アセットマネジメント
国土交通省 九州地方整備局
企画部 技術調整管理官
企画部 技術調整管理官
高 木 章 次
1 アセットマネジメントとは
道路局資料によると“アセットマネジメント”とは, 「資産管理の方法;道路管理においては,橋梁,トンネル、舗装等を道路資産としてとらえ,その損傷・劣化等を将来にわたり把握することにより,最も費用対効果の高い維持管理を行うための方法」と説明しています。
また,辞書を引くと以下の意味になり、インターネットで検索すると,銀行・証券会社等のホームページが検索され,顧客に資産管理等各種情報が提供されています。
asset(アセット);n.資産の一項且資産,財産 (三省堂EXCEED英和辞典)
アセットマネジメント;会社の投資などの資産管理 (三省堂デイリー新語辞典)
2 アセットマネジメント導入の背景
これまでの道路管理においては,震災・防災・各種緊急点検での対応は行ってきたものの,一般には舗装・構造物等の損傷が顕在化してからの補修が主でした。また,わが国では、高度経済成長期(S30年代~50年代前半)に多くの構造物が建設されており,今後これらの補修・更新需要が急激に増大してきます。これに的確に対応していくためには,これまでの対症療法的手法からいわば予防保全的手法の確立,すなわち既設構造の点検から補修・更新に至る管理を総合的にとらえ,計画的・効率的に補修・更新を進める仕組みが必要になってきたことにあります。
3 道路アセットマネジメント
平成14年6月に国土交通省道路局が設置した「道路構造物の今後の管理・更新等のあり方に関する検討委員会」(委員長:岡村甫高知工科大学学長)においてその基本的な考え方が議論され,平成15年4月23日に本件に関する提言がなされました。図ー1が委員会の提言に示された道路アセットマネジメントの考え方です。この提言を受け,国土交通省として以下の方針を示しています。
① H15年度にアセットマネジメントシステムの基本的枠組みを構築:ⅰ.対象とする道路構造物は,舗装,橋梁,トンネル ⅱ.道路構造物の建設と管理に必要な中長期的な費用(ライフサイクルコスト;LCC)を最小化 ⅲ.直轄国道事務所の代表事務所で試行を行い,プロトタイプを構築
② H16年度以降は,技術開発等によりプロトタイプの精度向上等を図るとともに全国の直轄事務所へ展開する。
4 試行状況とH16年度対応方針
H15年度の試行は,全国の10事務所で行っており,九州では福岡国道事務所が担当しています。試行内容は,①データ整理、橋梁(損傷等)の区分 ②健全度評価方法および健全度予測式の検討 ③試行計算プログラムの作成および試算 ④補修予定の作成(補修計画の基礎資料) ⑤課題の整理等です。
H16年度は,アセットマネジメントシステムを構築するとともに同システムを支援する技術開発や体制の整備を図ること,また道路構造物・道路管理の現状等について,国民へ分かりやすく情報提供することとしています。