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インフラメンテナンス国民会議九州フォーラムの設立


日 野 伸 一


キーワード:インフラメンテナンス国民会議、九州フォーラム、キックオフ

1.はじめに
高度経済成長期に集中的に整備されたわが国のインフラが今後急速に老朽化することに対する懸念は以前からあったが、平成24 年に中央自動車道笹子トンネルで起こった天井板落下事故を契機として大きく情勢が動き出した。平成25 年に政府によるインフラ長寿命化基本計画が策定され、平成27 年6 月に閣議決定された日本再興戦略改訂2015 において、今後、戦略的にインフラメンテナンスに取組むためにインフラメンテナンス国民会議(仮称)の設立が明記された。そして、少子高齢化で厳しい財政情勢の中、維持管理に係る予算の確保、地方自治体の技術者不足、メンテナンス産業や地域の担い手確保など、きわめて重要な社会的問題として産官学民が一丸として取組み、インフラメンテナンスの理念普及、課題解決およびイノベーションの推進を図るプラットフォームとして、平成28 年11 月にインフラメンテナンス国民会議(冨山和彦会長)が政府主導の下で設立された1)


2.九州フォーラムの設立
インフラメンテナンス国民会議の設立時の目的として、①革新的技術の発掘と社会実装、②企業等の連携の促進、③地方自治体への支援、④インフラメンテナンスの理念の普及、⑤インフラメンテナンスへの市民参画の推進、の5 項目が掲げられた。その活動を全国的に普及推進するため、各地域において地方フォーラムが設立された。
九州フォーラムは、近畿、四国に次いで3 番目の地方フォーラムとして、平成30 年1 月17日に設置準備会を開催し、事実上の九州フォーラムが設立された。現在の地方フォーラムは全国10 団体が発足している。写真- 1 に設立準備会の模様を示す。準備会開催の直前、平成29 年12 月1 日現在における九州在住の会員数は、地方自治体16 機関、民間企業20 社、団体5 団体、個人4 名の合計45 者であった。


九州フォーラムの設立にあたり、インフラメンテナンス国民会議が掲げた上記5 項目の目的達成を視野に、産官学民の連携を軸に、九州の地域性を重視したインフラメンテナンスに関する自治体支援や新技術開発ならびにその社会実装に向けた情報交換、ベストプラクティスの水平展開、取組みのマッチングによる課題解決策の構築などについて活動を展開していくことを決定した。また、九州フォーラムの活動に熱意とボランティア精神をもった会員を募り、リーダーおよび事務局を兼ねる企画委員を選出した。その結果、筆者がリーダーに、また個人2 名、団体3 団体および企業6 社が企画委員に選出された。九州フォーラムの運営組織構成を図- 1 に示す2)。フォーラムとしての活動を活発に推進するため、企画運営会議の中に、自治体支援、技術マッチング、広報、イベントおよび連絡調整の各ユニットを設けて業務を分担する体制を構築するとともに、国土交通省九州地方整備局と緊密に連携しながら運営していくこととした。現在の企画運営会議のメンバーは、学識経験者のメンターも含め、約30 名、22 機関で構成されている。また、平成30 年9 月26日現在における九州フォーラムに所属する地方自治体会員は、九州の全県庁を含む81 自治体となっている。



3.キックオフミーティング
九州フォーラムとしての対外的な活動の第一弾として、平成30 年7 月30 日に福岡市内にて、キックフォーラムが開催された。そのテーマは、「九州におけるインフラメンテナンスの現状と課題」である。図- 2 にキックオフフォーラムのポスターを示す。


当日の参加者数は253 名で、事前申し込みの段階で早々に会場収容定員を上回ったために、途中で参加受付を締め切るほどの盛況であった(写真- 2)


このことからも、社会的なインフラメンテナンスについての関心の深さがうかがわれるものであった。参加者の内訳として、所属別では国および地方自治体からの参加者が全体の約1/4 にあたる62 名、また県別では福岡県内が35% で、残りの65% が福岡県以外の残りの九州6 県に分布し、他の講演・講習会やシンポジウムではみられない九州全域からの参加状況であった。
フォーラムでは、第1 部として、国土交通省総合政策局の吉田邦信事業総括調整官(写真- 3)に「インフラを取り巻く状況とインフラメンテナンス革命」、長崎市中央総合事務所の森尾宜紀理事(写真- 4)に「長崎市におけるインフラメンテナンスの取り組みについて」と題して、それぞれ基調講演をして戴いたのち、第2 部として、各界から6 名のパネリストをお招きして「九州フォーラムへの期待」と題して、パネルディスカッションが行われた。パネルディスカッションの様子を写真- 5 に示す。




