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国際海浜コンベンションリゾートゾーン

宮崎県土木部
都市計画課課長
佐々木 勝 朗

1 「観光宮崎」から「日本一すみよい宮崎」へ
きらめく波の光,紺碧の海原の果てしない広がり,力強い黒潮に洗われる波状岩,海岸線に直線状につながる黒松林の樹海,輝く陽光,潮の香の漂う爽やかな風,青と緑そして白い波のコントラストがあざやかに脳裏を駆け抜ける。
宮崎県では,古代神話と自然景観,これらを資源にして「観光宮崎」から,21世紀に向けて,県民・国民はもとより広く世界の人々が集う国際的な交流都市,様々な階層・世代の人々が憩い,やすらぎ,明日への想像的活力を培う都市,そして海と緑を基調とした魅力的な都市—「宮崎太陽海岸都市」を目指した第4次総合長期計画を策定しています。
これは経済的な豊かさ,利便性に加え,生きがいやゆとりなどと,心の豊かさを重視し,県内各地,各世代がすみ良さを実感できる「すみよいふるさと宮崎づくり」を目指して「たくましい地域産業づくり」「魅力あるふるさと圏づくり」「生きがいのある長寿社会づくり」を3つの柱に,21のプロジェクトから成り立っています。
このなかの主要プロジェクトとなる「宮崎・日南海岸リゾート構想」は,昭和63年7月に「総合保養地域整備法」(リゾート法)の第一次承認を受けて,国内外の人々が充実した余暇生活を営むことを前提とした6つのリゾートゾーンによって構成されています。
この構想は,昭和44年の沿道修景美化条例の制定や全県公園化構想を基にした昭和48年の宮崎県自然環境の保護と創出に関する条例を背景に,昭和58年3月から海洋性リゾートを中心として推進されてきた「亜熱帯性ベルトパーク実施構想」を受け継ぎ,さらに大きく生まれ変わり,第3次産業だけでなく農林水産業まで含む幅の広い総合的な産業で構成されています。
対象地域は,日南海岸国定公園を中心とした海と森林資源を有する丘陵地帯の3市5町で,13万3千haにも及びます。その中に,
① 国際観光都市としての集積を生かした国際海浜コンベンションリゾートゾーン
② 青島の海を生かしたあらゆる世代の人々が集う青島スポーツファミリーリゾートゾーン
③ マリーンスポーツ・レジャーを中心とする国際級海洋性リゾートゾーン
④ 亜熱帯性気候の自然・産物にふれる農林漁業体験型リゾートゾーン
⑤ 伝統的な町並みや温泉を生かした保養・歴史リゾートゾーン
⑤ 広大な森林空間を生かした森林活用型リゾートゾーン
の6つのリゾートゾーンをバランスよく配置しそれぞれの地域特性を充分に生かしたリゾート整備を図っています。

2 国際海浜コンベンションリゾートゾーン
その中でも中心となる,国際海浜コンベンションリゾートゾーンは,阿波岐原森林公園を核として,北は佐土原町から南へ15kmの宮崎市の中心を流れる県内最大河川の大淀川までの,主に海岸線を中心にしたゾーンであります。
黒松林を主体とした,延長10km,約700haに及ぶ海岸林が樹海の様相をなし,広大な海と相まって自然の一大リゾート地区を形成しています。
その背後の宮崎市街地にあっては置県100年記念事業として県内文化施設の中核施設となる総合文化公園を宮崎大学跡地に整備しています。
これは,総面積16.5haの中に県立図書館,音楽・演劇ホール,美術館等を計画し,情報,文化等の機能が集中して,近接する総合博物館,埋蔵文化センター,平和台公園などの既存施設との有機的な連携を図り総合文化ゾーンの形成を図っています。
また,「21世紀に引き継ぐ複合産業都市」,「国際交流都市」,「九州テクノアイランドの活性化拠点」,「文化と科学の出会う街」の4つを目標にして宮崎市を中心に1市6町(清武町,田野町,佐土原町,高岡町,国富町,綾町)で構成されるサンテクノポリス構想も策定されています。
こういったなかにあって,ゴルフ場やテニス,マリンスポーツ基地等のスポーツレジャーを伴ったレクリエーション施設やリゾートホテル,コンドミニアム,コテージ等を併せ持った国際会議場が計画整備中です。
既存の施設にこれらの施設を加え,コンベンションを中心とした国際的な文化,ビジネスを展開することによって,県民の国際交流や国際文化が期待されるゾーンです。
リゾート構想では,この恵まれた自然環境や陸・海・空交通網の結節点に位置した交通アクセスの利便性など,リゾート地域としての優れた条件を有する当地区を,構想の中核として位置付け,国内外に誇るリゾート地域の形成を図ることとしています。

