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九州技報 第40号 トピックス

九州における公共工事発注者支援の取り組みについて

九州地方整備局 永溝茂
1 はじめに
 九州地方整備局,九州8県2政令市では,平成17年4月1日に施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(以下「品確法」と言う)に基づき,「公共工事の品質確保に関する九州連絡協議会」(以下「九州連絡協議会」と言う)を平成17年11月25日に設置し,公共工事の品質確保の促進を目的に,施策の検討・推進を行ってきたところである。
 本誌の38号において,法律の背景から九州における取り組み状況を紹介している。
 本稿では,平成18年7月より公共工事の発注関係事務の円滑な処理を図ることを目的とした「公共工事品質確保技術者資格制度」を創設し,「公共工事品質確保技術者資格認定試験」を試行実施したので,この取り組みを中心に,その後の発注者支援概要を紹介する。

2 品確法における発注者支援
 国及び都道府県による発注者支援の措置については,品確法15条の3項において,努めるよう定められている。(表-1参照)

 更に,平成17年8月26日に閣議決定された「公共工事の品質確保の促進に関する施策を総合的に推進するための基本的な方針について」(以下「基本方針」と言う)の第2-6項「発注関係事務の環境整備に関する事項」及び第2-8項「発注関係事務を適切に実施することができる者の活用」では,サポートする環境整備や発注関係事務の支援方法等について定めている。(表-2参照)


3 地方自治体における発注者支援の必要性
 全国の市町村において,4分の1の市町村には,技術系職員(土木技術者・建築技術者)がいない。
 市町村において,品確法に基づく発注関係事務を適切公正に実施する為には,技術者不足の対策が必要である。(表-3に「(社)全国建設業協会」が調査した市町村の技術職員数を示す)
 このような現状から,九州地方整備局と各県・政令市では,公共工事の品質確保促進を目的に「九州連絡協議会」を設置し,公共工事を発注する組織間の連携強化を行い,情報共有や意見交換等を通じて,「品確法15条の3項」,「基本方針第2の6及び第2の8」項に基づく,国・都道府県の支援施策を中心に種々の対策に取組んでいる。
 本稿の「4.九州における発注者支援の取組状況」において,その概要を紹介する。

4 九州における発注者支援の取組状況
① 連絡協議会の設置
 九州地方整備局,九州各県・政令市は,技術管理主管課長をメンバーとして,協力体制強化による公共工事の品質確保促進と発注者支援の検討を行う「公共工事の品質確保に関する九州連絡会議」(以下「九州連絡会議」と言う)を設置し,延5回に渡り,検討を行った。
 平成17年11月25日には,九州地方整備局長を委員長とした,「九州連絡協議会」を設置し,同日から従来あった「九州連絡会議」を「九州連絡協議会」の幹事会として位置付け,協力体制強化の更なる組織改編を行った。(表-4参照)

② 自治体向け講習会及び研修の充実
 公共工事の品質確保に関する自治体向け講習会や説明会を,九州地方整備局と各県,政令市が連携して実施してきており,これまでに全県(301市町村のうち291市町村)で実施済みである。また,九州各県では,市町村に向けた品確法浸透のため,九州連絡協議会の連携組織として,各県部会を昨年度末に設置し,説明会等を随時実施している。
 また,平成18年度より九州地方整備局の研修に品確法に関する2つのコースを新設(指導者,係長)し,自治体職員の受入れを実施している。更に各自治体においても品確法に関する研修実施等により,品確法の浸透に向けた充実が図られているところである。
③ 自治体向け総合評価落札方式の普及支援
 九州地方整備局では,平成18年度から一般競争入札による全ての工事において総合評価落札方式を実施している。また,市町村での総合評価落札方式の普及支援策として,工事規模が比較的小さい工事を対象とした簡易型総合評価落札方式(Bタイプ)を策定し,市町村への普及促進を図っている。
 また,九州連絡協議会のメンバーである7県2政令市においても,総合評価落札方式の本格的導入に向けて現在試行による導入促進を図っている。
④ 自治体向け工事成績評定要領の普及支援
 公共工事の発注者には,品確法等において工事成績の評価義務と標準化への努力が定められている。(表-5参照)
 九州地方整備局では,平成17年9月に自治体向けに策定された工事成績評定要嶺(表?6参照)の試行を九州連絡協議会にて諮り,平成17年度は107市町村(九州全体の約35%)で試行を実施,平成18年度は120市町村(九州全体の約40%)が試行実施中である。
 更なる普及拡大と情報共有化による活用を目的に,各発注者間で工事成績データを共有できるデータベース化構築に向けて検討中である。

