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九州技報 第40号 トピックス

大分駅周辺総合整備事業について

大分県 古庄 通隆

 

1 はじめに
 「心かよい 緑あふれる 躍動都市」を将来像に掲げる大分市は,海,山,川と豊かな自然に恵まれ,古くは大友宗麟公により南蛮文化が開花し,東九州の一大拠点として歴史を刻んでいます。
 昭和39年の新産業都市の指定を契機に飛躍的に発展を遂げ,平成9年には中核市に指定され,平成17年1月には佐賀関町,野津原町と合併し,人口およそ47万人の県都として,さらなる飛躍が期待されています。
 しかしながら,鉄道による市街地の分断や環状道路が少ないことによる慢性的な交通渋滞が課題となっており,均衡のある市街地の形成に向け,総合的な都市改造による新たな都心づくりが求められています。
 
2 JR大分駅周辺の現状
 JR大分駅周辺の中心市街地は,鉄道により南北に分断され,都市規模に見合った市街地の形成が阻害されてきました。
 さらに,車社会に伴う道路交通状況の悪化や,駐車場不足などにより将来展望が望めないことから,都市機能の郊外立地が進展し,県都として魅力,活力低下が危惧されています。
 鉄道線路北側は,大規模な商業業務の集積した既成市街地ですが,南側は,商業施設も少なく住宅街にJR関連施設や大規模な空地が点在しており,市街地とトで一体的で均衡ある発展が妨げられてきました。
 
3 大分市の幹線道路綱
 大分市の主要幹線は,県北部,別府方面から市内中心部を経由して県南方面に至る国道10号と,県西部,湯布院方面から市内に至る国道210号が南北軸を形成し,市内から佐賀関,四国方面に至る国道197号と,臨海部の工業地帯を結ぶ臨海産業道路が東西軸を形成しています。(図-2参照)
 しかしながら,これら主要幹線道路は,大分市中心部から放射状に延び,一級河川大分川を渡河しているが,市内中心部の外側を巡る環状路線の整備が遅れていることから,道路の慢性的な渋滞が発生しています。
 こうした中,「大分駅周辺総合整備事業」(図-1参照)として,大分駅付近連続立体交差事業,大分駅南土地区画整理事業,庄の原佐野線をはじめとする関連街路事業により,県都大分の「都心づくり」,「顔づくり」を目指しているところです。(写真-1参照)

 写真-1 駅周辺の現況と完成イメージパース 
 

 図-1 大分駅周辺総合整備事業概念図 

 図-2 大分県幹線道路網図


4 「大分駅周辺総合整備事業」の概要
(1)大分駅付近連続立体交差事業
1-1 事業概要
 大分駅付近連続立体交差事業は,道路と鉄道を立体交差化することにより,13箇所の踏切を一挙に除去し,南北市街地間の交通の円滑化を図るとともに,踏切事故の危険性を解消し,市街地の一体化による都市の活性化を目指しています。
・事業主体 大分県
・高架区間 日豊本線 3.65km
  久大本線 1.92km
  豊肥本線 1.60km
・除去踏切 日豊本線    10箇所(内歩道2箇所)
  久大本線      3箇所(内歩道1箇所)
・大分駅部 ホーム面数      4面
  路線数      8線
  ホーム長 133m~325m
・運転所の移設 大分電車区南側に併設
  通路線の新設
・総事業費 約605億円(予定)
・事業期間 平成8年度~25年度(予定)(写真-2参照)

写真-2 高架完成イメージ
1-2 跨線橋撤去時の交通処理計画策定について
 大分駅付近連続立体交差事業に伴い,既に単独立体化されている国道10号の万寿跨線橋,国道210号の田室跨線橋,及び市道王子町椎迫線の王子跨線橋を撤去します。
 国道10号の万寿跨線橋については,仮線・仮橋を設置し平成18年2月4日20時から5日6時の一晩で逆立体交差化工事を実施しました。(写真-3,4参照)

 写真-3 施工前(JRは地平,国道は仮橋) 
 

 写真-4 施工後(JRは仮線,国道は平面)
 
