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第1希望の実習先に行けなかった女子が、今の仕事に就くまでの話。
~人生何が起こるか分からない~

宮崎県 県土整備部     
 技術企画課 技術基準担当技師
川 越 聡 子

「そういえば、川越さんってなんで県庁に入ったと?」入庁して7年経つ今でも時々出てくる、お決まりの質問があります。今でこそ聞かれる機会は減ってきたものの、入庁当時は、初めてお会いする方に、都度その話をしていたような気がします。今となっては、私が新規職員にこの常套句を使っていますが(笑)

ルーツを辿ると、私が県職員になるぞと決めたきっかけは、大学3年生のインターンシップです。遡ること高校時代、私が土木の道を希望したのは、化学が好きで、それを生かせるような学部を探していた際、「環境」という分野で河川調査等の現場に出向き、フィールドワークもできる土木環境工学科に惹かれ、受験を決意したことが始まりです。(結果的には、受験時の面接であれだけ「環境分野での活躍を目指しています!」感を出していたにもかかわらず、入学後、他の多種多様な分野も学ぶ中で、全く別分野の研究室配属を希望しちゃいました。)

あっという間に大学3年生となり、漠然と地元に残りたい気持ちがある中で「公務員」という職業に興味を持っていました。地元で公務員ともなれば、町村役場、市役所、県庁とそれだけでも3つ以上の選択肢があり、大学生の私には、管轄の他に具体的な仕事内容で何が違うのかもピンときていない状況だったと思います。
そんな中、与えられた「インターンシップ」という職業体験の機会ですが、受け入れ先の希望を書き、日程調整の連絡を待っていた私に届いたのは「市役所のインターンの受け入れ日程が、測量実習の日程と被ったので、宮崎市役所を希望していた人は全員、宮崎県庁で調整しました。」という学年担任からの一言でした。
気持ちを切り替え「どうせ行くからには“ 県庁職員の仕事とは” を見てくるぞ( ` ´)」と臨んだ2週間のドキドキインターンシップが始まりました。
当時、本庁の道路建設課と道路保全課にそれぞれ1 週間ずつお世話になり、各課の業務内容の説明や、知事レクへの同席、土木事務所の現場見学等など、多くの職員の方に時間を割いていただき、たくさんの現場に連れて行ってもらいました。今だから分かることですが、インターン生を迎えるということは、通常業務+ αという大変労力のかかる対応です(泣) にもかかわらず、当時担当していただいた職員の方々は、嫌な顔一つせず(少なくとも私にはそれが伝わらないように)優しく丁寧に接していただき、あっという間の、とても充実した2週間でした。

写真1 現場見学時の写真(橋梁架け替え)

「県職員で(県内各地方への)異動とかは大変ですか?お仕事は楽しいですか?」と、インターンシップ期間中、タイミングを見つけては職員の方に聞いていた質問です。超ドストレートですね。
帰ってきた回答は、「それはそれで楽しかったりするよ♪」といった“ 県職員=異動が大変” というマイナスイメージとは違った、現状をプラスに捉えた回答で驚きました。
少女漫画は言い過ぎかもしれませんが「バキュ――――ン!!!! ☆」と何かに打たれたような衝撃でした。(※盛っていません。)生まれも育ちも宮崎市の私にとって、その考え方は全く持っていなかったもので、単純ですが、今まで漠然と持っていたマイナスイメージのモヤモヤがパーンと開けたような感覚でした。
他にも「県の仕事は、地元に根付きつつ、予算の大きな事業を担当することができることにやり甲斐を感じる!」など、仕事に誇りを持てていることの素晴らしさを感じることのできる回答などもあり、今まで私が持っていたイメージは本当に「勝手な」ものだったなと、多くの刺激を受けました。
ここだけの話ですが、説明していただいた事業内容や職務内容、現場のお話については(当時の私を庇うわけではありませんが、)100・・・いや、50%も理解できていなかったと思います。(※もちろん、メモを取るなど理解する努力は必死にしました!←庇う(笑))

しかし、やっぱり最終的な決め手となったのは、インターンシップでお世話になった職員の方々の、働く姿勢やその考え方がかっこいいなと感じたこと、「この人たちの下で働きたい」と思えたことが一番のきっかけになったと思います。
当時、インターン先の方々からいただいた色紙や写真は、今でも私の原点であり、宝物です。採用試験の準備を始めてから、合格が決まるまでの不安な期間もずっと励まされてきました。

そんなこんなで、早いもので入庁7 年が経ちますが、当初から今の職場で3場所目になります。
当時お世話になった職員の方々とは、同じ担当で一緒にお仕事をさせてもらう機会もあれば、担当は違えども同じ配属先になって相談に乗っていただいたり、飲み会でお会いした際に当時の話で盛り上がったりと、いまでも「繋がり」という目に見えない形で、私の県職員生活を素敵に充実させてくれています。
インターンシップでお世話になった方々以外にも、入庁後それぞれの職場でお会いした多くの職員の方々に、毎日刺激をいただきながら、日々勉強させてもらっています。

専門分野の知識に長けている人、説明や資料整理の上手な人、先々のことまで予測して今の行動を決められる人、不明なことを徹底的に追求して自分のものにする人、忙しいときも後輩に気を配れる人等など、どの業界どの職種にも尊敬できる職員はもちろんいると思います。
些細な言葉で、単純なきっかけだったかもしれませんが、あの時、大学生の私が受けた感覚や刺激に加え、今でも、日々新たなそれを受けながら毎日仕事が出来ることは、あの時インターンシップに参加して、今の仕事に就くことができたからこそのものだと思っています。

もし、当時の方々がこの随想ページを見て下さっていれば「俺のことかな?」と思われるかもしれません(笑)
少しオーバーな表現ですが、今の私がここにいるのは、あの時、当時の方々と時間を共有できたおかげです。
これからも、初心を忘れず、そして次は、私が皆さんにしてもらったように、次世代の子たちにそう思ってもらえるような働き方をしていければと思っています。
今後ともよろしくお願いします、の気持ちを込めて。

写真2 いただいた色紙

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