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国道3号 博多バイパス工事現場における

ICT舗装工の取組について


児 玉 祐 一


キーワード:国道3 号博多バイパス、ICT 舗装、出来形管理

1.はじめに
国道3 号 博多バイパス(福岡市東区下原~東区二又瀬)は、福岡空港や博多港等へのアクセス性改善による物流の生産性向上を図るとともに、福岡市東部地域における(現)国道3 号の交通混雑の緩和および生活道路の安全性確保等を目的とした、延長7.7㎞、幅員30 ~ 32m の6 車線(標準部)の幹線道路である【図- 1 参照】。



本事業は、昭和43(1968)年度に事業着手して以降、バイパス終点の福岡市東区二又瀬(新二又瀬橋交差点)側より、長い歳月をかけ部分供用を繰り返し、最後に残った延長3.3㎞の未開通区間(福岡市東区下原~東区松崎)について、事業化からちょうど50 年後の平成30(2018)年3月17 日に全線開通したところである【写真- 1参照】。



本稿では、開通目標年度の平成29 年度に、ICT施工(トータルステーション(TS)マシンコントロール・マシンコントロール(MC)グレーダ)の導入、かつ九州地方整備局管内でも施工事例の無い地上レーザースキャナ(LS)による出来形管理を実施した舗装工事において、具体的な実施内容、施工上の効果や精度・品質の結果について報告する。


2.工事概要(ICT舗装工の実施内容)
今回、ICT 施工を導入した舗装工事は下記のとおり。
(工事概要)
 ①工事名 :福岡3 号香椎地区舗装工事
 ②発注者 :国土交通省 九州地方整備局福岡国道事務所
 ③施工者 :㈱ガイアート
 ④施工場所:福岡市東区香椎2 丁目地先(施工延長 520m)
 ⑤工期  :平成29 年4 月3 日~平成30 年3 月19 日
 ⑥工事内容:道路土工、路床安定処理工、As 排水性舗装、透水性舗装、薄層カラー舗装、排水構造物工、縁石工、防護柵工など

2.1 ICT舗装(TSマシンコントロール・MCグレーダ)
(1)施工方法
MC グレーダに様々なセンサーを取り付け、位置情報を与えたTS と同期させ、専用モニタに設計データを読み込ませることにより、施工面までのガイダンスを行う【写真- 2 参照】。



(2)従来工法との比較
ICT(TS マシンコントロール・MC グレーダ)を用いることにより、丁張り設置作業が削減され、自動制御施工により高さ確認も不要となり、作業時間が大幅に短縮した【図- 2 参照】。



また、MC グレーダが同じ箇所を繰り返し走行することが無くなり、路盤材の分離も減り、均一な仕上がりとなった。安全面でも、重機周辺に検測作業員が近づくことが無くなり向上した。当現場は民家が近接【写真- 3 参照】していることから、重機使用時間に制約(毎日17 時迄)がある中、作業効率の向上により、時間内に余裕をもって作業を終えることが出来た。くわえて、設計高との差を数値によりリアルタイムで確認することができ、施工精度の向上にも繋がり、コスト面においても、作業工程の短縮により人件費の削減に繋がった。



2.2 地上レーザースキャナ出来形測定
(1)測定方法および3 次元データ作成
測定方法および3 次元データ作成までのフローを行うにあたり、以下の手順で出来形測定を行った【写真- 4 参照】。



①座標系にするため基準点を確認する。
②測定範囲を確認し、測量機と基準球の設置箇所の計画。
③計画した位置に測量機と基準球を設置しキャリブレーションを掛ける。
④50m 置きにスキャンを繰り返し行い、測定範囲全体を測定する。
⑤点群処理ソフトのサイトスコープにて不要な点群データ、計測不足がないかデータの解析を行う【図- 3 参照】。
⑥成果毎に図面を作成し、出来形管理表(ヒートマップ)を作成する【表- 1 参照】。





(2)出来形帳票分布図
3 次元設計データから管理を行うべき各層を抽出する。各層毎に3 次元設計データと出来形評価用データの離れの計算結果を、出来形評価用データのポイント毎に分布図として表示する。分布図が具備する必要がある情報は、以下のとおり。
①評価範囲全体が含まれる平面図(舗装の各層毎に別葉とする。)
②離れの計算結果の規格値に対する割合を明示。
③出来形評価用データのポイント毎に結果を示す色をプロットし、色の凡例を明示。
④規格値の50% 以内に収まっている計測点の個数、規格値の80% 以内に収まっている計測点の個数について、図中の任意箇所に明示することが望ましい。
⑤規格値が正負のいずれしか設定されていない工種についても、正負を逆転した側に規格値が存在するものとして表示することが望ましい。
⑥対象現場の延長が数㎞あるなど、出来形の分布が判りづらくなる場合は、分布図を分割して拡大する。

