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九州建設技術フォーラム2004 in 北九州について

国土交通省 九州地方整備局
 九州技術事務所 総務課
 専門調査員
塚 本 義 久

1 はじめに
「九州建設技術フォーラム2004 in北九州」(C.A.G.Forum2004)が10月7日,8日の両日,北九州国際会議場(北九州市小倉北区)において開催され,延べ3,000名に参加いただきました。
今年初めて「九州建設技術フォーラム」を開催しましたが,昨年までは「九州建設技術フェア」として開催されていました。なぜフェアからフォーラムヘと形態を変えたのか,その目的やフォーラムの開催状況について紹介します。

2 フェアからフォーラムへ
2.1 九州建設技術フェア
昨年まで行われた「九州建設技術フェア」を簡単にご紹介いたしますと,1991年に「九州建設技術展」として九州技術事務所でスタートし,節目の第10回(2000年)で,名称を「九州建設技術フェア」と改め,場所を福岡ドームに移しました。
その後開催地を九州各地として,第13回となる昨年は,「未来(あす)の社会(くらし)を支える人と技術」をテーマに,グランメッセ熊本(熊本県上益城郡益城町)で開催し,136社・団体より368技術の出展をいただき,来場者約7,000名を数える,九州における秋の建設技術の祭典へ大きく育ちました。
「九州建設技術フェア」は,「建設分野の新しい技術や優れた技術の活用・普及を促進すること」を目的としており,民間企業・団体の技術展示を中心に実施されてきました。(図ー1)
しかしながら,フェアの出展が「新しい技術,優れた技術の採用につながりにくい」との声があり,必ずしも新技術の活用・普及の促進につながっているのか明確ではありませんでした。

2.2 九州建設技術フォーラム
九州建設技術フォーラムは,フェアの反省をもとに,産学官それぞれが新技術の開発・活用の取り組みについで情報を発信し,産学官で意見交換を行うという形に変えて開催いたしました。(図ー1)
サブタイトルとなっている「C.A.G.Forum」とは「キャグフォーラム」と呼称し,Construction industry, Academia, Government cooperation Forumの頭文字を取っており,産(建設業)・学・官が協働して行うフォーラムと言う意味を込めています。
以下フォーラムでの様々な取り組みや,盛りだくさんのプログラムの一部をご紹介します。

3 基調講演
3.1 基調講演1(官)
10月7日9:50~10:40に,メインホールにおいて,「日本における建設技術の新しい動きについて」と題して,中島威夫様(国土交通省総合政策局技術調査官)より,「建設技術と技術開発の思想」,「技術開発の課題と技術活用の目的」,「建設分野における技術開発と活用の現状」などについてご講演をいただきました。(写真一1)

3.2 基調講演2(産)
10月7日10:40~13:00に,メインホールにおいて,「地図の未来・ゼンリンの歩みと夢」と題して,青木裕幸様(㈱ゼンリン取締役制作本部長)より,「3D化した電子地図などを活用した新しい技術への挑戦」などについてご講演をいただきました。(写真ー2)

3.3 基調講演3(学)
10月8日9:30~10:40にメインホールにおいて,「法人化後の国立大学における産学官の連携について」と題して,小寺山亘様(九州大学理事・副学長)より,「九大TLOなど九州大学が取り組んでいる産学官の連携」などについてご講演をいただきました。(写真ー3)

4 意見交換
意見交換の場として,3つの分科会と1つのシンポジウムを行い,産学官それぞれが,新技術普及促進のための課題などを討論しました。
なお,本文中の敬称は略させて頂きます。

4.1 分科会
(1)分科会1(官)
日 時 10月8日 10:40~11:50
テーマ 「新技術の活用の促進のためには」(図ー2)
座 長
 田中慎一郎 九州地方整備局企画部長
パネリスト
 高橋和雄 長崎大学工学部副学部長
 村上 健  ㈱千代田コンサルタント九州支店長
 村上正剛 ㈱さとうベネック土木事業本部長
 吉原 匠 国土交通省 九州技術事務所長
 吉田秀樹 国土交通省 下関港湾空港技術調査事務所長
 後田 徹  国土交通省 福岡国道事務所副所長

(2)分科会2(産)
日 時 10月8日 12:30~13:40
テーマ 「新技術の知的財産の創出と継続の可能性について」
座 長
 中原 康 ㈳九州建設技術管理協会顧問
パネリスト
 野本 寿 ㈳日本土木工業協会 技術研究所副所長
 末次孝之 ㈱富土建開発部長
 宮崎良彦 関門港湾建設㈱専務取締役
 小松利光 九州大学工学部教授
 牧角龍憲 九州共立大学工学部教授
 三木博史 (独)土木研究所技術推進本部長