会場内では、活発な討議が行われ、地方自治体の厳しい現状報告とともに、「先進的な自治体の取り組みをマッチングさせ水平展開する場となるのが九州フォーラムの役割である」、「行政が過去の実績にとらわれず、民間の新しいイノベーションを活用していくことが必要だ」、「産官学民の一体感をもって、九州から新しい風を吹かしてほしい」などの、数多くの有用な意見、提言がなされた。
また、フォーラム開催に合わせ、参加者から九州フォーラムに対する期待、要望などの声や、地方自治体からは抱えるニーズ、民間企業からは自社の有するインフラメンテナンス技術シーズについてのアンケート調査を実施し、その分析を基に今後の九州フォーラムの活動に生かして行きたいと考えている。


4.今後の活動予定と課題
九州フォーラムの今年度内の活動としては、平成31 年1 月24 日に福岡市内にて、第1 回ピッチイベントの開催を予定している。テーマは「ニーズの深掘り、シーズの種まき」である。図- 3 に、そのピッチイベントのポスターを示す。


九州内の各地方自治体に対して、先に行ったアンケート結果を踏まえ、第1 部で、九州フォーラムの今後の取り組みと3 自治体からのニーズの紹介とそれに対応した民間企業からのシーズの紹介を、それに続く第2 部では、第1 部を受けての4 テーマ、すなわち①橋梁点検の効率化技術、②道路管理の効率化技術、③橋梁補修の品質向上を図る材料、④インフラ管理に関する課題の具体化・共有化、に分かれてのグループ討議を行う。それぞれのテーマに関する学識経験者をメンターとして配置し、参加者が4 グループに分かれて活発なグループ討議を行い、マッチング成立を目指したいと考えている。
来年度以降も、九州フォーラムの活動として、インフラメンテナンスに関わる地方自治体支援や、オープンイノベーションによるメンテナンス技術の発掘、マッチングによる課題解決などに積極的に取り組んでいく予定である。
特に、インフラメンテナンス国民会議への地方自治体の加入状況が現在30% 程度であるが、更なる会員拡大に向け勧誘活動を進めていく必要がある。そのためにも、九州での活動が福岡市に偏ることなく、九州各県でのイベント実施および拠点形成に努め、各地域での一般市民の参加も得た草の根運動的な普及拡大を図る必要があると考えている。そのためのキーマンは、各県庁、国の道路・河川・港湾などの各事務所および地域の大学・高専の学識経験者であり、彼らに参加協力を求めていきたい。
次に、現在、国内で10 団体の地方フォーラムが組織され活動を展開しているが、各地方フォーラム間の連携がきわめて重要であると考える。平成30 年12 月6 日に、インフラメンテナンス国民会議の総会に合わせ、初めての地方フォーラム交流会が開催された。各地方フォーラムの活動状況と抱える課題について意見交換が行われた。いずれの地方フォーラムも同様に、講演会や自治体ニーズ・民間シーズの収集、マッチングイベント、現場実証試験などの取り組みを展開している。これらの情報の横展開は、現状は国民会議メルマガを通じてのみ行われているが、今後は、より連携を強化しての情報共有や活動の展開が望まれる。さらに、インフラメンテナンスへの市民参画の具体的な進め方、そして、現在、活動経費やマンパワーをボランティアに依存している地方フォーラムの運営体制について、今後、永続的に自立可能なものとして定着させることがきわめて重要な課題であると考える。


5.おわりに
少子高齢化時代を迎え、国および地方自治体の財政状態もますます厳しさを増す中、国民一人一人の理解を得て、産官学民の連携によるインフラメンテナンスに取り組むという国民会議の精神がきわめて適切かつ重要であるということは誰もが認めるところである。九州は、これまで歴史的にも産官学の連携による学協会活動や市民活動が活発に展開してきたという風土がある。是非とも、九州の産官学民の連携をより一層、強化し、インフラメンテナンスを通じて安全・安心で、豊かな未来を子孫に残せるよう、各位のご理解、ご協力を切望するものである。
最後に、インフラメンテナンス国民会議九州フォーラムの活動に参加、協力を戴いた、企画委員の各機関および会員の方々、そして公益事業の一環として助成金をご提供戴いた、(一社)九州地域づくり協会および(一社)九州建設技術管理協会に対し、深甚ある謝意を表する次第である。


参考文献
1)インフラメンテナンス国民会議ホームページ:http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/im/、2018
2)インフラメンテナンス国民会議九州フォーラムホームページ:http://www.imkyushu.jp/index.html、2018


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