出来形管理基準上の管理項目から出来形の良否を評価する情報として、以下の項目を表型式で整理し、良否評価結果について、規格値を外れている場合は「異常値あり」等の明示を行う。
①平均値:(算出結果と規格値(当該部位の平均値の個々の計算値に対する規格値)および良否評価結果)棄却点を除く平均値
②最大値:(算出結果と規格値(当該部位の個々の計算値に対する規格値)および良否評価結果)棄却点を除く最大値
③最小値:(算出結果と規格値(当該部位の個々の計算値に対する規格値)および良否評価結果)棄却点を除く最小値
④データ数:(算出結果と規格値(計測密度下限値と評価面積から計算)および良否評価結果)棄却点を除く
⑤棄却点数:(規格値を外れたデータ数と規格値(データ数の0.3% 以内)及び良否評価結果)全棄却点数


(3)ICT出来形管理にあたっての留意点
標高較差で出来形管理を行う場合、目標高さが設計図を元に作成した各層の高さが異なる場合、施工前に3 次元設計に対する高さからのオフセットにより目標高さを設定する。
「オフセット高さ」とは、設計図書を元に作成した3 次元形状に対して、出来形管理基準および規格値の範囲内での施工誤差を考慮した場合の各層における施工前に作成した3 次元設計面に対する高さとの差のことであり、「目標高さ」とは、直下層の目標高さに直下層に出来形を踏まえて、設計厚さ以上の高さを加えて定めた計測対象面の高さのことである【図- 4 参照】。
オフセット高さの設定の際は、LS でのデータ採取は迅速に行えるが、点群データの解析に4日程度要し、工程的な余裕が必要である。



(4)従来工法との比較
従来は決められた測点しか計測せず、計測以外の出来形情報は不明であり、計測も測点毎に計測者が直接行かなくてはならない。これに対し、地上レーザースキャナ出来形測定は、測量器を50m 毎に設置し、路盤・舗装面の3 次元データを作成することにより、幅員・高さの管理が一括で出来る。
また、データ採取も、本現場では総面積10,000㎡もの範囲を40 分程度で終えるもので測定も速い。また、出来形管理以外では、今回、路床盛土工における土量算出時【写真- 5 参照】に、地上レーザースキャナを用いたが、現況高と設計のデータを照らし合わせることで、切盛土量など容易に算出が可能であることがわかった【図- 5 参照】。





3.結果・考察
今回、ICT の導入により、施工性・品質・安全性の点で十分な効果を発揮することができた。今後、ばらつきの減少が高耐久性に結びつくかどうか等の検証も必要になってくると考えられるが、品質向上に伴い耐久性向上も十分に期待できると考えられる。
また、平坦性については従来通りの計測が必要ではあるが、供用後、長期にわたり面管理データを活用することにより、将来的には維持管理の分野でも大いに活躍できる可能性を感じられた。コスト面や、舗装修繕工事などにおける起工測量や出来形測定に係る現道上での作業時間確保の困難性といった課題はあるものの、長期的に路面形状の変化を面管理データとして継続的に取得することにより、土工部の沈下や局部的な変位まで確認することができるため、将来的には、定期的な診断や予防保全等への活用に期待されるものと考えられる。


4.おわりに
今後の建設現場における更なる生産性向上を目指し、ICT 施工の更なる普及推進を図っていくことが重要であると感じられた。
最後に、施工期間中に「ICT 舗装工」現場見学会を開催【写真- 6 参照】し、近隣自治体や同業者等へ、i-Construction の最先端技術についてPRいただくとともに、今回の執筆にあたりご協力いただいた㈱ガイアートの工事関係者の皆様に感謝の意を表す。
また、厳しい工事工程のもと、長年の念願であった「国道3 号 博多バイパス 平成29 年度開通(H30.3.17)」を見事達成していただいた、㈱ガイアートをはじめとする全ての施工業者・設計コンサルタント・福岡国道事務所等の関係する皆様へこの場を借りてお礼申し上げる。



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