究開発を円滑かつ効率的に推進するためのシステムを着実に整備するために,平成7年度を初年度とする建設省技術五箇年計画を策定中であり,後世に誇りうる質の高い住宅・社会資本整備を進めるべく,さらなる技術開発を推進することとしております。
九州地方建設局においても,昭和62年度より技術活用パイロット事業や,試験フィールド事業等について既に93課題の182件について取り組んできているところでありますが,今後もこの五箇年計画を基に,九州の地形,地質,気象等の特性をも考慮に入れながら,さらに建設費のコスト縮減も念願においた積極的な技術開発を推進してまいりたいと考えております。

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