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新道路技術五箇年計画について

道路局 国道課
 課長補佐
松 崎  薫

土木研究所 道路部
 道路交通総括研究官
常 田 賢 一

はじめに
新道路整備五箇年計画(平成10年5月29日閣議決定)において唱われている「新技術の開発・導入の促進」のために,道路新技術委員会の審議を経て,平成10年11月に平成10年度を初年度とする「新道路技術五箇年計画(以下,新道路技術五計と言う)」が策定された(写真一1参照)。

新道路技術五計は,前道路技術五箇年計画(平成5年度策定:以下,前道路技術五計と言う)の研究開発の成果に対する外部評価の結果を踏まえて,国が行うべき技術研究開発の明確化,社会ニーズに基づき展開される道路行政と一体となった技術研究開発の推進,技術研究開発テーマの重点化を図るとともに,技術研究開発の推進方策について明示しているのが特長である。また,新道路技術五計は道路局と士木研究所が一体となって策定した。
ここでは,新道路技術五箇年計画の概要並びに最近の取り組みの動向を紹介する。

1 計画の策定の体制
新道路技術五計は,前道路技術五計の策定後にそのフォローアップのため設置された「道路新技術委員会(委員長:中村英夫武蔵工業大学教授)」(表一1参照)における充分な審議を経て策定された。

2 計画の策定内容
策定された新道路技術五計の内容は,図ー1のように体系化できる。第1章では技術研究開発を取り巻く背景および前道路技術五計の評価を踏まえて新技術五計の主要課題を提示し,第2章では新技術五計の策定に際しての基本的な考え方を明確にしている。また,第3章では重点課題として選定された13課題のそれぞれについて,技術研究開発の必要性,目標,内容および実施体制を明示し,技術研究開発計画を策定している。さらに,第4章では前道路技術五計の評価によりその実施方法について厳しい評価を得た,技術研究開発の推進方策について具体的な方法を提案している。

3 計画の主要な特長
新道路技術五計の主要な特徴は,以下の通りである。
特徴1:技術研究開発を巡る動向を考慮
前道路技術五計が策定された以降の5年間で,以下のような科学技術研究開発に関する法制度等の充実が図られてきているが,新道路技術五計の策定に当たっては,これらの社会的な動向が踏まえられた。
・環境政策大綱(平成6年1月)
・建設省技術五箇年計画(平成7年9月)
・科学技術基本法(平成7年11月)
・交通安全研究五箇年計画(平成8年3月)
・科学技術基本計画(平成8年7月)
・道路環境技術開発三箇年計画(平成8年12月)
・建設技術開発会議(平成9年7月)
・国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針(平成9年8月)
・全国総合開発計画:21世紀の国土のグランドデザイン(平成10年3月)
・新道路整備五箇年計画(平成10年5月)
特徴2:前道路技術五計の外部評価を実施
前道路技術五計による技術研究開発の成果および推進方策等について,客観的な外部評価を行い,その結果を新道路技術五計の策定に反映している。評価者は,学識経験者として学界24人,民間19人の計43人,土木学会の推薦者として学界15人,民間9人の計24人,海外の有識者として学界6人,行政機関17人の計23人,合計90人が選定された。
また,評価項目は,①研究開発成果,②推進方法,③今後の取り組むべき方向,④総合評価,⑤道路分野における技術開発全般についての意見の5項目である。ここで,研究開発成果に関しては五箇年計画の目標に対する達成度,現在の成果から見た実用性,成果の将来的な発展性を5段階評価し,推進方法に関してはプロセス,体制,産学官の役割分担の適切性,情報,成果の公開やPR状況今後の目標,研究開発体制,開発参加者の役割分担に関する評価が実施された。
各技術研究開発テーマの五段階評価の結果は表ー2として集約されたが,研究開発成果に関する達成度,実用性および発展性については,4点以上の評価点(図中の色の濃い部分)が多く一定の評価を得た。しかし,技術研究開発の推進方法に関するプロセス,体制,役割,情報およびPRについては,3点以上4点未満の評価点(図中のやや濃い部分)が大部分を占めており再検討の余地があるとの結果であった。

