トップ  >  第61号 2017.09  >  トピックス  >  災害復旧技術専門家制度の仕組みと活動状況について

災害復旧技術専門家制度の仕組みと活動状況について


後 藤 信 孝


キーワード:災害復旧技術支援制度、国土交通省との連携、活動状況

1.はじめに
災害現場においては、迅速かつ的確な対応が求められます。しかし、一般的に市町村では技術者のマンパワーや実務経験を積んだ技術者が不足しており、その対応が負担となっている状況が見受けられます。
このような事態を支援するため、(公社)全国防災協会では、平成15 年から災害復旧技術専門家を災害現場に派遣し、地方公共団体が行う災害復旧事業の支援・助言について、ボランティアとして活動する「災害復旧技術専門家制度」を創設しました。また、平成26 年から国土交通省水管理・国土保全局防災課長より「災害復旧・改良復旧事業の技術的助言などの支援(試行)について」通達がだされ、制度の充実を図ってきています。


2.災害復旧技術専門家とは
災害復旧技術専門家とは、国や都道府県の災害復旧業務に長年携わり、制度を熟知し災害復旧事業に関する高度な技術的知見を有する経験豊富な技術者(国土交通省防災課災害査定官や防災担当の本庁課長級及び事務所長経験者等で構成)です。
専門家は、災害発生時には地方公共団体等の要請に応じ、速やかに現地へ赴きボランティアとして技術支援・助言ができる(公社)全国防災協会が認定・登録した技術者で、全国各地に285 名(H29.5.23)内、九州ブロックには54 名(国出身6 名、県出身48 名)います。
また、専門家は、災害復旧技術の維持・向上のため、講習会等に参加して研鑽を積んでおり、九州ブロックの技術専門家は、国土交通省九州地方整備局の災害担当者会議や各県の災害復旧研修会等に参加するなどしております。


3.専門家の支援・助言等活動内容について
専門家の支援活動内容は以下のとうりであります。
1)災害調査に関する助言
・申請に必要となる調査に関する事項
・被災原因の把握のための調査に関する事項
・対策工法検討のための調査に関する事項 等

2)復旧工法に関する技術的助言
・復旧工法に関する事項
・改良復旧に関する事項
・応急復旧に関する事項 等

3)その他、地方公共団体等の災害復旧に関する支援・助言
・災害復旧制度に関する事項
・災害復旧申請に関する事項
・災害復旧業務に携わる職員育成のための研修講師
・その他災害復旧に関する事項 等



4.国土交通省との連携
1)平成26年度からの試行(拡充)運用
国土交通省水管理・国土保全局防災課長より「災害復旧・改良復旧事業の技術的助言などの支援(試行)について」通達
防災協会が、平成25 年4 月に公益法人となり特定費用準備資金による無償支援が可能となったことを踏まえ、制度の更なる活用を促進せせるため、新たな手続きについて当面の間、試行(拡充)を行うことになりました。その、一部を紹介します。

①目的
被災自治体において迅速な災害復旧を行い、被災地域が早期に元の生活に戻れるよう、防災協会と国土交通省が連携を図り、被災地の支援を行う。
②支援内容
支援内容は、防災協会の災害復旧技術専門家制度による専門家の派遣とする。(上記3 項)
③費用の負担
派遣に要する被災自治体の費用負担については、TEC-FORCE が出動した大規模災害で国土交通省水管理・国土保全局防災課(以下「防災課」という)所管の公共土木災害復旧事業または改良復旧事業の申請が必要と考えられる箇所について、防災協会の会員である自治体からの要請があり、かつ防災課が必要と判断する場合には、無償とし、それ以外は有償(旅費)とする。



2)九州地方整備局との情報共有
平成28 年4 月4 日付け「災害復旧技術専門家の派遣情報共有に関する申し合わせについて」において、全国に先駆けて、九州地方整備局企画部防災課長と災害復旧技術専門家九州ブロック長との間で、九州地区(沖縄県除く)の大規模災害時において、災害復旧技術専門家やTEC-FORCE の派遣が行われた場合は速やかに情報共有することを申し合わせました。