(3)分科会3(学)
日 時 10月8日 13:50~15:00
テーマ 「大学の独立行政法人化といった社会潮流の中で,
     大学が行う(基礎)研究の意義と今後の活用方策について」
座 長
 松下博通 九州大学大学院工学研究院教授
パネリスト
 久保喜延 九州工業大学工学部教授
 高田 仁 九州大学知的財産本部リーダー
 松岡康訓 大成建設㈱技術センター副所長
 吉田哲雄 ㈱YBM会長
 藤本 昭 ㈳九州建設技術管理協会理事
 七條牧夫 国土交通省大臣官房技術調査課 環境安全技術調整官

4.2 シンポジウム
日 時 10月8日 15:20~16:40
テーマ 「新時代の産学官連携の構築にむけて」(図ー3)
座 長
 樗木 武 九州大学名誉教授
パネリスト
 中原 康 ㈳九州建設技術管理協会顧問
 松下博通 九州大学大学院工学研究院教授
 田中慎一郎 九州地方整備局企画部長
 溝越 明 西日本新聞社論説委員会副委員長
 中野公雄 ナカノ事務所代表
 横山照正 パシフィックコンサルタンツ㈱九州本社長

シンポジウムの概要
「公共投資にかかわる事業の推進おいて,従来の行政建設業関係学会だけでなく,市民が利用者という立場に加え,事業への新たな役割を果たす流れにある。この点を踏まえつつ.①建設技術開発の意義あり方,②建設技術開発の評価の視点,③建設技術開発の中で産学官の連携の可能性とその構築の方法について」の議論がなされました。

5 情報発信
5.1 プレゼンテーション
「安全」「環境」「コスト」「国際競争力」「IT」の5つのテーマにそって,10月7日13:00~17:00と,10月8日10:40~15:00の間「産」80件,「学」20件,「官」22件,計122件の発表が行われ,発表者と聴講者の間で,活発な意見交換が行われました。(図ー4)

5.2 ポスターセッション
フォーラム開催期間中の2日間イベントホールにて「産」104件(図ー5),交流ラウンジにて「官」29件のブース及びポスター展示が行われ,模型やパソコンなど使った出展者の熱心な説明が行われました。

5.3 技術開発相談室
10月8日10:30~16:30の間,九州技術事務所と下関港湾空港技術調査事務所の職員が.新技術の開発やNETIS等の技術相談を開設しました。

5.4 ランチョン・セミナー
10月7日12:00~12:40の間,ランチョン・セミナーを行いました。ランチョン・セミナーとは,発表者が提供した昼食を食べながら,プレゼンテーションの聴講や質疑等を行うものです。

6 その他の取り組み
6.1 インターネット
フォーラムでは,公式ホームページを作成しています。
アドレスはhttp://www.cag-forum.com/です。(図ー6)
「ITで進歩とニーズが出会う」をコンセプトにコンテンツが構成されています。

(1)各種リンク
プレゼンテーションやポスターセッションの出展技術を詳しく紹介する,「検索機能付きプログラム」を作成するとともにその技術へのリンク機能を有しています。
(2)事前フォーラム
フォーラムの開催前に,新技術に関して発表者や分科会等の登壇者との,意見交換ができるよう「双方向のコミュニケーション」として,掲示板を作成しています。

6.2 参加者の利便性の向上とセキュリティ
参加者の会場移動の利便性向上や,入退室時の集計,セキュリティのため,当日会場へお越しになった参加者全員に,「ビジターパス」,「ポケットナビ」,「カード収納ケース」を配布し,今回活用しています。(図ー7)

(1)ビジターパス
ビジターパスは,ICチップを内蔵したカード型CDーROMとなっており,CDーROMのデータは,プレゼンテーション,ポスターセッションの出展技術に関する企業や技術の詳細,基調講演やシンポジウム等の詳しい内容が記録されています。(図ー8)
また,ホームページヘのリンク機能も有しており,インターネットが利用できるパソコンで再生すると,ホームページにアクセスすることができます。
また,入場者管理機能を有しており,各会場の出入口に設置された非接触型のカードリーダーへビジターパスをかざすことで,内蔵されたICチップのデータを読み込み,入退室を管理することで,不審者対策などセキュリティを向上するために利用しました。(図ー9)

(2)ポケットナビ
ポケットナビは,容易に開いたり折ったりできコンパクトに収納できる「みうら折り®」を使用し,表面にはプログラムや会場図,ポスターセッション等の出展者名や出展技術名等,裏面には講演をいただく株式会社ゼンリンの地図を用いた,北九州市内地図を印刷して,来場者の利便性を向上しています。(図ー10)

7 おわりに
現在,フォーラムの公式ホームページ上では,事後フォーラムとして,当日の基調講演やシンポジウム等のダイジェストを動画にて配信しています。是非一度公式サイトヘご訪問ください。
 http://www.cag-forum.com/
最後になりますが,フォーラムにご参加頂いただきました皆様またスタッフの皆様へ,この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。
また,来年のご参加を心よりお待ちしております。ありがとうございました。

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