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九州技報 第40号 事務所だより

九州地方整備局の防災対策等について

九州地方整備局 山口 正二

 

1 はじめに
昨年9月の台風14号や今年7月の梅雨前線における1,000mmを超える記録的大雨、さらに今年9月の台風13号、秋雨前線による集中豪雨など九州各地で大きな災害が発生した。
本稿では、これらの災害概要及び九州地方整備局における防災対策等(一部危機管理含む)について紹介するものである。
 
2 防災課の設置
平成17年度より各地方整備局企画部に新たに防災課が設置された。これは、様々な自然災害や人為的な災害への対応等、平常時から地方整備局の危機管理体制の強化を図るため設置されたもので、九州における主な業務は以下のとおりである。
①防災業務計画
・災害対策基本法の規定による防災業務計画の策定及び計画に基づく災害対応(本部運営等)
・大規模地震対策特別措置法に基づく「東南海・南海地震防災対策推進計画」の策定及び計画に基づく対策の推進
②災害査定
・国土交通省所管に係る公共土木施設(県、市町村管理)の応急復旧等に関する調整及び災害復旧事業費の決定
③事業継続計画(BCP)
・国土交通省安全・安心のためのソフト対策推進大綱に基づく事業継続計画の策定
④国民保護計画
・地方整備局における国民保護計画の策定及び計画に基づく危機管理対応(本部運営等)


3 防災における地方整備局の役割
①災事対策基本法における国の責務
・国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するための措置
・防災に関する計画の策定及び実施
・地方公共団体等との総合調整
・国の機関同士の相互協力
・県、市町村の地域防災計画の作成や実施に対する指導、助言等の措置

図-1 災害対策基本法上の防災組織体制
②整備局の取り組み
九州地方整備局では、所管施設の整備、維持管理、被災した場合の災害復旧の事業案施はもとより、以下を重点的に取り組むこととしている。
・所管事業に係る遭難等に必要な重要情報、被災情報、規制情報等を迅速にわかり易く自治体等関係機関並びに一般市民へ提供
・自治体から被災情報を収集すると共に、適切な応援・支援を実施
・国の出先機関との情報共有を図り、必要に応じ総合的な対応策を検討
・人命等に係る災害発生時には関係する機関と連携し適切な支援を実施
・平常時にはハザードマップ作成支援や関係機関との連携強化、各種防災訓練等を実施
また、災害時には迅速な対応が必要なことから地方自治体、国出先機関、企業、マスコミ、ボランティア団体等と情報共有・提供、支援などに関し、必要に応じ協定や申し合わせ等の締結を行うと共に、光ファイバの接続を進めている。

図-2 九州地方整備局と関係機関との連携


4 最近の災害の概要
①平成17年台風14号
・九州接近時から速度が遅く、九州西岸をゆっくりと北上し平成17年9月6日に長崎県諫早市に上陸。そのため九州山地の東側である宮崎県を中心に短期間に1,000mmを超える大雨をもたらした。

図-3 平成17年9月3日~7日までの期間総雨量(福岡管区気象台資料)
・この大雨により宮崎県の五ヶ瀬川、大淀川を始め直轄5水系河川ではん濫危険水位(計画高水位)を超えた。また、道路の被災により孤立地区が発生するなど、九州全体で死者行方不明者22名、家屋全壊1,164棟、床上・床下浸水約7,700棟となる甚大な被害が発生した。
・公共土木施設の災害箇所数は国、県、市町村を合わせ5,000箇所を超え、宮崎県が約2,900箇所と最も多く被災した。

 

 

 

写真-1 大淀川水系大谷川浸水被害状況(宮崎県)

写真-2 一般国道10号橋台背面洗掘(宮崎市高岡町)

②平成18年梅雨前線豪雨
・活発な梅雨前線が約1ヶ月間にわたり九州付近で活動。7月未には前線が九州南部に停滞し鹿児島県薩摩地方北部に1,000mmを超える大雨をもたらした。

図-4 平成18年7月18日~23日までの期間総雨量(福岡管区気象台資料)
・この大雨により川内川水系川内川、並びに支川羽月川ではん濫危険水位(計画高水位)を超えるなど、甚大な浸水・土砂災害が発生。梅雨前線豪雨による九州全体での被害は、死者7名、家屋全壊262棟、床上・床下浸水約3,900棟を数えた。

