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交通安全の意識改革を目指す
「SAGA BLUE PROJECT」の取組

河原誠

キーワード:事故対策、交差点のカラー化、デザイン

1.はじめに
佐賀県では、交通事故が多く発生している現状を受け、デザインの力を使った交通事故対策に取り組んでいます。その名も「SAGA BLUE  ROJECT」。(以下、サガブループロジェクトと表記)平成 30 年からスタートして、まだこれからの取組ですが、当プロジェクトの現状について報告いたします。

2.佐賀県における交通事故の状況
佐賀県は人口 10 万人あたりの死傷事故件数が全国と比べて多く、都道府県別で平成 24 年から平成 28 年まで 5 年連続で全国ワースト 1 となっていました。

こうした状況を受け、道路管理者(国・県)、交通管理者や交通安全担当部局が一丸となって、交通安全施設の整備や安全指導・取締りの強化といった取組をすすめ、平成 29 年には全国ワースト 1 を脱却しました。しかしながら、依然として事故件数は全国ワーストレベルで推移しており、今後も継続的な対策が求められているところです。

3.取組のきっかけとなった「さがデザイン」
佐賀県は「さがデザイン」という一風変わった 仕組みを政策形成のプロセスに導入しています。これは、行政が実施する場合に画一的なものになりがちなプロモーションやコミュニケーションを伴う事業について、構想段階からデザインの視点を取り入れ、独創性のあるものとしていくための仕組みです。この一環として、佐賀に縁のある全国のクリエイターたちが、知事と県職員の前で ” 勝手に ” 事業提案を行う「勝手にプレゼンフェス」があります。平成 30 年に実施されたプレゼンの場で、佐賀の社会課題である交通事故を減らすための事業としてサガブループロジェクトが提案されたことがきっかけとなり、本取組がスタートしました。

4.サガブループロジェクトの概要
サガブループロジェクトは、佐賀に住む県民の一人ひとりが「交通事故ゼロ」を自らの課題として認識し、車の運転や歩行者としてのふるまいなど、日常生活の中で実際に行動を変えてもらうよう促すことを狙った交通安全意識改革・運動です。そのための取組の両輪として、事故多発交差点における運転者や歩行者への直接的な注意喚起である交差点のカラー化(ハード面の施策)と、テレビCM や県民参加型のイベントといった交通安全の注意喚起・啓発(ソフト面の施策)を実施しています。

(1)交差点のカラー化について
ハード面の施策である交差点のカラー化については、道路管理者である佐賀県の県土整備部が担っており、公益財団法人交通事故総合分析センター(ITARDA)の事故データから 4 年間(H23-H26)で 8 件以上人身事故が発生している交差点(県管理道路)を抽出し、交差点内に青色の四角枠を舗設することで、交差点範囲の明示と、事故が多発している交差点であることをドライバーに対して注意喚起することを目的としています。
また、抽出した交差点の中で、より事故が多い箇所(人身事故 16 件以上 /4 年間)については、青色の四角枠に加え、右左折・直進車線といった交差点レーンについても、ドライバーの誘導を目的としたカラー化を行っています。交差点レーンのカラー化については、国・県の道路管理者で調整をとり、国道・県道問わず統一した塗り方(色の種類や塗る範囲)とすることで、佐賀県内で一貫した大変分かりやすいものとなっていることが特徴です。

前述の基準(人身事故 8 件以上 /4 年間)で抽出された事故多発交差点は県内で 238 箇所あり、令和元年度までに舗設を完了することを目指して、現在取組を進めています。
(平成 31 年 3 月末時点で整備進捗率は 66%)

(2)交通安全の注意喚起・啓発について
ソフト面の施策である交通安全の注意喚起・啓発については、佐賀県における交通安全施策の担当部局である、くらしの安全安心課(交通事故防止特別対策室)が担っており、県内各所での事故防止グッズの配布やテレビ等のメディアを通じた啓発動画の配信など、交通安全の意識醸成を目指したプロモーション施策を展開しています。

また、令和元年 5 月と 10 月に県民参加型の取組として、地元の小学生が実際の交差点に舗設された青色の枠の上に、交通安全の願いを込めてお絵描きを行うイベントを県内 2 か所で実施しました。

佐賀出身のアーティストをお絵描きの指導役として迎え、一心不乱に道路に絵を描く子供たちの姿は微笑ましいものがあり、ここまでイベントを楽しんでもらえると、お絵描きの舞台を準備した裏方の大人としても報われる思いでした。
プロモーション施策の観点からは、当イベントは保護者の SNS 等による自発的な情報発信・拡散効果とテレビ報道等のメディアを通じた PR を行うことで、県民の交通安全意識の向上を狙ったものとなっています。
また、当イベントは、実際に絵を描いた佐賀出身のアーティストと地元の小学生のほか、佐賀大学のボランティアスタッフ、保護者、地元区長はじめ地域の方々、地元メディア、青枠の施工を担当した建設会社、地元警察署、県知事、県職員といった様々な関係者から成り立っており、このように地域を巻き込みながら交通安全の注意喚起・啓発を行っていくという点でユニークな取組になっていると言えるのではないでしょうか。

5.おわりに
まだ始まったばかりのサガブループロジェクトの取組ですが、今後も「交通事故ゼロ」を目指して、様々な人々と連携しながら取組を進めてまいります。
県民の一人ひとりが日々の暮らしの中で注意していかなければ減らない交通事故だからこそ、目に見えない気持ちや願いをかたちにし、人の意識を変え、行動を変える力をもっているデザインが有効と佐賀県では考えています。
本稿でサガブループロジェクトに興味を持っていただいた方はぜひ下記 WEB サイトもご覧ください。

【SAGA BLUE PROJECT 公式サイト】
https://saga-blueproject.jp/

最後になりましたが、本プロジェクトの発案者であり継続してご指導をいただいている株式会社 HAKUHODO DESIGN の永井様、お絵描きイベントの指導役として、子供たちとの素晴らしい共同作品を作りあげてくださったミヤザキケンスケ様、夜間施工でカラー舗装を舗設いただいている建設会社の皆様をはじめ、ともにサガブループロジェクトを推進している関係者の皆様に心から感謝申し上げます。

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