3 阿波岐原森林公園
国際海浜コンベンションリゾートゾーンの核となるのが当公園です。
都市計画法に基づく都市計画公園として面積374haを計画決定しており,昭和63年度に民間と公共が協力して整備を行うリゾートパーク整備事業の採択を受けて,特許事業として面積約123haを整備中です。
また,公共側としては,昭和50年度から平成8年度までを事業認可期間として約202haの公園整備を計画しており現在約4.2kmのパークウェイを整備中です。

4 特許事業「シーガイア」
阿波岐原公園を含んだーツ葉地区の整備は,海岸林を生かした施設整備を行い,施設整備後も8割近くの松林が残置され,松の緑と共生したリゾートを目指しています。
また,当該整備地区は国有地で,森林法による潮害防備保安林でもあります。
このため,民間の計画を具体化していくに当たっては,開発区域の保安林の機能の維持や自然環境の保全の確保,さらには,都市計画公園として相応した施設整備が行われるよう公益的視点から経営に参加することとして,フェニックス国際観光㈱など11の民間に加えて県と宮崎市の出資による第3セクター・フェニックスリゾート㈱が設立されました。
開発のネーミングは,海と大地が多くの生命を育んだように,次代の文化と命を育む国際海浜コンベションリゾートを願って,英語の海(シー)とギリシャ語の大地(ガイア)から「シーガイア」と名付けられました。

総事業費約2千億円,年間利用者550万人を目指し,人と文化の交感リゾートを建設するものです。中心をなすのは「オーシャンドーム」。
開閉式屋根の全天候型室内造波プールで,大きさは東京ドームの2倍半と世界最大。
人工さざ波からサーフィンができる波まで起こすことがでます。
シミュレーションシアターでは実際に宇宙船に乗っているような体験が味わえ,買い物やグルメが楽しめる施設も揃っています。
その他,トム.ワトソン設計・監修のゴルフ場,地上43階,地下2階,西日本一の高さを誇る「ホテルオーシャンフォーティーファイブ」,5千人収容の国際会議場「ワールドコンベンションセンターサミット」,国際トーナメントも開催できるテニスコート(2千席のセンターコート付き),家族などで滞在できるコテージ(貸し別荘),コンドミニアム(長期宿泊施設)などの施設があり,これらは平成5年7月の第1期オープン,さらには平成6年秋の第2期オープンを目指して整備中です。

5 他の公共によるリゾート関連施設整備
「シーガイア計画」は,民間活力の活用により魅力あるリゾート地域としての都市公園を整備するために建設省が創設したリゾートパーク整備事業を導入するとともに,民間活力の導入を含めた国有林野の積極的な活用を図ることを目的とする林野庁のヒューマングリーンプラン(森林空間総合利用整備事業)の地域指定を受けて推進されています。
このように,当計画は,本県リゾートを国内外に誇る魅力的なものにするために必要不可欠なものであると同時に,国有林野を活用して都市公園施設を整備するという公共性を有するものであります。
このため県および宮崎市においては,そのプロジェクトを積極的に推進するため,公共による支援措置を講じています。
1) 阿波岐原森林公園周辺道路の整備
シーガイア計画では,年間550万人の入り込み客を想定しているため相当の交通混雑が予想され,計画地周辺の整備が重要な課題となっています。
このため県や宮崎市においては,周辺県市道の道路改良事業や各地の街路事業の整備とともに,道路案内標識の対応も併せて行い,交通混雑の緩和を図ろうとしています。
また,当公園の東側に位置する一ツ葉有料道路に新たなインターチェンジを設置する予定です。
この道路は,九州縦貫自動車道宮崎線と連結した幹線道路で,国道10号線と220号線のバイパスの役割も担っていて,中央分離帯のワシントニアパーム等色彩感あふれる四季折々の植栽は,10万1千本にものぼり,すばらしい景観を提供しています。
さらに,道路両側には全国で初めての幅2mの自転車専用道路を併設しており300余基の古墳群で知られる「特別史跡公園西都原古墳群」に至る延長約24kmの「古代歴史街道」と阿波岐原森林公園内の自転車歩行者道とリンクすることによって,より一層の利用拡大を図ろうとしています。
2) 宮崎駅周辺の整備
県では,昭和61年度からJR日豊本線宮崎駅付近の延長約3,400m間の鉄道高架事業を実施しており平成5年度に完成する予定です。
これにより,JR宮崎駅および周辺は,鉄道およびバス路線等陸上交通における宮崎県の拠点として整備が図られます。
また,宮崎市は現在までJR日豊線により市街地が東西に分断されて健全な市街地の発展が阻害されていましたが,宮崎港の整備や一ツ葉地区のリゾート開発など宮崎市東部地区における市街地開発と併せて,当鉄道高架事業の実施により,リゾート宮崎を代表する陸路からの玄関口として市街地の整備が進められることとなっています。

