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平成28年熊本地震について

~公共土木施設の被災状況と復旧~


鈴 木 俊 朗

大 塚 秀 徳


キーワード:平成28年熊本地震、TEC-FORCE、国道325号阿蘇大橋

1.はじめに
去る4月14日、及び16日に発生した平成28年熊本地震により、亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。
また、発災後、国や県外の都道府県・市町村からの派遣職員、学識者、民間企業、ボランティアなど、多くの皆様により、捜索・救援活動、被災者支援、インフラ復旧など多面的なご支援をいただいておりますことに、心より感謝申し上げます。


2.熊本地震の被害概要
平成28年4月14日、21時26分に熊本県益城町で最大震度7を観測する地震(前震)が発生し、熊本県は災害対策本部を設置しました。さらに4月16日1時25分には、益城町、西原村で最大震度7を観測する地震(本震)が発生しました(図-1、2)。

4月14 日の前震以降、本震、余震をあわせて7月5日現在で震度1以上の地震が1,852 回観測されており、うち7回は震度6弱以上を観測しております。
また、一連の地震による災害で、7月5日時点で75名の尊い命が失われ、1名の方が行方不明となっています。特に、人口100 万人を超える熊本都市圏と阿蘇地域を中心に、多数の家屋倒壊や大規模な土砂崩れなど、県内の広い範囲にわたり、極めて甚大な被害が発生しています(表-1、2)



2.熊本地震の被害概要
公共土木施設の被害状況は、5月16日現在で、市町村も含め3,321箇所、約1,900億円の被害となっております(表-3)。



4.国及び関係機関などからの支援
4-1 TEC-FORCEによる支援
国土交通省の緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)による支援活動で、前震発生(14日)の翌日に14名の益城町派遣を皮切りに、
①被災状況・支援ニーズの把握
②自治体施設の被災状況調査の代行
③土砂災害危険箇所の点検
④応急復旧
⑤緊急輸送道路の啓開
などの支援活動を実施していただき、この支援は5月13日までで、延べ8,134人(速報値)を派遣して頂きました(写真-1)。



4-2 県外の自治体などからの支援
県外の自治体などから数多くの派遣職員により
①被害状況調査
②災害査定に関する業務
③応急危険度判定
④応急仮設住宅に関する業務
などの支援活動を実施していただき、この支援は6月3日までで、延べ1,127人(速報値)を派遣して頂きました。


4-3 (一社)熊本県建設業協会による支援
一般社団法人熊本県建設業協会におかれては、熊本県と締結している大規模災害時の支援活動に関する協定に基づき、地震発生直後から
①崩落土砂撤去
②路面隆起・段差・亀裂等補修
③道路、河川堤防、砂防施設等の点検
④河川堤防の補修、土のう設置
⑤給水タンク等被災者支援物資運搬
⑥人命救助、捜索活動機材設置
などの支援活動に迅速かつ的確に取り組んでいただきました(写真-2)。



5.公共土木施設の復旧に向けた取り組み
5-1 阿蘇大橋地区における斜面崩落対策
熊本県南阿蘇村(阿蘇大橋地区)では、熊本地震に伴い大規模な斜面崩壊が発生しました。このため、斜面上部に残る多量の不安定土砂の崩落による二次災害を防ぐ緊急的な対策工事を国の直轄砂防災害関連緊急事業として5月5日から着手されています(写真-3)。



5-2 国道325号阿蘇大橋
熊本地震による大規模な斜面崩壊により通行不能となっている南阿蘇村の国道325号阿蘇大橋の復旧工事は、高度な技術が必要であるため、道路法第13条第3項の規定に基づき、国が直轄事業として災害復旧事業を実施することが5月9日に決定されています(写真-4)。



5-3 県道熊本高森線と村道栃の木~立野線国による災害復旧の代行
熊本県より俵山トンネルを含む「県道熊本高森線(西原村小森~南阿蘇村河陰)」について、また、南阿蘇村より阿蘇長陽大橋を含む「村道栃の木~立野線(南阿蘇村河陽~立野)」について、『大規模災害からの復興に関する法律』に基づく国による直轄代行を要請し、同法が全国で初めて適用され、両路線を国が代行して災害復旧を行うことが5月13日に決定されています(図-3)。


5-4 道路損傷箇所の応急対策工事の進捗状況
益城町の幹線道路である国道443号では、4月14日の前震に続く16日の本震により壊滅的な被害を受けました。このため、国の支援を受け、1週間で啓開を完了いたしました(写真-5)。
県道内牧停車場線(阿蘇市狩尾)では、1mを超える段差が発生しましたが、応急工事により段差を解消し、1車線を確保しました(写真-6)。


5-5 梅雨期を見据えた応急復旧など
梅雨に備え、河川の堤防に亀裂が発生した箇所について、シート張り等の応急処置を実施し、また堤防が沈下した箇所につきましては、大型土のうによる対策を行っています(写真-7)。





5-6 本復旧に向けて
熊本地震による災害査定においては、
①机上査定の1箇所工事の申請額を5,000万円未満へ引き上げ
②平面図は航空写真等の既存資料を活用して作成可能
③横断図は被災形態・復旧工法が同じ一定区間は代表箇所の標準断面図を用いることが可能
などの査定の簡素化が図られ、1次査定(5月26日)から6次査定(7月1日)まで終了しています。表-3 の3,321箇所の被災箇所について、引き続き9月頃まで査定を進め、順次、本復旧工事に着手することとしております。


6.水害、土砂災害へのリスク対応
6-1 水防警報基準水位の暫定的な運用
熊本県が管理する河川については、今回の地震により堤防・護岸等の河川管理施設が広範囲にわたり被害を受けました。現在、早期復旧に向け取り組んでおり、地震の影響により堤防・護岸機能が低下していることが懸念される河川については、5月2日より緊急的な措置として、水防活動の目安となる水位基準を1段階低く設定し、早期の警戒体制を確立することとしております(図-4)。


6-2 土砂災害警戒基準の引き下げ
熊本県と熊本地方気象台は、県民の早めの避難、市町村長の遅滞ない避難勧告を促すため、震度5強以上を観測した市町村に対し、通常より雨量が少ない段階で、早めに土砂災害警戒情報を発表することとしています(図-5)。



7.最後に
今回の未曾有の災害を受けて、本県では「被害に遭われた方の痛みを最小化する」、「単に元にあった姿に戻すだけでなく、創造的な復興を目指す」、「復旧・復興を熊本の更なる発展につなげる」を3原則として、復旧・復興に向けた対応を進めております。
また、「くまもと復旧・復興有識者会議」から提出された提言を踏まえ、現在、今後4年間の目標を「復旧・復興プラン」として取りまとめているところです。こうした理念や計画等に沿って、国や県外自治体等からのご支援を賜りつつ、一日も早い復旧・復興を着実に進めてまいりたいと考えております。

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