有明海沿岸道路の工事現場におけるICT土工の取り組みについて


藤 川 真 一


キーワード:有明海沿岸道路、i-Construction、ICT 土工

1.はじめに
有明海沿岸道路は、有明海沿岸地域の「陸海空の広域交通ネットワーク」を形成する自動車専用道路である。
大牟田IC ~高田IC 間の最初の開通にはじまり、平成29 年9 月16 日には徳益IC ~柳川西IC 間の4.5㎞が開通したことにより、大牟田市、みやま市、柳川市、大川市の4 市が自動車専用道路で直結(三池港IC ~諸富IC(仮称)までのうち、約8 割となるあたる約23.8㎞が暫定2 車線でつながる)し、現在、佐賀県への延伸に向けて、筑後川橋(仮称)や早津江川橋(仮称)の上部工架設に着手するなど、鋭意、工事を進めている。


本稿では、有明海沿岸道路において、平成28年度にi-Construction の試行工事として取り組んだICT 土工工事の実施内容と課題について報告する。


2.有明海沿岸道路のICT土工の実施状況
有明海沿岸道路では表- 1 に示す4 件の工事でICT 土工を活用した。



3.代表的な事例の紹介
柳川東IC の主にOFF ランプ部で取り組んだICT 土工について報告する。

3.1 工事概要
 工事名:福岡208 号矢加部地区改良工事
 受注者:( 株) 中村組
 工期:平成28 年8 月18 日~平成29 年2 月28 日
 工事内容:路体盛土約2,700m3 補強土壁、防護柵基礎等





3.2 ICT土工の流れ
矢加部地区改良工事では、LS(レーザースキャナー)、MG(マシンガイダンス)、MC(マシンコントロール)を使用した。

(1)測量機器(LS) のキャリブレーションと精度確認
TS(トータルステーション)とLS による同測点の計測を行い、座標値の差により検証点の精度確認を行った。

(2)3 次元起工測量
【LS(レーザースキャナ)による観測】
今回の施工延長は約160m であり、構造物等の影になるような場所が少なかった為、起点・中間点・終点の3 箇所の観測により、データ採取が出来た。TS(トータルステーション)とLS による同測点の計測を行い、座標値の差により検証点の精度確認を行った。
【観測日数】
0.5 日間(目安:1 日約20 観測点の計測が可能)

(3)点群処理(データ解析・編集)
観測箇所ごとの起工測量データを一つに統合(解析)し、採取した点データから不要データ(写った資機材等)の削除、データ数の最適化(編集)を行い、3 次元化を行った。
【点群処理日数】
2 日間(解析1 日+編集1 日)
(目安:解析は1 日20 ~ 30 観測点、編集は1工事2 日~ 1 週間)



(4)3 次元設計データの作成
設計図書(平面図、縦断図、横断図等)及び路線線形計算書等を基に3 次元設計データを作成した。
【今回の3 次元設計データの作成方法】
平面図、縦断図、横断図をもとに3 次元設計データを作成し、すり付け部等については計画平面図から座標の算出、標高データの添付を行うことで工事箇所全体の3 次元設計データを作成した。
【設計データ作成日数】
3 日間(目安:1 工事1 ~ 2 週間)



(5)MG(油圧ショベル)による施工
【掘削作業】
バックホウの始業前点検時に、GNSS(観測衛星)の精度確認を行い、掘削作業を実施した。
【確認方法】
基準点にバックホウのバケット先を近づけ、バケットの座標値及び標高を重機搭載モニターにて確認した。
丁張設置作業を行わずに、入力された掘削深度データをもとに、MG にて施工を行った。



(6)MC(ブルドーザー)による施工
【盛土(敷均し)】
ブルドーザーの始業前点検時に、GNSS(観測衛星)の精度確認を行い、敷均し作業を実施した。
【確認方法】
基準点にブルドーザーの排土板を近づけ、排土板の座標値及び標高を重機搭載モニタにて確認した。盛土完成時の高さから各層の高さを逆算し、各層の仕上がり高さをデータ入力し、MC にて施工を行った。



(7)TS・GNSSによる締固め(タイヤローラー)
【締固め(転圧)】



(8)出来形管理
掘削と盛土①と盛土②にて3 回、LS による出来形測量を行った。今回は、盛土①部を仮設道路として使用する為に、先行して、出来形管理を実施した。





(9)出来形確認検査
GNSS 測量管理システムを用いることにより、任意点での計測が可能となり、従来での確認方法であった巻尺・レベル等を使用せず、モニターにて高さ・位置等の確認が出来、検査時間が大幅に短縮出来た。



4.ICT土工の今後の課題として
ICT 土工はまだ取り組み始めであり、十分な知識を持った技術者が少ないと感じる。今後、各現場において積極的にICT 土工を活用していただくため、活用効果を広く周知していくことが必要と考える。


5.おわりに
我が国において生産年齢人口が減少することが予想されている中、建設分野においても生産性向上は避けられない課題である。
国土交通省では、生産性を向上させ、魅力ある建設現場を目指すための取り組みとして、ICT の建設現場への導入・普及推進を図っており、現場見学等を通じて受注者相互の情報交換を行うことで、ICT のノウハウを持った人材育成につなげていきたい。



最後に、ICT 工事の施工業者の皆様におかれましては、現場見学等の開催に協力いただきありがとうございました。また、本論文の寄稿にあたり、データの提供、ご協力に謝意を表します。