3) 鉄道の高速化整備
県においてはJR日豊本線延岡~宮崎間83.7kmの高速化を図るため,平成3年11月21日自治省の承認を得て路線基盤の強化や駅の構内改良等を行うこととし,JRに事業費の2分の1相当額(12億円程度)を補助しました。
平成4年1月10日に工事を開始し,平成5年度までに,現行最高速度85km/hを110km/hにスピードアップすることとしています。
4) 人工海浜および宮崎港マリーナの整備
県は,宮崎港において,シーガイア計画と,連動する人工海浜および公共マリーナの整備を行い,人々に親しまれるウォーターフロント開発を行うこととしています。
人工海浜については,平成3年度に模型実験および計画策定を行い,平成12年度の完成を目指して事業を進める(平成8年には一部供用開始)予定です。
また,公共マリーナについては,約340隻のクルーザー等が係留可能な規模で,平成8年度までに整備を行う予定です。

5) 宮崎港の整備
県では,昭和48年以降,海上輸送力の増強を図ることを目的として,宮崎港の整備(平成12年度完了見込み)を進めているところであり,既に平成2年度中にフェリーバスターミナルビルや-7.5mの岸壁(6千トンバース)が完成しており,これにより宮崎から大阪間を結ぶ定期フェリーの就航が実現しているところです。
さらに,平成4年度には,-9.0mの岸壁(1万トンバース),平成8年度には-12mの岸壁(5万トンバース)を順次整備し,外航客船の寄港も可能となるような国際港としての整備を図ることとなっています。
6) 宮崎空港の整備
航空需要の増大に伴う航空機の大型化や空港の国際化に対応した空港施設の整備充実,機能向上を図っており,既に57年度から平成2年度までに滑走路を1,900mから2,500mに延長して,大型機(B-747クラス)の就航を可能にし,ターミナルビルの新設,エプロンの増設(7→9)を完了しています。
さらに,平成3年度からは,エプロンの増設(1バース)および貨物ビル等の新設を行う計画です。
7) 宮崎市による公園整備
平成2年度から平成4年度までに,シーガイア計画地に隣接した西側に21.4haの国際海浜エントランスプラザ(多目的広場)を整備中で,森林の緑を活用してスポーツ広場やテニスコート,花壇広場などを中心とした市民とリゾート客が交流できる場となります。
8) 上下水道の整備
シーガイア計画地も含めた一ツ葉地区327haの整備を進めており,平成3年度から平成4年度にかけて,計画地から汚水処理場までの下水道管6,700mを布設(一部TT-A型事業により,フェニックスリゾート㈱が実施)することにより,平成4年11月に供用開始の予定です。
また,上水道については,平成4年度に計画地までの約5,400mの水道管を布設し,給水を行う予定です。

6 最後に
九州縦貫道の全線開通に伴い,長崎オランダ村やスペースワールド等によるリゾートのネットワークを築き,九州を一つにした「リゾートアイランド」として,本格的なリゾートを実現させるのが必要と思います。
その中でも宮崎が目指すものは,「自然と共生するリゾート」として,「フォレストピア(森林理想郷)宮崎構想」や「宮崎ニューシルバー構想」と連携を取りながら,公共基盤の整備等を総合的に進め,「すみよさを実感できる地域づくり」を強く推進することだと思っています。

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