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宮崎学園都市開発整備の現況

宮崎学園都市開発事務所長
岡 山 義 人

1 はじめに
宮崎市の中心部より南へ10㎞,車で20~30分のところで数年前より二ュータウンの建設事業が行われている。これが,地域振興整備公団(略称「地域公団」)が昭和54年度から取り組んでいる宮崎学園都市開発事業であり,統合移転した国立宮崎大学の84haにおよぶ新キャンパスを中心として,県立の社会福祉施設,医療製薬メーカー並びにコンピュータソフト会社等の企業立地そして概ね2000戸の住宅団地を配したいわゆる「産」「学」「住」で構成された,太陽と緑あふれる新都市,これが宮崎学園都市である。
地域公団は,大都市からの人口および産業の地方への適正な分散と地域の振興を図るために,地方都市において,これら発展のための核となる都市開発整備事業や工業団地の整備を行っている機関であり,宮崎学園都市は,公団が現在全国で展開している13の都市開発整備事業の一つである。
宮崎学園都市は,昭和54年の事業着手以来もう既に今年で12年目を迎えている。現在までに「産」および「学」部分の事業は既に完了を見ており諸種の機関や企業が活動中である。現在の事業は,残されている「住」部門の建設とその分譲を鋭意行っている段階であり,序々に家並み,街並みが形成されつつある。以下,本学園都市の計画および現況について報告する。

2 開発計画の概要
(1)計画の背景と方針
宮崎学園都市は,昭和40年代後半における宮崎大学の移転統合の方針決定を受けて計画された開発事業であり(宮崎大学は,宮崎市の既成市街地に農・教育・工学の3学部が分散立地しており,施設老朽に加えて,夫々のキャンパスも狭隘であり,学科,学部増設といった施設整備拡充の声に対処困難であった),大学を中心として産・学・住の機能を配置した新市街地を開発することにより,宮崎都市圏全体の健全な都市発展を図り,併せて,県の学術・文化及び先端産業の中心地としてのインパクトを発揮して地域振興に資するよう方針づけられた。
開発計画の策定においては,特に学園都市が単なる高等教育や研究施設の集合体を意味するものではなく,教育や研究に従事する人々の生活がそこにあり,教育・研究の成果を享受する県民と広く交流する場でもなければならないとする理念の基に,学園都市の内容が以下のものを有するよう計画された。
① 大学を始めとする各種教育,研究施設およびこれらに関連する施設
② 上記関係者の住居及び文教的環境を指向する一般県民の住宅
③ 住民の生活を支える生活関連施設
④ 住民が交流しあえるレクレーション,文化集合施設
⑤ 上記の諸施設を支え,また関連する施設
(2)開発地区の地理的状況など
開発区域は,宮崎市の木花(キバナ)地区から隣接する清武町に跨がる概ね東西3㎞,南北1㎞の区域で,標高15~30m(一部は30~80m)の畑地および山林を主とした丘陵地である。近くには,本県を代表する観光地である青島や本県のスポーツ拠点である宮崎県総合運動公園(毎年3月には,“日本一番の春”というキャッチフレーズのもとに催されているフラワーフェスタ,それから,読売ジャイアンツのキャンプ地としても有名である)がある他,空港や高速道インターにも車で15分程度の距離にあるといった具合にすこぶる利便性の高い所に立地している。
また,学園都市は,リゾート法第1号指定となった“宮崎日良南海岸リゾート構想”による青島スポーツファミリーリゾートゾーンに位置付けられていることから,今後の関連施設整備が期待される他,本地区の周辺には,宮崎サンテクノポリスをリードする大型I.C工場,電子デバイス企業等の集積が進みつつあるところでもある。
学園都市は,このような周辺の社会環境と太陽と緑の織り成す恵まれた自然条件とを受けて,21世紀をリードする先瑞的な都市を目指している。

(3)開発計画
開発地300haの土地利用計画は,図ー3にも示すように概ね3区分できる。すなわち,事業区域のほぼ中央部に,学園都市のシンボルでもある宮崎大学を配し,西部地区には,宮崎大学および事業区域に隣接することになる宮崎医科大学(昭和49年開学)との関連を考慮して学園関連施設(養護学校等の4つの県立の福祉施設および医療製薬関係の企業用地としてのハイテクパーク)を配置している。そして住宅地計画は,宮崎都市圏の住宅需要並びに学園区域内の立地機関への従事者を主なる対象として,概ね2000戸(集合住宅500戸,独立住宅1500戸),計画人口8000人の規模とし,立地位置としては,従来の市街地に隣接かつJR九州・日南線・木花駅,国道等への交通の利益性の良い東部地区に配置している。その他,商業・利便施設用地としては,大学と住宅地を結ぶー角をタウンセンターとして開発整備することとしている他,住宅区域内には小学校,中学校,幼稚園,保育所各1の立地を計画している。
以上のように学園都市の構成は,産・学・住の3つの機能を包含したものとなっており,周辺の自然環境とも調和の取れた新しい都市造りを指向している。
事業計画としては,公団の所管するものが,事業費で約340億円,事業期間が昭和54年度より概ね14カ年間となっているが,この開発計画を支える各種の公的施設(道路,河川,公園,下水道,上水道,ガス等)いわゆる関連公共施設の国の助成費用,各機関の施設整備費などを含めると1000億円を超えるプロジェクトとなっている。