特徴3:計画の主要課題を提示
道路審議会の提言,建設技術開発会議の提言,新道路整備五箇年計画の目標および前道路技術五計の評価結果において明らかにされた社会・経済・生活における将来課題を踏まえて,新道路技術五計において,以下の4つの主要課題が提示された。
① 道路環境の改善
② 道路と生活の安心・安全の向上
③ 道路交通と道路事業の効率性の向上
④ アカウンタビリティの向上

特徴4:基本的な考え方を提示
新道路技術五計において対象とする研究開発項目を選定するために,今後の道路技術政策の方向,国の責務および策定の基本方針を明らかにするとともに,それらに基づき技術研究開発の主要課題の体系化を図り,特に重点的に取り組むべき枝術研究開発テーマを厳選している。

(1)道路技術政策の目指す方向
今後の道路技術政策について,以下の推進方向を明示した。
① 道路政策と技術研究開発の融合・総合化
② 豊かな自然を大切に守り伸ばしていける社会を実現する環境技術
③ 安心・安全な日常生活を実現するリスクマネジメント技術
④ 道路施設の建設技術から道路利用・運用技術の重視ヘ
⑤ 良好な道路資産を次世代へ継承し効率的な利用を実現するマネジメント技術
⑥ 国民の理解と支援を得る技術研究開発

(2)国の責務を果たすための技術研究開発
国としての責務を果たすため,道路局と土木研究所が中核となって今後の道路政策の一環として実施すべき技術研究開発の代表として以下の分野を提示した。
① 国土管理技術に関する分野
② 道路政策の決定に密接不可分な技術研究開発に関する分野
③ 技術基準の策定に必要な技術研究開発に関する分野
④ 社会ニーズの把握から成果の検証までを一貰して行う必要のある技術研究開発に関する分野
⑤ 国際貢献や国際交流を求められている技術研究開発に関する分野

(3)新道路技術五計の策定方針を明確化
新道路技術五計の策定に際して,以下の事項に関して基本方針を明示した。
① 計画期間
② 4つの主要課題の設定
③ 技術研究開発の必要性と目標の明確化
④ 中長期的な視点を含む技術研究開発テーマを重点化
⑤ 技術研究開発の推進体制の拡充
⑥ 評価の実施

(4)技術研究開発項目を重点化
社会ニーズ,緊急性,産学官のマネジメントの必要性,技術開発シーズの有無,研究開発の規模等の選定条件を踏まえて,表ー3に示すように4つの主要課題毎に抽出した13の技術研究開発テーマを重点テーマと位置づけ,従前にもまして技術研究開発やその推進体制を充実,強化し,五箇年間において優先的に取り組むこととした。
これらの選定された13の重点技術研究開発テーマ毎に,
① 技術研究開発の必要性
② 五箇年計画内に達成すべき技術研究開発目標
③ 目標達成のために必要な技術研究開発の内容
④ 技術研究開発の実施体制(産学官の分担と連携方法)
を明確にすることにより実施計画を策定した。

特徴5:技術研究開発の推進方策を提示
前道路技術五計の評価の結果において再検討が必要とされた技術研究開発の推進方策について,マネジメント機能の強化および産学官の連携の強化のための新たな取り組み方策が提案された。
(1)産学官の連携強化のための新制度(技術研究開発基本協定)
道路政策と技術研究開発の一体的な推進を図る上で必要となるマネジメント機能の強化や道路局,土木研究所,地方建設局,道路関係4公団等と技術研究開発に参加する民間企業,大学等との間の産学官の連携強化を図るため,技術研究開発に携わる関係者間で「技術研究開発基本協定」を作成することが提案された。
この基本協定は,技術研究開発状況に関する情報,杜会・行政ニーズ,研究開発の目標・役割分担・実施方法,研究開発された技術の実用化・普及方策に関して産学官で共通に認識し,情報を共有化することにより,効率的かつ計画的な研究開発の推進を期待するものである。基本協定で想定されている実施スキームの概念は図ー2の通りである。

