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現道工事でのICT施工活用について


尾 花 加津雄


キーワード:ICT 施工、現道工事、舗装

1.はじめに
i-Construction のトップランナー施策「ICT の全面的な建設現場への活用」は土工にとどまらず、平成29 年度より舗装工に関しても取り組みが始まっている。さらに今後は橋梁、トンネル、ダムや維持管理等の工事にも展開予定である。
今回、舗装修繕工事において請負業者より試験的にICT 施工機械を活用し施工を行いたいとの申し出があったため、施工箇所の一部でICT 施工機械を活用した施工を行った。
路面切削、合材敷均しについてはICT 施工機械の普及がまだ進んでいないため、主にICT 施工機械の紹介、施工に関して利点・欠点などの報告を行う。


2.工事概要および施工機械
工事は、宮崎県門川町尾末(3,800㎡)、宮崎県門川町加草(1,000 ㎡)及び宮崎県日向市幸脇(1,300㎡)の一般国道10 号の舗装修繕工事で、そのうち門川町尾末地区の3,800㎡のうち約2,000㎡について、3 日間でICT 施工機械を活用した施工を行った。
施工については、図- 1 の施工フローに従い施工を行った。
また、地元の高校生や自治体を対象に現場見学会を行うため夜間工事での施工条件だったが、交通管理者と調整を行い1 日間は昼間施工とし現場見学会を行った。
施工状況については、通常の施工方法と変わらないため省略させていただき、以下今回使用した施工機械について簡単に紹介する。



①地上形レーザースキャナー(写真-1)
レーザーを照射し、対象物の位置(X、Y、Z)情報を取得する。
安全に離れた位置から非接触、ノンプリズムで大量の点群データを取得でき、解析処理により3次元化(実体視)できる。
3 次元設計データ作成ソフトによる3 次元設計の作成、計画縦横断図を元に起工測量で得た3次元データからマシンコントロール用設計データの作成を行った。



②MC切削機(写真-2)
レーザースキャナーでの起工測量時に得られた、3 次元設計を基に機械用の設計データを作成しコントロールボックスに転送し、施工時は自動追尾機能を備えたトータルステーション(以下TS)を設置し、機械の位置情報、設計データを照合し切削ドラムを自動制御し切削を行う。
オペレータはモニターで勾配、受信状態等の確認を行う。



③MCフィニッシャー(写真-3)
レーザースキャナーでの起工測量時得られた3次元データを基に機械用の設計データを作成しコントロールボックスに転送し、施工時はTS を設置し自動追尾機能により機械の位置情報、設計データを照合しスクリードの高さを自動制御し敷均しを行う。



④GNSSタイヤローラ(写真-4)
タイヤローラにGNSS受信機を装着し、基準点とGNSS を使用し測量座標系ファイルと締固めエリアを作成し専用パソコンにインストールしておき施工時、オペレータは転圧回数が転圧ごとに色が変わるパソコンモニターで軌跡と転圧回数を確認しながら転圧を行う。




⑤サイトポジショニングシステム(写真-5)
予め設計データをコントローラに読み込んでおき、360°プリズムを取り付けた三脚を、プリズムを自動追尾できるTS が自動視準しコントローラに測定結果を送信し、設計データとの比較が任意の位置で出来る。TS が自動追尾のため、三脚を動かす人がコントローラを携帯すれば、1 人での測量も可能である。



3.施工に関して利点・欠点
以下は、今回工事で行ったICT 施工に関してのことであり、他工事では施工規模・条件等の違いから、違った評価がある。

①地上形レーザースキャナー
従来の施工をレベルによる測量と考えた場合には、測量速度が約半分、測量作業人数が3 名から2 名へ減、路面へのマーキング作業が2 名より0 名となり人員面での効率が図られた。
また、測量作業において作業員が車道に出ることなく、歩道上に据えた地上形レーザースキャナーで作業が可能なので、安全面に関しては格段の向上が図られた。
しかし、現道工事においては切削、舗装までを交通規制の時間内に行い交通解放を行うため、切削後の出来形確認に使用した場合には、測量は短時間で行うことが出来るが、解析に時間を要するために測量結果をすぐ確認することが困難となるため、切削後連続して舗装をする場合には他の方法での切削厚さ確認が必要となった。
今回は、サイトポジショニングシステムにより出来形(切削高さ)を確認しながら切削作業を行った。

②MC切削機
従来法では、オペレータが前もって、計画にあわせて路面に書かれた数値をみて、切削ドラムを調整しながら切削機を動かしていくため、オペレータの技量により出来上がりが左右されるが、MC 切削機ではデータ入力等のミスがなければ、切削ドラムの高さと傾きを3D 制御し設計通りの仕上がりが期待出来る。

③MCフィニッシャー
従来工法は、サイドセンサーを取付けスクリードの高さ調整を自動で行うが、取付け位置はスクリードの3m 程度前に取付けられているため、その箇所の高さで制御を行っているため、MC フィニッシャーの方が精度は勝る。
②③においては、いずれも自動制御のため正確な機械位置の把握が必要であるため、MC 切削機用とMC フィニッシャー用の自動追尾型TS を歩道に設置して施工を行ったが、標識や照明等の支柱など環境条件によっては、TS の設置場所の検討が必要となる。

④GNSSタイヤローラ
オペレータが、締固め位置及び転圧回数をリアルタイムでモニターを確認しながら施工ができ、転圧の過不足を防止し、品質の向上やオペレータの負担軽減になる。

⑤サイトポジショニングシステム
現場で設計図書やデータを持込むことなく、任意の場所で、自動測量が出でき設計値との比較や記録ができ便利であった。
ICT 活用土工工事の検査時に、出来形確認にも使用され、新技術情報提供システム(NETIS)においても、活用促進技術として掲載されている。
施工業者に、リース料の内訳を確認したところ機械自体は、改良などが施されているため若干高めだが、付随する機材のモニター、自動追尾式TS や設計データ作成費が高値であった。


4.測量精度について
今回の施工では、出来形管理として通常行うレベルでの測量も行った。29 横断面299 点のレベル、レーザースキャナーでの測量高の比較を行ってみた結果、下記のような結果が得られた。

・切削後のレベル、レーザースキャナー測量での差は、最大で13㎜、全点平均で0㎜となった。
・舗装後のレベル、レーザースキャナー測量での差は、最大で19㎜、全点平均で3.2㎜となった。

最大で19㎜と大きなずれが出ているが、10㎜以上の差が出ているのは5 点のみであった。大部分の測定値の差は、0㎜~ 5㎜以下程度におさまっていた。


5.おわりに
本施工を終え、品質・出来形等は問題無かったと思えるが、規模の小さい工事においては、リース料の高さ、起工測量後に作成する3 次元データ、設計の作成にコストや時間がかかるため活用が難しいのではないかと感じた。
建設労働者の減少が続き、熟練者も減少していくなかで、品質のいいものを作っていくためには、経験等に左右されず誰が施工しても同じような品質で、公共物を作っていく必要がある。
今後は、益々ICT を活用した施工を増やさざるを得ない状況となるため、適用工種の拡大・普及、適用工事件数を拡大し、大幅なコストダウンを図り、大規模な工事だけでなく小規模な工事にも活用出来るようにしていくことが重要である。
また、施工を担当しICT 施工を積極的に活用し、現場見学の準備・段取りを行った旭建設株式会社に対し、この場を借りて心から感謝申し上げる。



延岡工業高校の40 名を含め延岡河川国道事務所、延岡土木事務所、日向市役所、門川町役場等から約80 名の参加がありました。


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