写真-3 川内川浸水被害状況(さつま町宮之城)
③秋雨前線と台風13号
H18年9月には、台風13号の接近により秋雨前線が活発化し北部九州で時間100mmを超える極めて強い降雨により佐賀県内で土砂災害が多数発生した。また、台風13号により九州各地で強風による被害が発生。延岡市等では竜巻も発生。秋雨前線と台風による被害は九州全体で死者8名、家屋全壊50棟となった。

写真-4 一般国道202号地すべり(伊万里市南波多府招)
④これら災害への対応
・河川の水位情報や避難に係る重要な情報を関係自治体首長へ提供(ホットライン)
・被災箇所は時期出水を考慮し迅速に応急復旧を完了すると共に本復旧事続きを実施
・地すべり等による通行止箇所は、二次災害防止の観点から必要に応じ専門家の助言を受け早期に迂回路を確保
・自治体に対しては、被災情報の収集及び支援の調整を図るため、リエゾン(情報連絡員)を派遣
・自治体からの応援要請や自ら情報を収集するため、災害対策用機械・機器を自治体の被災現場へ派遣
・災害復旧に際しての技術的指導、助書等を行うと共に災害査定を実施
・ヘリコプターによる被災状況調査を実施し、関係する県へ映像を配信


5 災害時における自治体等への応援・支援
①応援・支援メニュー
被災地における被害拡大防止や早期復旧のためには、被災した自治体等への適時に、適切で効果的な応援・支援の総合的な展開が極めて重要とし応援・支援メニューを公開(平成17年6月28日国道交通省事務次官通知)
表-1 災害時における自治体等への応援・支援メニュー(主なもの)

②近年の災害対策用機械機器の派遣実績
H17,18年度の主な災対用機械の派遣実績は以下のとおりである。 
表-2 災害対策用機械機器の派遣実績

③リエゾン派遣による情報収集
災害時に自治体からの情報収集は難しいことから、主に以下の役目を担う職長をリエゾンとして自治体へ派遣している。
・自治体の災害対策本部に詰め、最新の情報を入手し整備局へ随時報告
・自治体からの応援要請に関する調整
表-3 H17,H18年度リエゾン派遣実績

・リエゾンの派遣は、H17年かち実施しており、情報収集には一定の成果が認められたことから、今後は派遣を定着させるため自治体側への受け入要請、職員への周知を徹底する。
④自治体との光ファイバ接続
・九州地方整備局では平成19年度までに九州各県と防災用光ファイバを接続し、ヘリ映像やCCTⅤ映像など防災に資する大容量データをリアルタイムで提供する。(図-2に接続状況を記載)


6 今後の取り組み
①事業継続計画(BCP)
大規模な災害が発生した場合、重要業務が中断する事態に陥れば災害対策業務の実施は不可能となり、経済・社会活動に重大な影響をもたらしかねない。
事業継続計画(BCP)は不測の事態(危機・災害)などの被害を受けても業務が中断せず、また、中断した場合も可能な限り短い時間で回復させることを目的に、前もって事業リソースの準備を行ったり、災害発生時の対応方法や組織を定めるものである。
国土交通省では、すでに、首都直下型地震を想定した業務継続上の課題の抽出、対応策等の検討に取り組んでおり、今後、九州地方整備局においても業務を継続させるための施設・設備、組織等の検討を進めることとしている。
②国民保護計画の策定
「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(H16)に基づき、平成17年度には県計画が作成され、今年度は市町村計画が作成される。
九州地方整備局においても昨年度作成された「国土交通省国民保護計画」を受け、九州地方整備局の所掌の中で、武力攻撃事態やテロ等に対する生活関連等施設(港湾、空港、ダム)の安全確保、所管施設の復旧などに関し必要な事項を定める予定。
 
7 まとめ
近年発生している局所的な集中豪雨、大規模地震等の自然災害や、テロ等の不測の事態は、今後も時と場所を選ばず発生する可能性は高いと考えられる。
それらの事象に対しては、各種被害を想定した訓練等により課題を注出し、その対応策を検討するなど出来る限り事前の備えを行っておくことが重要と考えられる。
九州地方整備局としては、これまで記述した取り組みを着実に実施すると共に、平常時から関係機関との連携を回り、あらゆる危機に対して適格に対応できるよう努力し、国の組織としての社会的責務を果たして行きたい。
 
被害データ出典:消防庁災害情報
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