 この工事の施工状況は大分県大分駅周辺総合整備事務所のホームページにて動画で見ることが出来ます。(HP参照:http://www.pref.oita.jp/17503/
 今後,交通量の多い国道210号の田室跨線橋撤去工事中の交通規制や撤去後の仮踏切設置などによって,一般交通に影響を及ぼすことが想定されます。
 このため,行政並びに民間の関係機関で構成する『大分駅付近連続立体交差事業交通円滑化検討部会』を設置し,各々の意見や提案等を集約することにより,効果的な交通処理対策の実施を検討することとしました。(写真-5参照)
 部会では,交通処理計画の問題点・課題を抽出し,問題のある交差点の改良等ハード対策の検討を行うとともに,ソフト対策の実現性を探るため,大分市中心市街地(主にJR日豊本線より北側)に立地する従業員50名以上の事業所の従業者を対象に調査を実施しました。
 アンケート調査によると始業時間は,朝8時から9時の間に7割以上が集中しており,交通混雑の一因になっていると考えられます。
 こうしたことから,ピーク時間帯の交通の分散を図り,渋滞を緩和するために,地元新聞やJR・バス等の車内ポスターによりPRを行い,時差出勤やフレックスタイムの導入を呼びかけているところです。(写真-6参照)

 

 

 

 

 

 

 

写真-5 『第1回連立交通円滑化検討部会』

 

写真-6 スイスイ環境通勤PRポスター

(2)庄の原佐野線等関連街路事業
  (都)庄の原佐野線は,市西部の九州横断自動車道・大分インターチェンジから大分駅南側を経由して市東部に至る重要な幹線です。
 このうち,大分インターチェンジから(都)下郡中判田線に至る6kmの区間は,地域高規格道路大分中央幹線道路として位置づけられています。
 さらに,国道210号から国道10号までの区間は,大分駅付近連続立体交差事業高架工事の跨線橋撤去時の迂回路としても活用するため,事業実施しているところです(図-3参照)。
 (都)庄の原佐野線街路事業概要
 ・事業主体  大分県  
 ・事業延長  L=2,214m  
   大道工区  L=731m
   区画整理区域  L=319m
   金池工区  L=484m
   上野工区  L=680m
 ・幅員  W=54m  
 ・総事業費  約365億円 
 ・事業期間  平成6年度~20年度 
 
その他関連街路事業
・事業主体 大分市
・事業箇所 県庁前古国府線
  田室町春日線
  金地桜ヶ丘線
  東大道南春日線
  六坊新中島線
  大道金池線
  末広東大道線  ほか

図-3 田室跨線橋撤去時の主な迂回路
(3) 大分駅南土地区画整理事業
 JR大分駅南地区は,昭和21年からの戦災復興土地区画整理事業により戦後の急激な都市への人口集中に対応した住宅供給や拠点市街地の基盤整備を実施してきましたが,経済情勢や産業構造の変化に伴い中心市街地の空洞化,低未利用地の発生など,さまざまな問題を抱えています。
 大分駅南土地区画整理事業は,大分駅付近連続立体交差事業に伴う道路網の再編を行うことにより,南北市街地の一体化を図ることや,駅前広場やシンボルロード等の公共施設の整備と併せて駅周辺街区の有効高度利用を図り,市街地中心部に残された唯一の大規模空地である国鉄精算事業団用地や鉄道の高架化に伴うJR操車場跡地を活用することにより,良好な市街地環境をあわせ持つ中心市街地にふさわしい地区を創出することが期待されています。(図-4参照)
・事業主体 大分市
・施工面積 49.6ha
・公共用地率 施工前 16.48%
  施工後 41.39%
・整備内容 シンボルロード整備,区画道路,
  駅前広場,公園,下水道等の整備
・総事業費 約690億円(予定)
・事業期間 平成8年度~26年度(予定)

図-4 新しい街並みイメージ
 
5 おわりに
 「大分駅周辺総合整備事業」は,市町村合併後の新大分市が県都として相応しい活力と魅力にあふれる都市に発展する上で不可欠な事業です。
 今後とも,47万大分市民に夢と希望を与え,胸を張って誇れるような県都の形成に向け,全力を挙げて取り組んでまいります。
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