⑤ 発注者支援技術者認定制度の創設
 九州連絡協議会では,平成18年7月18日に公共工事の発注関係事務の円滑な処理を図ることを目的として,「公共工事品質確保技術者資格制度」(以下「公品技術者資格制度」と言う)を創設し,平成18年8月20日に第1回「公共工事品質確保技術者資格認定試験」(以下「公品技術者認定試験」と言う)を実施した。
 この資格制度は,発注関係事務の支援ができる者を「公共工事品質確保技術者」(以下「公品技術者」と言う)として「公共工事品質確保技術者資格認定委員会」が認定する任意の制度として実施するものである。
 公品技術者に求められる認定条件としては,工事の積算や総合評価落札方式の技術審査,監督・検査業務において発注者を支援する者として,法令順守,中立や公正さ及び守秘義務などの倫理を保有するとともに,優れた技術的能力が求められる。
 こうした認定条件を満足する技術者に相応しい人格と知識を有する者を認定委員会が認定する制度として発足したものであり,今後,公共工事の発注者支援技術者として,活躍が期待される制度である。
 今年度においては,九州における総合評価落札方式の導入状況を鑑み,九州地方整備局による試行を前提として,受験資格に九州地方整備局(港湾空港関係・営繕関係を除く)が行う公共土木工事の発注関係事務において,現在,「積算補助,技術審査補助,監督(現場,検査)補助業務」のいずれかに従事している者を対象とした第1回目の公品技術者認定試験を実施した。

表-7 第1回公品技術者認定試験結果

資格区分

合格者数(人)

Ⅰ種

59

Ⅱ種

30

一般

517

合計

606

 なお,九州地方整備局では,発注者支援技術者の増強を目的に,平成19年1月20日に第2回目の公品技術者認定試験を実施することとしている。九州地方整備局試行による公品技術者認定試験の「受験手引き,受験・受講申請書等」は,九州地方整備局のホームページで入手できる。
 九州連絡協議会では,平成19年度以降,今後の地方自治体での支援活用を踏まえて,今年度実施した九州地方整備局試行による受験資格の条件の見直し等を検討し,厳格且つ適切な公品技術者の認定試験を実施継続しつつ,公品技術者の増強拡大を図ることとしている。
 表-8~11に公品技術者資格制度の概要について示す。



5 おわりに
 九州地方整備局においては,昨年の品確法施行及び入札談合再発防止対策の趣旨を踏まえ,今年度から2500万円以上のすべての工事を一般競争入札とし,競争契約によるすべての工事において総合評価落札方式を導入している。
 一方で,品確法の趣旨に相反する現象として,著しい低価格で受注する低入札価格調査制度対象工事(いわゆるダンピング受注工事)が昨年度末から急増している。
 いわゆるダンピング受注工事は,工事の品質確保に支障を及ぼしかねないだけでなく,下請け業者へのしわ寄せ,労働条件の悪化など国民の安心・安全の確保や建設業の疲弊化による健全な発展を阻害することが懸念される。
 国土交通省では,今年4月よりダンピング受注対策の強化が図られており,九州地方整備局では,更なる独自対策に取り組んでいるところである。
 社会資本整備の充実を図り,国民の安心・安全の確保を使命として取り組んでいる国や地方自治体を初めとした公共工事の発注者にとって,品確法に基づき,入札制度における総合評価落札方式の導入,適切な工事監督や検査,工事請負業者の評価を実施するサイクルマネジメントが肝要である。
 今後とも,九州連絡協議会を通じて,公共工事の発注者支援を進めて行くこととしており,関係者のご協力・ご支援をお願いします。

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