3 事業の現況
宮崎学園都市の建設は,地域公団による一般宅地造成事業として昭和54年度から着手している。すなわち,公団は,実施計画に基づき,開発区域の用地取得(県に委託),造成工事(区域内の幹線道路建設を含む)そして造成用地の大学を始めとする関係機関への譲渡を県・市と調整を取りながら進めてきている。他方では,平行して,都市の機能を図るうえから必須となる区域内外の関連公共施設の建設が国の補助事業(建設省が中心)として各公共施設の管理者の手で実施されている他,当然ながら,各立地機関の建設行為は各々の機関で実施される等,複合的な建設事業として学園都市の建設が進められてきている。

現在は,冒頭で紹介したように,学園都市の主体である宮崎大学の移転完了を昭和63年度に終えることができた他,他の関連施設,企業等に対する用地の譲渡も終了し,住宅地区の整備に取り組んでいるところである。
以下,各地区ごとの現況を紹介する。
(1)大学地区
先に述べたように,宮崎市街地に分散していた宮崎大学農学部,工学部,教育学部の3学部および管理部門等の施設の統合移転は,現在全て完了しており,大学生数3800人,教職員約600人の学園活動が始まっている。移転後,教育学部の人文社会学科,工学部の電子工学科,情報工学科および農学部の学科再編など教育・研究部門の拡充整備が行われた他,将来は,人文系および理学部などの新たな学部増設も計画されているようである。写真ー3に現在の宮崎大学の全景および図ー4に新キャンパスの配置を示す。

また,写真ー2は,開発区域に隣接している宮崎医科大学である。本学は昭和49年6月に設置されたものでベッド数600の付属病院を有している。

これら2大学が学園都市の「学」部門の主であり,この交流・連携を単独にあるいはまた関連施設を介して進めていくことが,またそれが円滑に進むようなシステムなりリフト造りが必要になってきている。
(2)学園関連地区
学園関連地区は,福祉ゾーン,ハイテクパーク,リサーチパークに大別される。
福祉ゾーンでは,市街地に分散していた県立こども療育センター,県立清武養護学校が昭和62年4月に移転・開校,その後,県立ひまわり学園,県立宮崎南養護学校が平成元年4月に移転・開校したことにより,移転・統合が完了した。近くには,宮崎医科大学があり,既に同大学による指導,教育が一部行われる等,望ましい関係が生まれてきている。
ハイテクパークは,宮崎SUNテクノポリスを先導するハイテク企業の導入を促進し,宮崎大学および宮崎医科大学との研究・開発面での交流を図る等,学園都市にふさわしい高度研究機能を有する企業用地として計画されており,今春から世界的な医療機器メーカーであるバクスター㈱や試薬メーカーの和光純薬工業㈱が操業を開始している。
リサーチパークは,研究開発・人材育成等を中心とする施設の立地ゾーンとして位置付けられ,既に,県立衛生環境研究所,地域職業訓練センター等の公的機関の施設および㈱フォーラムエイト,キャデイク㈱等の民間コンピュータソフト開発企業の立地が進んでいる。
表ー3は,学園関連施設の一覧表であるが,既に進出企業等は全て決定している状況である。写真ー4が福祉ゾーン,5がハイテクパーク,6がリサーチパークの現況である。

(3)住宅地区
学園都市の「住」部門である住宅地は,学園の東部地区約100haを占めており,ここに,集合住宅500戸,独立住宅1500戸の区画を整備すると同時に必要となる公共施設,公益施設の建設を進めている。計画人口は,概ね8000名を想定している。昭和63年3月に第1回の独立住宅区画分譲を記念して街開き式典を行い,その後順次,区画の整備に応じて第2回,3回といった分譲業務を進めてきており,この6月に第6次の分譲を行った。それと同時に,集合住宅用地については,県営,市営任宅用としてそれぞれ県および市に譲渡してきている。現在までの進捗としては,集合住宅で70%,独立住宅で40%程度となっており,独立住宅の建築戸数も約250戸を数えるに至っている。
ちなみに,現在公団で分譲している独立住宅用地は,平均で広さ100坪,単価16~17万円/坪という状況である。また,応募状況は,平均10倍,県外からの申し込み,中でも首都圏からの応募が多いのが特徴(県外が6割,その半分が首都圏の方~~~第6次の公募より)であるが,これも,宮崎学園都市のもつ将来性も含めた魅力がそうさせているのではないかと考えている。

4 おわりに
宮崎学園都市開発整備事業が動きだしてから今年で12年目になる。学園都市の大学キャンパスと住宅地区は,宮崎市学園木花台という新たな町名を頂き,昼間は,4000名を越す学生等が活動し,そして住宅地では,およそ1500名の人々の都市生活がスタートしている。その生活をサポートする幼椎園や小中学校を始めとする公益施設やタウンセンターの本格的整備は未だこれからになるが,平成7年度位までには,これらも出揃う筈である。今は,住宅地回りの木々も未だ根付いたばかりの姿であるが,21世紀を迎えるころには,本当に太く根付いた木々と共に,学園都市は,本来の産学住の融和したすばらしい街並みになっているだろう。

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