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南九州西回り自動車道 出水阿久根道路(高尾野北~野田IC)の開通について


石 橋 賢 一


キーワード:南九州西回り自動車道、整備効果、開通式典

1.はじめに
南九州西回り自動車道は、熊本県八代市を起点とし、水俣市、鹿児島県薩摩川内市を経て鹿児島市に至る高規格幹線道路であり、九州南西部の地域経済の活性化に大きく貢献するとともに、災害時等における信頼性のあるネットワークとして期待される。
平成29 年3 月11 日に鹿児島県出水市の高尾野北IC から野田IC までの約2.8㎞が開通し、平成28 年度末現在で全線約140㎞のうち約94㎞(約67%)が開通、鹿児島県内では約90㎞のうち約57㎞(約64%)が開通したことになる。
今回の開通により期待される効果を紹介するとともに、円滑な事業推進のために現場でどのように地域と触れ合い、地域と一体となった開通式典を行ったかなど、様々な取り組みを紹介する。




2.出水阿久根道路の概要
出水阿久根道路は、南九州西回り自動車道の一部を形成し、出水市から阿久根市に跨がる約14.9㎞の自動車専用道路であり、平成28 年度までに高尾野北IC ~阿久根IC 間の約11.0㎞(約74%)が暫定2 車線で開通している。
昨年度に引き続き、今年度(H29)には出水IC から高尾野北IC 間(約3.9km)が暫定2 車線で開通する予定であり、この開通により当該道路が全線開通することとなり、地域の期待も大きい。
《計画諸元》
◇起点・終点
(自)鹿児島県出水市下知識町
(至)鹿児島県阿久根市鶴川内
◇道路規格・設計速度
第1 種第3 級・80㎞ /h
◇延長・幅員
(延長)14.9㎞ (幅員)20.5m[完成4 車線]


3.出水阿久根道路の整備効果
①出水市~阿久根市間の移動時間短縮
出水市と阿久根市の結びつきは非常に強く、出水市の市外通勤・通学者の約5 割が阿久根市に通勤・通学、阿久根市の市外通勤・通学者の約6割が出水市へ通勤・通学している状況である。
また、救急搬送では出水市及び阿久根市の管外搬送のうち約6 割が両市間を搬送しており、出水阿久根道路の全線開通により出水市~阿久根市間の移動時間が約13 分短縮し、通勤時の負担軽減につながるとともに、今後の延伸により救急搬送時の安心感向上等も期待される。



②災害時の代替機能確保
鹿児島県内の集中豪雨発生回数は増加傾向にあり、路面冠水等のリスクが高まっている。近年、開通区間の並行区間(国道3 号)では長時間通行止めが発生している。今後の開通区間の延伸により、災害発生時の代替機能が確保される。






③周産期医療の充実
阿久根市の妊婦の約7 割が出水市の医療施設を利用している。また、出水保健医療圏にはハイリスク分娩に対応可能な施設がないため、早産等の場合、鹿児島市内の病院へ行くケースがある。
今後の開通区間の延伸により時間短縮・安全性向上が図られることで、妊婦健診や分娩等、通院時の負担が軽減される。

④周辺地域での波及効果事例
長島町は、養殖ぶり日本一の水揚げを誇り、豊富な水産資源を地域の魅力として、漁協職員向け食堂を一般向けにリニューアル(長島大陸市場食堂)、旅行会社との連携協定締結など、観光客を地域に呼び込む体制が強化されている。
長島町を来訪するツアー客数の増加も期待される。


このように、地域の魅力を向上させ、地域に観光客等を呼び込む体制づくりが重要と考える。


4.地域との触れ合い
開通すると歩行者は本線上を通行することができなくなるため、工事期間中、たくさんの方々に現場に来ていただき、建設業の魅力や事業に対する理解を深めていただいているので、一部を紹介する。
①「しもずるふれあいウォーク」
平成28 年11 月6 日、現場近くの小学校全校児童、保護者、学校関係者、校区住民の方々が一緒になって、現場内でウォーキングイベントを開催した。現場ではクイズラリーやドローン飛行見学、排水性舗装体験などがあり、参加者は様々な体験を楽しんでいた。



②現場スケッチ大会
平成28 年11 月12 日、小学校児童による現場スケッチ大会を開催した。
保護者も参加され、現場で使用している建設機械の説明を受けた後、現場内にある建設機械や風景など、みんな思い思いにスケッチしていた。
描き終えた児童たちは建設機械の乗車体験も楽しみ、笑顔の絶えない時間を過ごしていた。
その他にも高校生の現場見学をはじめとして、たくさんの方々に現場に足を運んでいただいた。



5.市民とともに喜んだ開通
今回の高尾野北IC ~野田IC 間の開通にあたり、開通当日の高速道路を市民が歩くウォーキング大会開催(出水市主催)、開通式典では地域の将来を担う小学校児童が参加してメッセージを発信するなど、市民とともに開通を祝った。

<開通直前の高速道路で市民が賑わう>
平成29 年3 月11 日の開通当日、出水市主催で「開通記念イベント“ みち” とふれあうウォーキング大会」が開催された。
イベントには約12 百人の市民が参加、開通すると歩けなくなる高速道路からの景色を満喫し、開通パレードでも多くの市民が一緒に喜んだ。



<地域の将来を担う児童たちのメッセージ>
これまで幾度か現場を訪れている高尾野北IC近くの出水市立下水流小学校6 年生の児童を対象に、もっと道路整備の役割や素晴らしさを理解してもらおうと出前講座に出向いている。
出前講座では、「この高速道路ができたことで自分たちが住んでいる地域がどうなるだろうか」と投げかけ、児童たちは様々な分野毎に活発に意見交換を行い、たくさんの意見が出された。
意見交換の成果は、開通式典で地域の将来を担う児童たちのメッセージとして発表され、メッセージの最後には「高速道路が、医療や防災にも役立っている。」、「出水市の人口や観光・農業・水産業の活性化のために貢献している。」、「高速道路が出水市をより豊かで安心できる町にしてほしい。」、「自分たち自身も出水の良さを知り伝え広めていく。」と願いと決意が発信された。



6.おわりに
南九州西回り自動車道出水阿久根道路は、今年度中(H29 年度)に最後の区間(出水IC ~高尾野北IC)が開通する予定である。
平成29 年3 月11 日の開通式典では招待者だけでなく、多くの一般市民も祝福に訪れていただいた。これもひとえに出水市をはじめとする地元関係者、式典に参加していただいた高尾野兵六太鼓保存会、しもずる保育園、下水流小学校の皆様のご協力のおかげであり、本稿を借りて厚くお礼申し上げる。
また、路線名に併せて路線番号を用いて案内する「高速道路ナンバリング」の導入は九州第1号で、訪日外国人をはじめ、全ての利用者にわかりやすい道案内を実現している。通行の際は是非、確認していただきたい。



鹿児島県内の南九州西回り自動車道の整備率は約64%であり、これからも地域の方々にご理解・ご協力をいただき、鹿児島県をはじめ関係自治体と一体となって、事業が円滑に進むように努力を続けていきたい。
平成30 年は明治維新から150 年であり、大河ドラマ「西郷(せご)どん」が放映されることも決まっている。魅力満載の鹿児島に是非、お越しください。
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