(2)技術研究開発マネジメント
技術研究開発をマネジメントすることが重点事項とされたが,その具体的な方法について,以下の方策が提案されている。
① タスクマネージャの設置
② 知的所有権の管理
③ 技術研究開発情報の収集と発信
④ 技術研究開発情報の記録保存
⑤ 試験フィールドの提供
ここで,タスクマネージャは技術研究開発基本協定を作成して,技術研究開発の総括的なマネジメントを担当するために設置される責任者であり,土木研究所における重点技術研究開発項テーマ毎のタスクマネージャは表ー3の通りである。
また,新道路技術五計により土木研究所が開発した新技術については,土木研究所と地方建設局等の連携の下,試験フィールドにおいて技術の適用性を検証することにより,積極的な普及に努めることが必要とされている。

(3)技術研究開発の実施方法や成果の評価
新道路技術五計(平成10~14年度)で実施される重点技術研究開発テーマを対象として,技術研究開発の実施方法や成果について内部評価と外部評価が実施される。ここで,外部評価では学識経験者や専門家によって構成される評価委員会を設置し,平成12年度に中間評価,平成14年度に事後評価が行われる。

4 最近の取り組みの動向
ここでは,新道路技術五計の策定を受けた具体的な技術研究開発の取り組みの現況を紹介する。
(1) 新道路技術五箇年計画推進委員会の設置
新道路技術五計に基づく技術研究開発に対して,各界を代表する専門家の方々から大所高所の視点による幅広い意見を伺うために,平成11年3月に「新道路技術五箇年計画推進委員会」が設置された。
(2)技術研究開発基本協定の作成
技術研究開発の推進方策として提示された「技術研究開発基本協定」に関しては,平成11年3月に第一号として「車両の大型化に対応した橋梁.舗装技術およびトンネルの断面拡大技術に関する技術研究開発基本協定書」が作成された。同協定書は,土木研究所長および民間の代表としての財団法人および社団法人が,車両の大型化に対応した技術研究開発の目標および役割を明確にするとともに,技術研究開発の成果を実証することを相互に確認したものになっている。
同様な協定書は,他の重点技術研究開発テーマにおいても順次作成される予定であるが,開発された技術を実証試験する試験フィールドの提供に関しては,各地方建設局の協力を得ることが必要とされている。
(3)広報のためのビジュアル版の作成
新道路技術五計を広く国民に分かりやすい形で知ってもらうために,ビジュアルな冊子(写真一2参照)を作成している。

(4)研究開発課題の体系化と予算の重点化
土木研究所における道路事業調査費においては,新道路技術五計における13の重点技術研究開発テーマを軸とした研究開発課題の体系化を図るとともに,予算についても重点的な執行を図っている。なお,測量及び試験費についても,新道路技術五計における重点技術研究開発テーマに係わる事項については各地方建設局との協力,連携が必要とされている。

あとがき
新道路技術五箇年計画は,主に道路局と土木研究所が推進する技術研究開発に関するものとなっているが,各地方建設局においても解決が必要とされる技術研究開発テーマもあると考えている。13の重点技術研究開発テーマについては,各地方建設局の積極的な参加を期待するものであり,各地方建設局におかれては技術研究開発テーマ毎に作成される基本協定に積極的な参画を頂き,土木研究所と連携した技術研究開発の推進・試験フィールドでの新技術の検証をお願いしたい。
なお,新道路技術五箇年計画の冊子およびビジュアル版は,既に各地方建設局に配布されているので参照願いたい。

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