5.支援状況
支援実績については、全国的には平成16 年度から行われており、被災箇所の支援については、平成16 年度の新潟県中越地震や平成23 年の東日本大震災など毎年派遣されています。九州では、平成19 年度宮崎県梅雨前線豪雨、平成24 年度の7 月九州北部豪雨、そして、昨年度の熊本地震等での派遣実績があります。



次に熊本地震での支援状況を報告します。
1)熊本地震の支援活動報告
平成28 年4 月16 日発生の熊本地震における災害復旧支援についての要請を熊本県(水管理・国土保全局防災課経由)から受け、公共土木施設の被害状況確認および復旧工法、災害復旧事業申請等について延べ12 名(国出身7 名、熊本県出身5 名)計4 日間、支援・助言を行いました。

以下、その支援内容です。
 派 遣 先:熊本県阿蘇郡西原村
 日    時:4 月28 日、5 月6 日
 派遣専門家:後藤信孝(両日)、萩尾正明(両日)、下山道秋(5 月6 日)、延べ5 人

主な助言内容
・箇所別災害報告表に基づいて調査範囲等助言。
・布田鶴新橋の被災調査方法を助言。
*助言相手は、村職員及びTEC - FOREC 隊員(中部地方整備局、鹿児島国道)


 派 遣 先:熊本県庁にて 合志市、菊池市、御船町(山口県応援職員含む)
 日    時:5 月26 日
 派遣専門家:下山道秋、後藤信孝、田口 覺

主な助言内容
 ①熊本県合志市
 ・道路路面被災及びのり面崩壊箇所5 箇所について助言。
 ②熊本県菊池市
 ・道路崩壊箇所の原形復旧不可能箇所の復旧工法を助言。
 ③熊本県上益城郡御船町
 ・橋梁2 箇所(八竜橋、滝川橋)の復旧工法について助言。



 派 遣 先:小国町役場にて 小国町、産山村
 日    時:5 月30 日
 派遣専門家:中島一見、末吉秀幸、田口 覺、山本 幸

主な助言内容
 ①熊本県阿蘇郡小国町
 ・のり面崩壊及び落石箇所、素堀トンネルの復旧工法について助言。
 ②産山村
 ・道路のり面崩壊及び落石箇所の復旧工法について助言。
以上です。



6.おわりに
この専門家制度は、平成15 年度に創設されすでに10 数年経過していますが、必ずしも各県や各市町村の防災担当者に浸透しているとは言い難いと思います。今回の熊本地震についてもTEC- FORCE 隊員の助言で派遣依頼がされており、専門家制度の有効な活用を図るためにも、九州地方整備局や各県の担当部局との連携や市町村等への周知が益々必要と思われます。
大規模災害については、平成29 年2 月に「防災に関する市町村支援のあり方について」、国、地方公共団体、専門家、民間事業者等の連携により総力を挙げた災害対応が提言されました。また、国土交通省水管理・国土保全局防災課の平成29年度の災害復旧の基本方針でも、災害復旧技術専門家支援制度の活用の拡大を図ることが出されています。
このような中、災害復旧の取り組みも近年特に変化してきており、我々専門家はしっかりとした自己研鑽を行い、又、災害復旧の依頼に対応できる人員の確保を行って信頼できる支援や助言を行っていけるよう専門家派遣制度の充実を図って参ります。

プリンタ用画面
前
九州地方整備局のストック効果の見える化・見せる化に向けた取り組み
カテゴリートップ
トピックス
次
小石原川ダム建設事業の今~ダム建設工事最盛期に向けて~

サイト内検索
防災情報


防災情報提供センター


川の防災情報

かわ情報


九州 川の情報室

みち情報


道守九州会議


九州風景街道


九州の道の駅